A ホフステードモデルは国と国のポジションの差を相対的に比較したものです。ミドルクラスの世帯が増えるに連れ、権力格差が小さくなり、個人主義の傾向に緩やかに動きますが、この変化は世界全体で起こっています。一方、国と国のポジションの差には変更はありません。
Q「戦前・戦後で日本の文化は大きく変わったと思うが、ホフステードではどう捉えているのか?」
A 第二次世界大戦は日本にとっての大きな転換点ではあり、戦後目に見える部分の文化が大きく変わったのは間違いないと思います。一方ホフステードモデルは目に見えない、非常にゆったりとしか変化しない価値観の部分を扱っています。戦争の影響を受けたのは日本だけではない、という視点も重要です。
ちなみに、ホフステードの次元を組み合わせて世界を6つの文化圏に分類することができますが、日本はどこにも属さず、独自の、一国だけで文化圏を形成しています。相対的に比較すると、それだけ日本がユニークな存在であることを意識化したいと考えます。
Q 「相手の国でコミュニケーションを取るには相手の文化に染まった方が良いのか?」
A 100%染まる必要はありません。自分が譲れない、大切にしている部分を保ちつつ、相手との協働を実現するために、必要な部分で相手の国民文化に適合していくということを私は実践しています。
宮森様「ファシリテーター同士の勉強会でも『日本人はファシリテーションに向いた国民性を持っている』と言われています。なぜなら、ここまで権力格差と個人主義が中庸である国であり、 in between のリーダーシップが取れる可能性を思っているからです。また、多様性があればイノベーションが起こる訳ではなく、多様性とCQ(異文化適応力)の掛け合わせがイノベーションに繋がります。国民文化を理解した上で多様性を取り入れて行くことが大切です。」