社員のパワーを引き出すビジョンとは? 〜良いビジョンと残念なビジョンの特徴〜

社員のパワーを引き出すビジョンとは?
〜良いビジョンと残念なビジョンの特徴〜

ビジョンとは

ビジョンは、コーポレートビジョンやカンパニービジョンとも呼ばれ、1990年代以降流行してきた概念である。ビジョンは、企業の核となるパーパス(社会における存在意義)に基づいて、将来の理想像(ある未来の時点において実現していたい理想的な状態の具体的な描写)を表していることが多い。

ビジョンがあることで、目指したい方向性が明確になり、企業経営の指針となっていく。世界中の経営文献においても、企業ビジョンの重要性が強調されている。ビジョンを組織内で共有することは、組織内のすべての人々を効果的に鼓舞し、個人の可能性を開花させ、仕事へのモチベーションを高め、顧客満足を達成するための方法だからだ。

ビジョンにおける重要なポイント

ビジョンのポイントは「具体的に描かれているかどうか」という点にある。最終的には、キャッチコピーのような形で短いフレーズにまとめられていることが多いが、大事なのは、そのフレーズを社員が見たときに、ビジョンが表している情景、あるいは状態が明確に目に浮かぶものであるかどうか、という点である。

例えば、「2030年のビジョン」といった場合は、2030年の時点において、自分の会社はどんな事業をやっていて、社員たちはどんなふうに働いていて、顧客はどんなふうに自分たちのサービス・商品を使って喜んでくれていて、社会にどんな価値を提供しているかなど、様々な角度からイメージすることができるかどうかが重要である。また、場合によっては、売上規模や社員数など、定量的な要素がイメージできてもよいだろう。

このように、ある時点における理想的な状態が具体的に描かれているか、という点はビジョンを形にしていく際に心がけたいポイントである。

パーパスやミッション、バリューとの違い

パーパスやミッション、バリューといったように、似たような言葉をよく耳にすることもあるだろう。パーパスはWhyを答えるのに対して、ミッションはWhat、ビジョンはWhereに答えるものという違いがある。また、バリューは、ビジョンを実現するために日々どんなことを大事にして行動するべきか、という行動指針を示している。ビジョンはある時点における望ましい状態であるため、その時点によって内容は変わってくる(X年後のビジョンとY年後のビジョンの内容は異なる)。ビジョンとして明確な将来像があることにより、会社の向かう方向に対する共通理解や、新しいチャレンジが生まれやすくなる。一方、パーパスは大きく変わることのない、より根源的なものである。パーパスは仕事をする上で「このためにやっているんだ」と毎日振り返ることができるものであり、また、意思決定の際の判断基準となるものである。

企業ビジョンの例

それでは、企業ビジョンのいくつかの例を見てみよう。

<ソフトバンクグループ>

2010年に、ソフトバンクグループは2040年のビジョン「世界の人々から最も必要とされる企業グループ」を掲げた。ソフトバンクグループでは、300年前の世界を振り返り、さらに300年後の世界を展望し、この30年後のビジョンを決めていたという。
詳しくはこちら:https://group.softbank/philosophy/vision/next30

<キリンホールディングス>

2019年に、キリンホールディングス株式会社は「構造改革による、キリングループの再生」から新たな成長を目指し、2027年のビジョンとして、「食から医にわたる領域で価値を創造し、世界のCSV先進企業となる」を掲げた。
詳しくはこちら:https://www.kirinholdings.com/jp/newsroom/release/2019/0214_01.html

<LIXIL労働組合>

LIXIL労働組合のビジョンは、会社、職場、個人の3つの要素から構成されている。まず、会社については「世界中の人々から愛され、誇りを持って働ける会社」である。次に、職場は「やる気、活力、思いやりがあふれる職場」であり、個人は「自己成長を重ね、感謝し感謝される人」である。
詳しくはこちら:https://www.lixil.co.jp/corporate/sustainability/employee/union/

以上のように、様々な会社において独自のビジョンが掲げられている。

 良いビジョンと残念なビジョン

多くの会社からビジョンについてご相談を受ける中で、「良いビジョン」と「残念なビジョン」があるならば、それぞれ以下のような特徴があると言えそうだ。

良いビジョン

良いビジョンの特徴としてまず挙げられるのは、上記の通り、実現したい未来の具体的な状態がイメージできるようなものである。また、ビジョンのフレーズを見た時やビジョンについて語る時に、ワクワクするかどうかというのもひとつのポイントとなる。さらに、社員に「共鳴しているビジョン」=社員が本当に自社のビジョンに共感しているかどうか、も良いビジョンの条件である。一部の幹部やビジョンを策定したメンバーだけでなく、社員一人ひとりの心に届いているもの、その結果としてビジョンに沿ったアクションを導いているものが良いビジョンであると言える。

残念なビジョン

一方、残念なビジョンで多いものとして、現状の延長線上にある未来を記載したようなものがある。そのようなビジョンは見てもワクワクしないし、現在やっていることをそのまま続けば良いではないか、という気持ちに繋がってくるため、ビジョンがあることによる効果(社員がモチベーション高く働き、新しいチャレンジに取り組む)が起こしづらい。また、「お飾り」になってしまっているビジョンも残念なビジョンの典型的な例である。ビジョンは作って終わりではなく、そのビジョンを組織に浸透(共鳴)させる工夫が必要となる。

最後に

このように、ビジョンは社員のパワーを引き出す上で欠かせない存在であり、また、企業が向かう先の道標や目的地となる存在である。逆に、ビジョンがないと、進むべき方向や目的地を知らずに旅に出るようなものとなってしまう。また、組織の一体感が持ちづらくなり、新しいチャレンジも生まれにくくなるだろう。ぜひ、読者の皆さんの組織においても、明確なビジョンを策定していただきたい、と我々アイディール・リーダーズは考えている。このブログが自社のビジョンを振り返ることになるきっかけになれば幸いである。