生きがい(Ikigai)とパーパスの探求について

生きがい(Ikigai)とパーパスの探求について

近年、日本語の「Ikigai(生きがい、以下Ikigaiという)」という言葉が世界で注目されている。最初はDan Buettnerが『The Blue Zones: Lessons for Living Longer From the People Who’ve Lived』を出版し、沖縄の長寿の秘訣が人々の「Ikigai」にあるという考えを紹介した。そして、『Ikigai: The Japanese Secret to a Long and Happy Life』や、『My Little Ikigai Journal: A Journey into the Japanese Secret to Living a Long, Happy, Purpose-Filled Life』など、「Ikigai」をキーワードにした書籍が出版し続けられている。

「Ikigai」とは、「生きている」という意味の「生き」と、「利益」や「価値」を意味する「がい」を組み合わせた日本語の概念である。

これらの言葉を組み合わせると、自分の人生に価値や意味、存在意義(=パーパス)を与えるものという意味になる。

 

このブログでは、「Ikigai」の定義と、その背景にある哲学について説明する。また、「自分のIkigai」を積極的に実践している人たちの例も紹介する。

「Ikigai」の定義

「Ikigai」とは、日本の伝統医学である「健康法」から生まれた概念だと言われている。日本の伝統医学では、身体的な健康は、精神的・感情的な健康や人生の目的(=パーパス)意識に影響されると考えられている。日本の脳科学者で『Awakening Your Ikigai』(2018年)の著者である茂木健一郎氏は、『「ikigai」は日本人にとって古くから親しまれてきた概念であり、簡単に言えば「朝起きる理由」、もっと感性的に言えば「喜びに目覚めること」と訳すことができる』と述べている。

そして、「Ikigai」は、自分の人生に意義、充実感をもたらし、同時に他者の利益にも貢献するものである。

 

「Ikigai」を生かした例

日本の有名な寿司職人である小野二郎氏が仕事について語った言葉は、「ikigai」の要素を的確に表現していると思われる。

小野シェフは、東京で10席の小さな高級寿司店を経営し、寿司の技術を革新させることに人生をかけている。小野シェフは、ミシュランレストランガイドの最高ランクである三ツ星を獲得しており、世界で最も完成度の高い寿司シェフとして広く知られている。小野シェフの人生と仕事を描いたドキュメンタリー映画「Jiro Dreams of Sushi」では、小野シェフは次のように述べている:

 「自分がやろうと思った仕事、それに没頭しなきゃダメです。好きにならなきゃダメです。自分の仕事に惚れなきゃダメなんです。だから自分がこれを覚えようと思ったら、必死になって死ぬまでずっとスキルアップするのが成功にも繋がるだろうし、それから自分がよくなった時に立派な人間になれるじゃないのかなと私は思います」。

これは好きなことに打ち込むことであり、習得や達成に向けた努力であり、充実感をもたらす終わりのない旅であることをよく表している。

興味深いことに、小野シェフは自分の店で寿司を作ることだけを管理しているわけではない。小規模で開放的な店だからこそ、お客さまの試食や反応を間近で見ることができ、その反応を見て寿司を修正することもある。

小野シェフの「Ikigai」とは、寿司作りの素晴らしさを追求し、その素晴らしさを寿司やファインダイニングを愛する人々と共有することまでを含んでいるのかもしれない。

 

また、世界的に有名な霊長類学者のジェーン・グドール氏も「Ikigai」を実践している人物と考えている。

グドールは、幼い頃から動物、特に霊長類に興味を持っていた。20代前半、彼女は霊長類への情熱を追求するために、人類学者のルイ・リーキーに手紙を出した。リーキーは、現代の類人猿を研究することで、自分が最も興味を持っている初期の人類の祖先の行動を知る手がかりになると考えたのだ。

リーキーの協力を得て、グドールは生涯をかけて野生の類人猿の研究を始めた。そして、類人猿との密接な関係を築き、彼らの知性や社会的相互作用を記録することに長けていった。また、動物愛護家として、類人猿や他の動物を有害な実験や生息地の破壊から救ってきた。

このように、グドールは自分の情熱を追求し、その分野での技術を身につけ、霊長類の知識や保護に対する世界のニーズを満たし、猿の行動に関する本の出版や講演料で生計を立ててきたのである。類人猿とつながり、類人猿について学び、類人猿を擁護することで、すべての生き物と積極的につながっていくことが、彼女の「Ikigai」の中心であると思われる。

最後に  

自分が得意で充実感を得られ、他社に貢献的できること―つまり毎朝楽しく目覚める理由、「Ikigai」を探すことは、意識するしないにかかわらず、多くの人がすでに行っていることではないだろうか。そしてこれは、自分がなんのために生きているのか・何のために働いているのかという存在意義(=パーパス)を探求することともいえる。存在意義(=パーパス)を見つけることは、人生に意味を見出し、より大きな充実感や幸福感につながるといえるだろう。

人間の基本的な欲求には、安心安全を確保することは勿論だが、それらの先には情熱を追求したり、才能を伸ばしたり、人を助けたりすることがある。しかし、これらの欲求が具体的にどのように満たされ充実した人生を送ることができるのか、多くの人にとって必ずしも明確ではない。そこで、内省が必要になるのである。

このブログが、皆さんが自分の「Ikigai」を考え、存在意義(=パーパス)探求や内省を行うきっかけになれば幸いである。

参考文献

1. Joosr. (2016). A Guide to… The Blue Zones by Dan Buettner: Lessons for Living Longer from the People Who’ve Lived the Longest. https://www.amazon.co.jp/-/en/Joosr-ebook/dp/B01LK3D7SM/ref=sr_1_1?dchild=1&keywords=The+Blue+Zones%3A+Lessons+for+Living+Longer+From+the+People+Who%E2%80%99ve+Lived&qid=1621233808&sr=8-1

2.Héctor García. (2017). Ikigai: The Japanese Secret to a Long and Happy Lifehttps://www.amazon.co.jp/-/en/H%C3%A9ctor-Garc%C3%ADa/dp/178633089X/ref=sr_1_1?dchild=1&keywords=Ikigai%3A+The+Japanese+Secret+to+a+Long+and+Happy+Life&qid=1621233828&sr=8-1

3.Amanda Kudo. (2018). My Little Ikigai Journal: A Journey into the Japanese Secret to Living a Long, Happy, Purpose-Filled Life https://www.amazon.co.jp/-/en/Amanda-Kudo/dp/1250199816/ref=sr_1_1?dchild=1&keywords=My+Little+Ikigai+Journal%3A+A+Journey+into+the+Japanese+Secret+to+Living+a+Long%2C+Happy%2C+Purpose-Filled+Life&qid=1621233849&sr=8-1

4.Ken Mogi. (2018). Awakening Your Ikigai: How the Japanese Wake Up to Joy and Purpose Every Day. https://www.amazon.co.jp/dp/B077MX1JF7/ref=dp-kindle-redirect?_encoding=UTF8&btkr=1 

5.二郎は鮨の夢を見る. (2013). Amazon.co.jp: 二郎は鮨の夢を見るを観る | Prime Video