ネスレのPurposeと実践

Purposeの重要性 

Purposeを明確にしている企業は、自社の製品やサービスを提供するだけではなく、社会課題解決に貢献したいという思いを持ち、行動に移します。そして、変化の激しいVUCAの時代の中で競争力を維持することができます。

PwCの調査(2016)*1によると、ビジネスリーダーの79%が「Purposeがビジネスの成功の秘訣である」と考えています。

では、どのようにして企業はPurposeを自社の業務に浸透させることができるのでしょうか?その一つの要因は、Purposeを踏まえて明確的かつ長期的な目標を決定することである。

 

具体的な例を見てみましょう。

ネスレは「生活の質を高め、さらに健康な未来づくりに貢献します」をPurposeとして掲げています。*2

ネスレ日本の深谷龍彦社長は、「ネスレは、世界187カ国で事業展開し、約30万人の従業員が、『食の持つ力で、現在そしてこれからの世代のすべての人々の生活の質を高めていきます』というネスレのPurposeを示すために働いています」と語っています。*3

このPurposeを実現するため、ネスレはプラスの価値を与えられる領域として3つの領域(個人と家族(栄養の分野)、コミュニティ(農村開発)、地球(環境))において本業を通じて2030年までの長期目標を設定しました。

 

「個人と家族のために」では、製品やサービスを通じて生活の質を高めることを目指しています。

「コミュニティのために」では、活力のあるコミュニティを育成することを目指しています。

「地球のために」では、未来の地球のために、資源と環境を守ることを目指しています。

 

そして、ネスレはそれら1つ1つに、中期コミットメント、数的目標を設けて、 CSV(Creating Shared Value=共同価値創造)を通じて問題解決に取り組んでいます。

 

「個人と家族のために」 

たとえば、食品産業新聞社の記事によると、ネスレは自宅で簡単にスーパーフードが摂れる新感覚スムージーの「nesQino(ネスキーノ)」という製品・サービスを2020年12月から開始した。仕事や家事で忙しくても、自分の体のために自然な素材にこだわったスムージーを手軽に飲むことができる。パーパスを実現したひとつの形であり、今後注力していく方針だ。*4

 

「コミュニティのために」

また、ネスレはカカオ農家とコーヒー農家病気に強い苗木を提供する、技術支援をする、 必要に応じて金銭的な支援もして、さらに収穫された農作物を適正な価格で購入する活動をしています。また、カカオの分野では、児童労働が非常に問題になっています。「ネスレ カカオプラン」の農園では児童労働は禁止しています。児童労働を撲滅し、農家の経済的改善を進めつつ、学校を整備し、子どもには必ず学校に通ってもらうということを「ネスレ カカオプラン」を通じて実施しています。主要なカカオ豆の生産国であるコートジボワールとガーナについては、2018 年末時点で、この「ネスレ カカオプラン」 を通じて、1 万 1000 人を超える子どもたちを児童労働から解放しました。*5

 

「地球のために」

食品産業新聞社2020年の記事によると、ネスレは、「包装材料を2025年までに100%リサイクル可能、あるいはリユース可能にする」というコミットメント(約束)を掲げている。日本では、「ネスカフェ」や「キットカット」など主力製品のパッケージの紙化に取り組んでいる。

「ネスカフェ エコ&システムパック」は、当初プラスチックだったキャップや漏斗部分を紙に変更し、またアルミ箔使用量をゼロにするなど、環境に配慮した製品として進化している。*6

 

上記の施策を通じて、ネスレは自社のPurposeを踏まえ、3つの注力分野でCSVを通じてPurpose Drivenな事業・取り組みを展開しています。

 

参考文献:

1.PwC(2016).Putting Purpose to Work: A study of purpose in the workplace.https://www.pwc.com/us/en/purpose-workplace-study.html (accessed on 2021-02-26)

2.https://www.nestle.co.jp/csv (accessed on 2021-02-26)

3、4、6.食品産業新聞社(2020).「食の持つ力」で生活の質を高める“Good food,Good lifeカンパニー“ネスレの「存在意義」とは.

https://www.ssnp.co.jp/news/beverage/2020/12/2020-1223-1029-16.html

(accessed on 2021-02-24)

5.農林水産省(2020). ネスレのパーパス(存在意義)とCSVの実践. https://www.maff.go.jp/j/kanbo/kankyo/seisaku/c_bd/sympo_bd/detail/attach/pdf/SDGs_bd_sympo-29.pdf