Zapposはどうやって「社員のIkigai」を高めているのか?

Zapposはどうやって「社員のIkigai」を高めているのか?

ザッポスとは?

ザッポスは、1999年に故Tonny Hsieh(トニー・シェイ、以下トニー氏と言う)が創業し、アメリカとカナダで靴や衣料、アクセサリーなどを販売する通販サイトである。靴のオンライン小売りではアメリカ最大の企業である。「靴を売ることになった顧客サービス企業」と称し、カスタマーサービスを大切にすることでよく知られている。2009年から『フォーチュン』誌の「最も働きがいのある企業100社」にランクされている。ザッポスのCEOトニー氏は、2010年に『Delivering Happiness(日本語版:顧客が熱狂するネット靴店 ザッポス伝説)』を出版し、ウェルビーイング経営の要素のひとつ、「社員幸福度」を重視するCEOとしてよく知られている。

ザッポスとIkigaiの関連性は?

日本語の「Ikigai(生きがい、以下Ikigaiという)」という言葉が世界で注目され、『Ikigai: The Japanese Secret to a Long and Happy Life』や、『My Little Ikigai Journal: A Journey into the Japanese Secret to Living a Long, Happy, Purpose-Filled Life』など、「Ikigai」をキーワードにした書籍が出版し続けられている。

「Ikigai」はザッポスの社員の間にも共有されている言葉で、トニー氏も自身の著書『Delivering Happiness(日本語版:顧客が熱狂するネット靴店 ザッポス伝説)』の中で、「幸せを届ける」は企業成功をするための強力な鍵であり、そして周りの人々の幸せを大事にすることで、自分自身の幸せも大きく向上することができると主張している。また、「幸せで働けるためにはIkigaiを明確にする必要がある。社員がザッポスでの就業を通じて、Ikigaiを見つけられるよう、会社がサポートする」と述べている。今回は、ザッポスがどのように社員の「Ikigai」を重視し、社員幸福度を高めているのかを紹介する。

1.ザッポス大学

ザッポスの社員は、興味のある社内の勉強ツールU Learnクラスに登録することで、成長と学習を追求する機会を得ることができる。ほとんどのコースはオンラインビデオで、自分のデスクに座りながら受講できる便利なものとなっている。そして、すべてのコースは、社員一人ひとりが現在のポジションや興味のあるポジションで成長できるようにデザインされ、社員たちの自己研鑽をサポートしている。

2.シャドーセッション

例えば、ザッポスのコンテンツ部門で働いている社員の一人が、本当はコーディングの仕事をやってみたいと思っているとした場合、技術チームのマネージャーに連絡を取り、自分のやりたい仕事は実際どういう感じなのかを直接コーディングチームのメンバーと話すことができる「シャドーセッション」がある。このセッションを通して、その仕事についての見識を深め、それが本当に自分のやりたいことなのかどうかを知ることができる。また、シャドーセッションを行ったあと、もし本当にそれが自分がやりたい仕事であれば、ザッポス大学でコースを選んで、必要な知識を勉強する機会を得ることもできる。

3.ライフコーチング

ザッポス社内にあるライフコーチプログラムは、「社員と協力して、最高の自分になるための道筋を明らかにする」ということを目的としている。自分の「Ikigai」をどうやって見つけたらいいのかわからない人は、ライフコーチに相談してみることができる。ザッポスでは、社員がどんな人生の目標を持っていようと、それを達成するために全力で社員たちをサポートする体制が整っている。

4.柔軟なワークスケジュール

柔軟なワークスケジュールが、自分の存在意義を見つけるのに役立つのかと疑問に思われるかもしれない。例えば、あなたがパティシエになることに情熱を傾けているとする。今のままではそれは叶わないかもしれない。しかし、パティシエになることが自分にとって何よりも幸せなことである場合、ザッポスでは柔軟なワークスケジュールが導入され、ポジションによっては、早朝に出勤して昼過ぎには退社することもできる。あるいは、週に4日、それぞれ10時間ずつ働き、金曜日は自分の趣味に没頭するための休日にすることもできる。柔軟なワークスケジュールは「Ikigai」を見つけるのに役に立っている。

5.ボランティア活動

ザッポスでは、「人には良いことをしたいという欲求がある」と考え、定期的にボランティア活動を行っている。そして、このボランティア活動が、週末の定期的なイベントになったり、時にはフルタイムの活動になったりすることもある。そういった活動が、社員の「Ikigai」を見つけること繋がるとザッポスは信じている。

最後に

今回は、ザッポスの企業文化や取り組みと「Ikigai」との関連性についてまとめた。「社員幸福度」という考え方のもと、ザッポスのイキイキした企業文化や組織は成り立っている。

ウェルビーイング経営を実現するには、「社員を大事にする」ことが大切である。「社員のウェルビーイング」を優先し、そのためのサポート体制をザッポスは徹底している。ザッポスが「最も働きがいのある企業100社」になった背景には、このように「社員のウェルビーイング」を高める様々な取り組みが存在する。

参考文献:

1.Akihiro H ., Yoshinori F., Tanji H., Shoji S. (2003). [Regional differences in ikigai (reason(s) for living) in elderly people–relationship between ikigai and family structure, physiological situation and functional capacity]. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/12934571/

2.Talks at Google. (2010). Delivering Happiness: A Path to Profits, Passion, and Purpose | Tony Hsieh | Talks at Google. https://www.youtube.com/watch?v=jJ5k_Byd9Fs&t=1123s

3.Stanford Graduate School of Business. (2010). Zappos’ Hsieh: Building a Formidable Brand. https://www.youtube.com/watch?v=yxKlK58gDrA&t=1s

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