ビジョンとは|経営理念との違いや策定方法について事例を交えて解説

ビジョンとは|経営理念との違いや策定方法について事例を交えて解説

ビジョンを掲げると組織に一体感をもたらし、従業員が主体的に働く企業文化が形成されるといわれています。効果的なビジョンを策定するためには、経営層だけではなく従業員も策定のプロセスに関わることが大切です。

本記事ではビジョンの概要と経営理念との違いや掲げる意義、組織に与える影響を解説します。組織に浸透させる方法やビジョンの策定事例もご紹介します。

 

ビジョンとは

ビジョンとは理想とする未来の状態を指しますが、従業員と企業では意味が異なります。ここでは従業員と企業における、それぞれのビジョンの意味を解説します。

従業員におけるビジョン

従業員のビジョンは、個人の成長過程や目標とする人となりに焦点が当てられます。また各個人の価値観に左右される点も特徴です。

人生100年時代のキャリアを考えるにあたり 従業員のそれぞれが核となるビジョンを持ち、理想の状態に近づくことが重要です。

企業におけるビジョン

企業におけるビジョンとは、企業経営を通して実現したい未来を指します。企業でビジョンを掲げる場合は、将来における自社のあり方と社会への価値提供を絡めることが大切です。

企業規模に関わらず、どの企業においてもビジョンを設定することをおすすめします。また作成したビジョンは、社会の変化に合わせて作り替えることも重要です。

ビジョンと企業理念や経営理念との違い

企業理念や経営理念は、創業者や経営者の価値観や思いが込められて作成される傾向にあります。「企業が何のために存在するのか?」といった思想的な概念が示されます。

一方でビジョンは、経営理念を目標にまで具体化して作成されたものです。ビジョンが設定される場合は、企業全体の方向性にフォーカスされる点が特徴です。

とはいえ企業理念とビジョンの両者には、明確な違いはありません。そのため、企業理念をビジョンとして掲げる企業がある一方で、両方を掲げる企業も存在します。

企業がビジョンを掲げる意義

企業や事業を通して、創造したい世界観を魅力のあるビジョンとして表現すると、従業員が主体的に働けるようになります。

また、ビジョンを共有した従業員は経営者の視座に立ちやすくなるため、自らが判断して行動できる人材へと成長する可能性があります。経営者の視座に立てる従業員が増えると、仕事のスピードやクオリティの向上が実現可能です。

ビジョンが策定された背景や想いを公開すると、企業を取り巻く人々の共感を得られます。より多くのステークホルダーを巻き込めるため、企業のイノベーションにもつながります。

ビジョンが組織に与える影響

ビジョンを策定すると、組織に意思決定の判断軸ができたり、多くのステークホルダーを巻き込めたりします。また、組織の一体感を高められる点も魅力です。本項では、ビジョンが組織に与える影響について解説します。

意思決定の判断軸ができる

ビジョンを作成すると、組織が意思決定をする際の判断軸が明確になります。組織のメンバーがビジョンに納得したうえで、それが明確であれば、一貫した経営判断を下せます。判断に迷いが生じづらいため、意思決定に費やす時間の短縮も可能です。

さらに目指している目標に関係のある事業にコミットできるため、業務の効率化も期待できます。

多くのステークホルダーを巻き込める

従業員が実現したい社会像をビジョンとして示すと、より多くの共感者を生み出せます。顧客や従業員、株主に限らず多くのステークホルダーがビジョンに共感すると、企業が持つ影響力の範囲を拡大できます。

例えば、ビジョンに共感した投資家からの支援が期待できるでしょう。また、ビジョンが求職者に対してポジティブな影響を与え、優秀な人材を獲得できる可能性もあります。

組織の一体感を高められる

ビジョンを策定すると、従業員が企業で働く理由を持てるようになります。さらに企業が目指す方向性を明確にして、従業員の共感を得ることで組織に一体感を醸成します。

そのためには、経営層がビジョンを達成しよとする姿勢を示すことが重要です。組織に一体感が生まれると、コミュニケーションが活発化し、職場環境の改善にもつながるメリットがあります。

