現在、多くの企業の中期経営計画等で描かれている目標は、財務的なKPIとそれを実現するための施策となっています。
そのような目標に関心があるのは、株主と社員ぐらいでしょう。就職活動している学生やその企業とビジネスをしようと思っている人たちも関心を持っているでしょうが、一般の人たちにとってはどうでもいいことだと思います。企業の理念やミッション、社是を見ると、ほとんどが「より良い社会づくり」や「社会への貢献」を謳っています。
そして社員の方々は日々良い商品、サービスを提供するために邁進しています。
せっかくですから、もっと多くのステークホルダーにとって魅力的な夢を描きましょう、というのが弊社の主張です。
財務的なKPIで「売上・利益○○億円」や「業界ナンバーワン」を目指すのではなく、お客様や社会にどのような変化や価値を提供するのかを示すのがビジョンアプローチです。
例えば、不動産業界(特にディベロッパー)を例にご説明します。
多くの企業が「より良い街づくり」に取り組んでいますが、「具体的により良い町とはどんなものか?」、「どのような町を作りたいのか?」を提示している企業は多くありません。
弊社が知っている例としては、森ビル株式会社の都市ビジョン「Vertical Garden City 立体緑園都市」があります。
森ビルのホームページには次のように描かれています。
「都市の空と地下を有効に活用し、そこに職、住、遊、商、学、憩、文化、交流などの多彩な都市機能を立体的重層的に組み込むことによって、徒歩で暮らせるコンパクトシティを実現しようというものです。」
土地を増やすことはできませんが、建物を超高層化し、地下も活用していけば、空間は増やせます。そこに都市機能を縦に集約すれば、移動時間は減り、自由に使える時間が倍増します。人生の選択肢や日々のゆとりも増えるでしょう。徒歩で暮らせる町は、子供や高齢者も暮らしやすく働きやすいはず。
このほうが知識情報社会、少子高齢化社会に合っていると思いませんか。空と地下を活用することによって、地上は緑と人に開放できます。講演や広場、森はもちろん、川や池、ゴルフのショートコース、フットサルのコート、都会の小牧場だってできるかもしれません。
こんな都市が実現したらワクワクしませんか。街づくりと一緒に、鉄道、道路などのインフラもつくりかえて耐震化し、建物の間隔も広くとれば、災害に強い都市構造になります。都市の中心部をこのような形で立体活用すれば、周辺部や郊外の自然も残すことができるのです。
「よい問題解決は、よい問題発見から始まる。」
本ブログでご紹介している内容含め、組織の理想の将来像(ビジョン)を実現するための、本当の問題を発見し、解決していく方法を具体的事例も踏まえて説明している書籍を発行いたしました。ご関心ございましたらぜひご覧ください。
経営者は、ビジョンを掲げる存在。そして実際の現場では、問題発見、課題設定、問題解決のプロセスをOKR型で繰り返し、ダイナミックかつ地道に組織を動かしていく企業が増えました。その際に欠かせないのが、人と組織を成長させ、駆動し続けることができる、力強いビジョンです。
本著では、永井が携わった仕事の中から、ビジョンによって組織を変革した製造業やIT企業の事例を紹介し、経営陣の内発的動機と現場の内発的動機をポジティブに相互作用させる組織マネジメント手法を解説していきます。
書籍情報
タイトル:会社の問題発見、課題設定、問題解決
出版社:クロスメディア・パブリッシング(インプレス) (2019/10/21)
著者:永井恒男・齋藤健太
定価:本体価格1,680円+税
ISBN-10:4295403539
ISBN-13:978-4295403531
発行:2019年10月21日初版発行