前回のブログでは「社員の幸せがなぜ大事なのか?」をご紹介しました。
社員の幸福度向上に取り組むことは、企業経営にとって具体的なメリットがあることをご理解いただけたかと思います。
実は人々の「幸福」に着目した取り組みは、企業だけでなく国家レベルでも行われています。
今回と次回のブログでは、海外のハピネスへの取り組みの事例をご紹介します。企業だけでなく、国家レベルでも人々の幸福を実現することが重視されてきているのです。
世界初となる幸福予算(Wellbeing Budget)を設置(ニュージーランド)
2019年5月30日、ニュージーランド政府は世界初となる幸福予算(The Wellbeing Budget)を設置したことを発表し話題になりました。
ニュージーランド政府は、2018年から幸福予算の実現に向けて調査を進めており、世界中が注目していました。今回政府が発表したレポートによると、幸福予算は以下6つのテーマに充てられます。
・精神疾患・メンタルヘルスに本格的に取り組むこと
・子供の幸福度を向上させること
・マオリ族とその他の諸島移民のライフスタイルを尊重し支援すること
・生産性の高い国家を構築すること
・経済を変革すること
・ニュージーランド国内の組織に投資すること
ニュージーランド政府の幸福予算は世界初の取り組みです。人々の生活文化や精神疾患の改善への取り組みと、経済の活性化により費用対効果が立証されることが注目されるポイントです。
(参考文献:『ニュージーランド政府が「幸福予算(Wellbeing Budget)」を実現』ジャパン・フォー・サステナビリティ、有限会社イーズ)
世界初となる孤独担当大臣ポストを設置(イギリス)
2018年1月、イギリス政府は「孤独担当大臣」のポストを新設し、イギリス社会で「孤独」に困っている人のための総合的な政策を率いることを決定しました。
「孤独とは、人々の肉体的、精神的健康を損なうものである。」
そう発表したのは、赤十字社など13の福祉団体と連携し、2017年に約1年間かけて孤独に関する調査を進めていたジョー・コックス委員会。
メイ首相は、ジョー・コックス委員会が実施した孤独に関する調査結果と勧告の多くを受け入れ、国をあげてイギリス社会の孤独を救う意思決定をしたことになります。
孤独は、人の肉体的、精神的健康を損ない労働損失を生むことから「孤独がイギリスの国家経済に与える影響は、年間320億ポンド(約4.9兆円)に上る」と警告し、国主導で政策が動いた例となります。
(参考文献:『「孤独担当大臣」とは? 新設されたイギリス、「孤独」の国家損失は年間4.9兆円』ハフポスト・ジャパン)
ニュージーランドもイギリスも、国民のハピネスと経済規模の関係性の分析が世界初のチャレンジであり、その他諸国でも二カ国に学びを得て新たな取り組みが推進されるのではないでしょうか。
次回は、海外におけるCHO (Chief Happiness Officer)事情についてお伝えします。
どうぞお楽しみに!