ビジョンを組織に浸透させる方法

ビジョンを組織に浸透させるためには、発見や共鳴、実装などの取り組みが重要です。ここでは、ビジョンを組織に浸透させる方法を解説します。

発見

ビジョンを発見する際には、従業員1人ひとりの想いや価値観を確認して進めることが大切です。さらに外部環境や自社が抱える課題解決に適したビジョンを発見するために、経営陣と策定に参加する従業員との間で一体感を醸成する必要もあります。

複数の従業員を集めてセッションやワークショップを行うと、従業員の想いや価値観を大切にしながら、企業の課題解決に則したビジョンを発見できます。その際に、従業員に対して論理的理解を促すだけではなく、感情的にもポジティブな印象を与えるように心がけると、納得感を得られやすくなるでしょう。

共鳴

次に策定プロセスに関わった従業員を中心に、企業全体においてビジョンへの共鳴を促します。ビジョンが策定される過程のストーリーや経営陣のコミットメントなどを組織で共有する機会を設け、 従業員がビジョンを自分ごととして捉えられるようにしましょう。

実装

ビジョンを企業活動に実装するために、策定したビジョンを軸にした事業や組織開発を行います。従業員に根付いたマインドセットがビジョンに沿うように変化すると、企業活動にイノベーションをもたらせます。

ビジョンを実装した後も、企業の成長や社会の変化に合わせて、再発見と更新を繰り返すことも大切です。ビジョンを変化させなければ、鮮度が落ちて機能しなくなることもあるため注意しましょう。

ビジョンの策定事例

ビジョンの策定事例について、東急建設とライフアンドワークデザインの事例を紹介します。アイディール・リーダーズのクライアントがビジョンの策定に取り組んだ事例を紹介するため、参考にしてください。

ビジョンの策定については、次の書籍もご覧ください。

※参考:会社の問題発見、課題設定、問題解決

東急建設株式会社

東急建設株式会社ではビジョンの言語化に取り組むなかで、策定のプロセスに参加していない従業員が多い状況でした。そのためビジョンに対する従業員の共感を欠き、徐々にその存在意義が損なわれる状況に対して課題視されていました。

そこで1人でも多くの共感を生み出すことにこだわり、ビジョンと戦略をセットで策定するようにしました。経営陣だけでなく幅広い従業員にビジョンの策定への参画を促し、社内のさまざまな声の反映を目指しました。その結果、従業員の間で着々とビジョンの共感が広がっています。

※参考:「建てる」を超え、未来を生みだす|東急建設株式会社

ライフアンドワークデザイン株式会社

ライフアンドワークデザイン株式会社には、多様なバックグラウンドを持つメンバーが所属しています。そのような状況下で、個々人のマインドや熱量に差が広がりつつあることに課題を感じていました。

そこでビジョンの策定に取り組み、企業としてのゴールを明確化しました。あるべき姿を見据えて成長できる組織を醸成することが狙いです。

実際にビジョンを策定したことで、従業員が一体感を持てるようになりモチベーションのアップにつながっています。また従業員同士が一致した価値観を持って話し合えるようになったため、一貫したコミュニケーションが取れるようになりました。

※参考:「わたしらしく」あるためのライフとワークを共に創り続ける|ライフアンドワークデザイン株式会社

まとめ

企業がビジョンを策定すると、組織に一体感をもたらし、従業員が主体的に働けるようになります。またステークホルダーがビジョンに共感すると、多くの人を巻き込んで企業経営を有利に進められます。

ビジョンが機能するためには、従業員が納得した内容であることも大切です。そのため、ビジョンを策定する際は、経営陣と従業員が一体感を持って進めるようにすると良いでしょう。

アイディール・リーダーズは「ポジティブ・アプローチ」「バックキャスティング」にこだわり、ビジョンを策定しています。ポジティブ・アプローチとは最高の体験から自社の強み・らしさを抽出することであり、バックキャスティングとは制約を持たずにビジョンを検討し、非連続の成長をもたらすことです。ビジョン策定についてのご質問やお困りのことなどありましたら、ぜひご相談ください。

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