前回は、パーパス・マネジメントを行う第1のメリットとして、「働き手から選ばれる会社になる」という点をご紹介しました。
今回は、2点目のメリットをご紹介します。
「顧客から選ばれる会社になる」
Purpose(パーパス)に共感する会社や仕事を選ぶ働き手は、同時に消費者でもあります。
消費行動においても、Purposeに共感する製品やサービスを選ぶ傾向が高まってきています。
こちらはEdelman社が行った消費者調査の結果です。
2018年には、日本人の6割が「ビリーフ・ドリブンな購買者」であるということが明らかになりました。
出典: 2018 Edelman Earned Brand. Belief-driven buying segments. 日本
--「ビリーフ・ドリブン」とは
その製品やブランドの社会問題等に関するスタンスによって、購買するかしないかを決める、という意味とのことです。
「ビリーフ・ドリブンな購買者」は、「Purposeに共感する消費者」と近いニュアンスと捉えて良いのではないでしょうか。
また、「ビリーフ・ドリブンな購買者」は日本だけでなく、欧米の消費者、中国やインドなどのアジアの消費者においても増加しているとの結果でした。
ここで一つ事例をご紹介します。
--パタゴニア
「最高の製品を作り、環境に与える不必要な悪影響を最小限に抑える。そして、ビジネスを手段として環境危機に警鐘を鳴らし、解決に向けて実行する。」ということをPurposeに掲げる、アウトドア用品を扱うパタゴニア社。ご存知の方も多いかと思います。
パタゴニアでは、2011年のブラックフライデー(11月の第4金曜日。アメリカでクリスマス商戦が始まる日)に、「このジャケットを買わないで!(DON’T BUY THIS JACKET)」との広告をNY Timesに掲載しました。
その結果、ジャケットの売上は過去最高を記録し、さらに5万人が「これからすべてのものに対して、購入する前に本当に必要なものか考えるようにします。」という署名にサインをしたとのことです。
また、2016年には、「ブラックフライデー売上の全額を環境保護団体に寄付する」と発表。その結果として、顧客の支持を集め、過去最高の売上(予想:200万ドル(約2億2000万円)のところ、実績:1,000万ドル(約11億円))を達成しました。
このように、Purposeに共感する顧客はロイヤルティが高く、Purposeに沿った製品・サービスを提供する企業は、顧客から選ばれる会社となるのです。
(次回に続く)