ビジョンをつくる際のアプローチとは?
過去のブログでは、「ビジョンとは」と「ビジョンをつくる前に考えるべきこと」をご紹介しました。我々アイディール・リーダーズは、理想の将来像(ビジョン)は挑戦的に高いレベルが提示してあり、できるだけ詳細に具体的に描かれていて、かつ、関わる多くの人々にとって魅力的であることが重要だと考えています。こうした、野心的で人々をワクワクさせる理想の将来像(ビジョン)が、企業に質と量の成長をもたらすのです。
今回のブログでは、アイディール・リーダーズ流のビジョンづくりの方法をご紹介します。「アイディール・リーダーズにビジョンづくりをお願いした場合、具体的にどういうアプローチで行うの?」という方に特にご参考になるかと思います。
なお、本ブログは、書籍「会社の問題発見、課題設定、問題解決」から一部抜粋する形でご紹介しています。
ビジョンアプローチ
ほとんどの企業には10年以上先の目標や計画がありません。代わりに中期経営計画がありますが、そこでは、過去の成長率をベースに3年後や5年後の目標を掲げています。これでは、未来は過去の延長線上にしかありません。経営において、問題の発見から解決に至るスタイルには大きく分けると2つあります。「ビジョンアプローチ」と「ギャップアプローチ」です。
ビジョンアプローチは、理想とする将来像を描き、それの実現に向けて組織構成員が主体的、前向きに推進していきます。理想とする将来像には多くのステークホルダーの理想的な状態が描かれています。一般的には5~10年先の姿を絵本にするように具体的に詳細に描きます。単年度の目標は、その将来像を実現するように逆算して設定します(「バックキャスティング」という考え方です)。
アイディール・リーダーズのビジョンづくりでは、このビジョンアプローチを考え方のベースとしています。
ギャップアプローチ:(ビジョンアプローチの対比にあるもの)
一方、ギャップアプローチは定量的な目標(主な財務目標)を設定し、組織構成員をプレッシャーによって駆り立てていきます。定量的な目標は、主に社員が目指すべきものであったり、株主に対するコミットメントとして示されます。
また過去の延長線上に達成できそうな難易度で目標が設定されることが普通です。過去の実績をベースに、将来の計画を立てるギャップアプローチが経営では通常のことだと思います。
「昨年は前年度から5%成長したから、今年度も5%ぐらいは成長できるだろう」、「過去5年間、平均年率3%成長したから、次の5年間は3%成長の計画を立てよう」といった感じだと思います。
経営において、このようなアプローチで目標設定することは珍しくありませんが、ビジョンづくりにおいては適した方法ではないと考えています。
なぜアイディール・リーダーズでは、ビジョンアプローチを取り入れているのか?
アイディール・リーダーズでは、日々様々な企業の皆様から、組織のビジョン策定についてご相談をいただいています。コンサルティング会社にビジョン策定を依頼する、といったとき、皆さんはどのようなプロセスをイメージされるでしょうか?おそらく、多くのケースでは、コンサルタントが外部環境・内部環境など様々な分析を行い、ロジックとストーリーを組み立て、「御社はこういうビジョンを目指すべきではないでしょうか」という提案をする、というプロセスかと思います。
しかし、私たちはそのようなアプローチではなかなか上手く行かないではないかと感じています。なぜなら、第三者がつくったビジョンには、その会社の方の想いや魂を込めることが難しく、「これを本当に実現していこう!」というコミットが生まれづらいためです。また、与えられたビジョンになってしまうと、その実現に向けた取り組みや思考がどうしても上記のギャップアプローチ的になってしまい、主体的でチャレンジングな動きが生まれにくくなってしまいます。
ビジョンアプローチでは、本当に実現したいと思える理想的な将来像を、その実現を担う本人たちが描きます。私たちアイディール・リーダーズの役割は、ビジョンを描く皆さまに伴走しながら、コーチングで培った技術を用い、皆様の強み・価値観、、本当に願っていること、新しい挑戦や可能性についてできる限り深く詳しく考えられるようなプロセスの設計をご支援することにあります。このような方法でつくられたビジョンは、「あるべき将来像」ではなく、「ありたい将来像」となり、皆様がワクワクを感じながら実現していくものになると考えています。
ビジョンアプローチでは具体的にどんなことをするの?
アイディール・リーダーズがご支援する場合、経営陣やビジョン策定プロジェクトチームの皆様で集まり、数日間の合宿を行います。その合宿の中で、ビジョンアプローチの考え方に基づき、Applicability Inquiryという手法※や、その他のツールを活用し、自分たちはどうありたいか、どんな会社にしていきたいか、5年後・10年後にはどんな未来を実現していきたいか、といった観点について、対話を通じてできる限り具体的なイメージを描いていただきます。最終的には、その内容を一言で表すキャッチコピーを作ったり、必要に応じて、動画やビジュアルやその他製作物などの作成もサポートをしていきます。
※「AI」とは、アプリシエイティブ・インクワイアリー(Appreciative Inquiry)の略で、Appreciativeは「真価がわかる」「価値を認める」、Inquiryは「探求」「質問」などの意味を表します。 AIは、米国で開発された人材開発や組織活性化のアプローチの一つです。
事例
弊社でご支援したビジョン策定の事例はこちらに掲載しています。
ご興味がある方は是非ご参照ください。
ライフアンドワークデザイン株式会社様
お客様に寄り添う存在であると同時に、社員が胸を張って主張できるビジョンを創り上げたいという想いから、ワークショップをご依頼いただきました。その経緯や背景、ご感想についてお伺いいたしました。
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アルプスアルパイン株式会社様
アルプスアルパイン株式会社の中核を担っている技術部門から、3名の方に、アイディール・リーダーズに「ビジョン策定プログラム」をご依頼いただいた背景やご感想についてインタビューさせていただきました。
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株式会社データ・アプリケーション様
株式会社データ・アプリケーション様ではビジョンの策定についてご支援させていただきました。
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参考文献
日本の人事部. (2015). AI(アプリシエイティブ・インクワイアリー. https://jinjibu.jp/keyword/detl/731/
永井恒男、齋藤健太. 会社の問題発見、課題設定、問題解決. クロスメディア・パブリッシング(インプレス). (2019).