Ideal Leaders的オススメ本をご紹介する企画、「ゆーじの本棚」が始まります。チームを率いてマネジメントをしている、経営企画として会社の戦略立案に関わっている、事業を任されて立ち上げをしているなど、ビジネスリーダー向けにオススメな本を、”ゆーじ”ことCEO川本裕二がセレクションし、独自の視点で読み解いていきます。
記念すべき1冊目はこちら!
長谷川英祐著『働かないアリに意義がある』
こちらの書籍を、わたくし"もりりん"こと森田諒が聞き役として、一緒に読み解いていきます。みなさんも、コーヒー片手にゆるりとくつろぎつつ、お楽しみいただければ、幸いです。
ということで早速ですけど、この本を選んだ理由を教えてもらえますか?
世の中的には働き方改革が一巡して、「働き方改革”疲れ”」とも言える現象も出てきたよね。サイボウズが「お詫び広告」*を出したのも記憶に新しいし。一律に同じ勤務時間に揃えるのは、ダイバーシティに逆行するという見方もあるよね。「真のダイバーシティとは何か?」というのを押さえておくために、実はオススメの本と言っていいんじゃないかな。
*サイボウズ:働き方改革、楽しくないのはなぜだろう。
アリの生態が、人間社会のダイバーシティと関係あるんですか? うーん、全く想像つかないです。。
例えば、アリって働き者のイメージが強いけど、実はそうでもないワケね。一見するとずーっとサボって、何にも仕事しない働きアリもいるって知ってた?
そうなんですか!? 一般的なアリのイメージとはだいぶ違いますね。
そこで「働かないアリがなぜ存在するのか?」という素朴な疑問を持ってしまった筆者がいろいろ研究していくんだけど、そこには人間社会のダイバーシティにもつながる衝撃の事実が! という本の内容になっているんだ。
衝撃の事実ですか、俄然興味湧いてきました!
ちなみに、一般的にダイバーシティと言うと、女性管理職比率とか、障害者雇用とか、何かしら「義務を果たさないといけない」というイメージが強いですよね。
そうそう。個人的に気になるのは、ダイバーシティというものが語られる文脈だね。女性や弱者を守るとか、議論が偏りがちなんだよね。コンプライアンスと同じで下手をすると「面倒くさいけど、対応しなければいけないもの」として捉えられることが多く、それがもったいないなと思う。
確かに、そういうとらえ方が多いかもしれませんね。
それから、この本を選んだ理由の一つでもあるんだけど、組織論を考える上で、生物学などの自然科学から得られる示唆は大きいよね。
・・そうですよね! やっぱり生物学ですよね、分かります!
うん、あからさまにムリしたでしょw
例えば、混沌とした状態から自律的に複雑な構造が形成される「自己組織化」の考え方も、組織論に応用されているし。人間も自然の一部だと考えれば、振る舞いが似てくるのはある意味で当然のことかもしれないね。
ほほう、そういうものなんですね。大学でちゃんと勉強しておけば良かったです。
じゃあ、早速分かりやすいところで「働かないおじさん問題」から行こうか。たぶんどこの職場にも、給料はしっかりもらっているのに、どう見てもそれに見合った働きをしていないおじさんっているよね? でもそれって、人間だけじゃなくて、アリの世界にもあることなんだ。なんと、実に7割の働きアリが働いていないという研究結果があるんだ。
マジっすか! 全然働きアリじゃないんですね。。
だからと言って、種として滅びるわけじゃないというのも面白いところだよね。種として生き延びているということは、働かないアリが一定数いることが「生存戦略としては、実は最適」ということだからね。
確かに、何かしら理由があるんでしょうね。
会社組織でも、全員エース級人材で揃えようとしても、本当に全員エースというチームって存在しないよね。いくら優秀な人を集めても、不思議と必ずエースと補欠に分かれる。人間も生物な訳だから、何かしら最適化された結果が「働かないおじさん」たちなのかもしれないよ。
むむ。。ということは、「働かないおじさん」を全員辞めてもらっても、組織は良くならないってことですね。なかなか深いですね。
今回はここまで! 気になる続きは、次回「ゆーじの本棚」でお会いしましょう。