”働かない働きアリ”こそ、ダイバーシティの本質である|ゆーじの本棚Vol.2

”働かない働きアリ”こそ、ダイバーシティの本質である|ゆーじの本棚Vol.2

「働かないアリに意義がある」から読み解く、真のダイバーシティを考える

前回の記事はこちら。
Vol.1:『働かないアリに意義がある』から読み解く、真のダイバーシティとは?

 

前回は「『働かないおじさん』を全員辞めてもらっても、組織は良くならない」という、衝撃的な結末で終わりました。僕自身も、まだ現実を受け止めきれていません。。

 

 

 

そうだったね。

 

 

 

あと、途中で気づいたことがあるんですけど、この研究をやり抜いた筆者(長谷川英祐氏)ってすごい人だなって。アリの振る舞いを調べてみようというアイデアは分かりますが、本当に調査するとなったらどういう方法がいいのか、見当もつかないんですけど。

 

 

まったく同感だね。本によると、2年の研究期間をかけて地道にアリの巣を調べたそうだよ。もちろん一つのコロニーを観察して終わりじゃなくて、複数のコロニーを観察しまくった結果として結論にたどり着いたというのがすごいよね。

 

 

すごいなぁ。ちなみに、アリの行動分析ってどうやるんですかね? だって同時に何匹ものアリが行き交っているのを一匹一匹観察しないといけないですよね。

 

 

 

アリ一匹一匹にペイントして、追跡したらしいよ。しかもすぐ色のバリエーションがなくなり、複数の色の組み合わせで識別するというから、気の遠くなるような話だね。

 

 

 

ええー! 観察への情熱が凄まじいですね。本当に研究としてやり切るのには相当の執念が必要ですもんね。

じゃあ、本題の”働かない働きアリ”の話をしよう。7割の働きアリが働いていないと言われる謎が解けると、おじさんのことも分かるかもしれないよ。

 

 

 

くーっ、焦らしますね!

 

 

 

まず、アリには思考する能力がある訳じゃないから、各自の判断で働いたり休んだりしているということはないよね。ということは、何かしら別のルールに基づいてアリの振る舞いが決まると考えた訳だね。それって何だと思う?

 

 

実は、女王アリがテレパシーを使って、遠隔で指示を出してるとか!?

 

 

 

いや、さすがにそれはないね。これには、もともとアリが持っている個体ごとの反応特性の違いというものが関係しているんだ。そして、それは遺伝子レベルで決定されているんだね。だからアリによってエサに対して反応するとか、子育てタスクに反応するとか、巣の修理タスクに反応するとか、反応するイベントが違っているんじゃないかという仮説を立てたんだね。

 

 

なんと! テレパシーどころか、最初から遺伝子としてプログラムされているってことですか。何だか、自然の神秘を感じますね。

 

 

 

そうそう、面白いよねぇ。で、次に「このメカニズムがなぜ生存戦略として最適と言えるのか?」という疑問を解く必要があるね。実は、全員が”働き過ぎの働きアリ”だとかえって困ることがあるんだ。何だと思う?

 

 

 

うーん、お互いに競争に走って、足を引っ張り合っちゃうとか?

 

 

 

うん、惜しいけど、残念ながらそこまで人間的ではないね。例えば、エサや外敵などのイベントがあった時に、一斉に全てのアリが反応すると、すぐ次に別のイベントが来たら誰も対応できなくなるよね。それから、アリにも「過労死」があると言われていて、全員が働き過ぎると一気に働き手が死んじゃうんだね。

 

 

なるほど! それは確かに困りますね。そうならないように、アリごとに反応特性が違っているんですね。

 

 

 

そうそう。ちなみに、イベントに反応しないアリも、すべてのイベントに反応しないわけではないんだよね。「エサ発見!」という刺激に反応しないアリは、「外的襲来!」とか「巣が壊れた!」という別の刺激にはよく反応したりするワケ。つまり、こうした反応特性の違いは働きアリとしての優劣ではなく個性・役割の違いと言うべきものなんだね。

 

 

そうなんですね。単純にエサに反応しないからといって、すぐダメじゃんと判断しちゃいけないってことですね。

 

 

 

そうそう、分かってきたね。こんな風にアリのコロニー全体として様々な反応特性が分布しているということが、アリという種が生き残る上では最適だったということだね。しかも、そうやって分布が生まれることが、遺伝子レベルで決まっているというから、つくづく神秘的と感じざるを得ないよね。

 

 

自然界の話のはずなんですけど、何だか人間社会にも通じるような、不思議な感覚です。「ダイバーシティが大事」ということが、一段深いところで納得できてきますね。

 

 

 

お! イイ感じだね。そこまで分かってくれば「働かないおじさん」の話も、自然と理解できるんじゃないかな?

 

 

 

おおお、ここで戻ってくるんですね!

 

 

今回はここまで! 気になる続きは、次回「ゆーじの本棚」でお会いしましょう。