フィードバックとは
フィードバックという言葉はよく耳にするが、本当にそれが何であるか、そしてなぜそれがそれほど重要なのかを知っていない人はいるかもしれない。「フィードバック」という言葉は、ある個人が、他者(またはグループ)の行動や言動について客観的な情報や意見を他に伝え、それにより将来の行動や言動を調整・改善できるようにすることを意味する。
効果的なフィードバックは、対象が個人であれ、グループであれ、ビジネスであれ、事業部であれ、組織であれ、会社であれ、改善と向上、多くの意思決定に役に立つ。
しかし、ネガティブなフィードバックは扱いが難しく、うまく伝えられないと逆効果なことがある。誰もが耳の痛いフィードバックを受けたことがあると思うが、受け入れるのは簡単ではない。
適切なフィードバックは、人生を豊かにするようなポジティブな経験にもなり得る。実際、ギャラップ社の世論調査によると、「従業員は、たとえそれがネガティブなものであっても、フィードバックがないよりは、どんなフィードバックでも欲しいと考えている」ことが明らかになっている。
このブログでは、フィードバックを伝える際に心がけるポイントを紹介する。
フィードバックを伝える際に心がけるポイント
ネガティブなフィードバックは、自分の悪いところに焦点を当てているように見えるかもしれないが、正しい見方をすれば、改善のための大きなチャンスとなる。そして、自分と異なる角度からのフィードバックは、成長するチャンスを与えてくれるのである。
フォーブス(2018)に寄稿したアッシラ・プロサックは、「フィードバックはマネジメントをするためにの最高のツールだが、適切に伝えるだけで効果を発揮する」と述べている。
では、フィードバックの際には、どのようなことに気をつければよいのだろうか。
自分の考えを相手に伝える前に、考えておくべきポイントがいくつかある:
1.先入観を持たず、立ち止まって聞く
フィードバックをする時についつい自分のほうが話しすぎてしまうことがある。相手の立場を理解するために時間をかけることで、共感と深い洞察が生まれるため、一度立ち止まって、先入観を持たずに相手の本音を聞いてみよう。本人と一緒になって、何が起きたのか、なぜ起きたのかについて考えを聞いてみよう。相手の行動が正しい可能性もあるし、何が起こったかについてのあなたのイメージが不完全である可能性もある。
2.タイムリーに、誠実に
フィードバックは驚きのあるものであってはいけない。観察された言動のあと、タイムリーに伝えることで、何についてフィードバックされているのかの理解がしやすくなる。
3.建設的な提案をする
問題を特定し、それを解決するためのプランを一緒に考えることは有効である。新しい行動やより良いアプローチを学びながら、同じ過ちを犯さない方法を見つけることを支援しよう。
4.解決法を直接伝えるのが答えではないかもしれない
内省を促すような質問をする。このようなサポートは、その人が何が良かったのか、あるいは悪かったのかの自己理解を助け、探究心や反省を促すことになる。
ネガティブなフィードバックを肯定的に受け取とることができれば、その人は改善に取り組むモチベーションが高まる。しかし、敬意や礼儀を欠いた対応をする場合、無視されるか、精神的、感情的、あるいは肉体的なダメージを招くことになる。
5.フィードバックはネガティブなものに偏らないようにする
うまくいっていないことだけにフォーカスするのはやめよう。うまくいっていることにも目を向けることで、その人の成長を支え、正しい方向に導くことができる。
6.フィードバックはポジティブなものに偏らないようにする
逆に、うまくいっていることばかりを取り上げてもいけない。ポジティブな部分だけを取り上げてしまうと、聞き手は改善すべき点がないと思い、ほとんどすべてのことがうまくいっているように見えるため、元の状態に戻ってしまう。バランスが重要である。
7.厳しいフィードバックは逆効果になる可能性がある
「厳しいフィードバックは、人が成長し、優れた能力を発揮するのに役立たない。効果的なフィードバックは、敬意と関心をもって行われる必要がある。否定的なコメントを頻繁にすると、防御的な反応を引き起こし、モチベーションを低下させる。」フィードバックは慎重に、そして敬意を持って伝えよう。あまりにも頻繁に、しかも気持ちを無視してフィードバックされると、相手は防御モードに入ってしまい、自信や自尊心、モチベーションを失ってしまう可能性がある。
8.誰に対しても同じ方法でフィードバックするのを避ける
「サンドウィッチ」式フィードバックはよく知られているが、必ずしも万能ではない。「褒め言葉、改善点、褒め言葉」のセットは、同じ相手に繰り返し使うと、逆に構えてしまうことをにつながりかねない。
フィードバックは他のマネジメント手法と同様、万人に通用する手法はない。「これには多少の時間と労力が必要だが、伝え方をきちんと戦略の詳細を考えることで最終的には信頼関係の構築と、自分が望む行動の変化を促すことができる。これこそが、フィードバックの最終目的だ。」
9.直接的かつ明確に
フィードバックの際、遠慮することでメッセージが曖昧になることがある。フィードバックが終わった後相手が「自分が何をすべきか」わからない状態で部屋を出て行かないようにしよう。失礼にならないように、また思いやりのない態度をとらないように、だがはっきりと直接フィードバックを述べよう。必要であれば、話し合った内容を明確にするために、フォローアップのメールを送ろう。
10.定期的なフォローアップ
定期的にミーティングを行い、開発計画を立てよう。指導を行い、本人が実行したステップや受けたトレーニング、結果が改善されたかどうかを確認してもらう。そうすることで、信頼関係を築き、今後のフィードバックのためのより強固な関係を築くこともできる。
最後に
フィードバックは、その人がやっていることと期待されていることの間のギャップを埋めるための貴重なアプローチである。フィードバックを定期的にすることで、パフォーマンスの向上をサポートする洞察が得られ、個人と組織の双方にとって有益なものとなる。
最後に、自分のやり方が常に最も適切であると考えるのはあまり良いことではない。自分の方法に固執せず、相手がその強みを発揮できるように促すことも重要である。そうすれば、フィードバックを受けた人は、状況を改善し困難を解決するためのより効果的な方法を見つけられるかもしれない。
テクニックも大事だが、相手の成長というゴールを見失わずフィードバックをしていこう。
参考文献
1.Brim & Asplund.(2009). Driving Engagement by Focusing on Strengths. Gallup. https://news.gallup.com/businessjournal/124214/driving-engagement-focusing-strengths.aspx
2.Craig Chappelow ., Cindy McCauley. (2019). What Good Feedback Really Looks Like. Harvard Business Review. https://hbr.org/2019/05/what-good-feedback-really-looks-like
3.Ashira Prossack. (2018). How To Give Negative Feedback More Effectively. Forbs. https://www.forbes.com/sites/ashiraprossack1/2018/08/31/how-to-give-negative-feedback-more-effectively/?sh=55156db14163
5.Alisa Cohn. (2017). 『「サンドイッチ」式フィードバックはもうやめよう. 』Forbs Japan. https://forbesjapan.com/articles/detail/16876