7月7日配信のForbesでは、〈ブランドの業績に対するパーパスの影響〉に関する記事を掲載しています。
記事はこちらからご覧いただけます(英文)
Accenture Research Reinforces The Impact Of Purpose On Brand Performance
この中で、今日、顧客との感情的なつながりを持つことは非常にクリティカルであり、参考資料のアクセンチュアのレポートによると、43%の消費者は社会問題に対するブランドの言葉やアクションに失望すると立ち去ると語っています。
ほぼ無限の選択肢がある世界で Nike、 Starbucks や Apple などが多くの顧客から指示を得ているのはこのことから言えます。このようなブランドは、人やコミュニティ、そして地球環境を考えながら、サステナブルなエコシステムを作ることに注力しているのです。
-- COVID-19の影響による進化の加速
昨年実施した調査では、消費者の65%が自らの信念に合うブランドを選び、43%がブランドを切り替えて、彼らの信念に合わないためにブランドを後にしていることがわかりました。COVID-19の影響によりその進化が加速されているとも述べています。
COVID-19の環境下において、パーパスをただ掲げている企業と、それをもとに実際に行動している企業とがはっきりと分かれてきています。
例えば、代表的な例として挙げられるのは、英バーバリーが医療従事者のためのガウンとマスクを作り始めたことです。6ヶ月前には全く考えられなかったことですが、この方向転換をしたことで、バーバリーは人々の記憶に残ることでしょう。
なお、バーバリーのパーパスは大きく4つのカテゴリーに分かれています。その中の一つが、”Open and Caring (オープンで思いやりがある)”です。これは、「共通の目標を達成するために団結する」という意味合いが含まれているとブランドウェブサイトに記載されています。
-- 今、企業に期待されているもの:全エコシステムに目を配る
記事内で紹介されているパーパスとサステナビリティにまつわるリサーチのひとつをご紹介します。
COVID-19を受けて、人々の関心事は、「私にとって良いものは?」というものから、「私たちにとって良いものは?」というものに変化しています。
今、企業に期待されているのは、企業で働く従業員だけでなく、顧客やサプライヤーなど全ての関わる人々にフォーカスすること。すなわち全エコシステムにきちんと目を配ることです。
人々は道徳的な観点から、企業がこの挑戦にどれだけうまく対応しているかに基づき彼らをジャッジしているのです。
刻々と状況が変化する不確実な時代において、人々の消費行動に対する意識はより社会にとっての「意味」(それも見かけだけでなく、実態を伴ったもの)を重視するようになってきている、ということが言えそうです。今後、各企業やブランドにおいて、パーパスを明確にし、それを実態と共に伝えていくことが、顧客から選ばれ続けるためにも非常に大切になってくるのかもしれません。
《日本の状況》
では、日本の消費者はどうでしょうか?
COVID-19より以前の2018年に実施された、エデルマン・アーンドブランド日本の調査結果によると以下のような興味深い結果が出ています。
- 日本人の5人に2人が「ビリーフ・ドリブン」な購買者(グローバル:2人に1人)
- 「ビリーフ・ドリブン」な購買者の49%が:
意見の分かれる社会問題や政治問題への姿勢に共感したという理由だけで、それまで利用したことのないブランドを購入したことがあると回答(グローバル:67%)
- 「ビリーフ・ドリブン」な購買者の53%が:
ブランドが公式に対処すべき社会問題や政治問題に関して沈黙を貫いていたことだけを理由に、そのブランドを購入するのをやめたことがあると回答(グローバル:65%)
「ビリーフ・ドリブン」とは:
その製品やブランドの社会問題等に関するスタンスによって、購買するかしないかを決める、ということを意味しています。
このように、パーパス(社会における存在意義)の有無、そしてそれが実態を伴っているか、また、メッセージとしてきちんと発信されているか、が日本における消費者の行動にも大きなインパクトをもたらしているということが言えるのではないでしょうか。
日本の国内マーケットを対象にビジネスを行なっている企業においては、このような日本の消費行動が、COVID-19を受けて、どのように変わっていく、あるいは変わっていかないのか、今後注目していくことが必要となりそうです。
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