アステナホールディングス株式会社 代表取締役社長 岩城 慶太郎様「楽しい」を選択する経営者とのコーチング

アステナホールディングス株式会社
代表取締役社長 岩城 慶太郎様
「楽しい」を選択する経営者とのコーチング

アステナホールディングス株式会社

アステナホールディングス株式会社

https://www.astena-hd.com/

話し手
アステナホールディングス株式会社
代表取締役社長 岩城 慶太郎様
聞き手
アイディール・リーダーズ株式会社

ご依頼の背景

この度、アステナホールディングス株式会社代表取締役社長の岩城慶太郎様にアイディール・リーダーズのエグゼクティブ・コーチングを提供しました。

子会社社長時代はどこか「物足りなさ」を感じていた

岩城

エグゼクティブ・コーチングを受ける前は、正直に言うと、何かをする時に「めんどくさい」と口にすることがありました。これは私が子会社の社長をしているときにできてしまった口癖です。当時は、リーマンショック直後の激流をなんとか乗り切り、業績を急激に回復させ、海外の事業所を複数構築するなど、様々なことに取り組んでいました。しかし、心から楽しいというよりは、職務を誠実に遂行しているという感覚を持っていました。その後、イワキ株式会社(アステナホールディングス株式会社の前身)の代表取締役となりましたが、子会社の社長を務めていた頃に見た景色をもう一度見ている気がして、物足りなさを感じていました。

アイディール・リーダーズのエグゼクティブコーチングは、
心理的安全性が高く自由に話すことができる

岩城

このような物足りなさを感じている状況の中でアイディール・リーダーズのエグゼクティブ・コーチングを受けました。

アイディール・リーダーズ永井さんのコーチングは、自由度が高く、「何を話しても良い」と思えるほど心理的安全性が高く、話しやすいものでした。そして、永井さんのコーチングは、型にはまらないところも特徴の一つです。「コーチとはストイックな人である」というイメージを持っており、コーチがストイックだと私自身もストイックにしなくてはならないと思っていました。

一方で、永井さんのコーチングは「大きなゴールを設定しなくてはならない」や「ストイックである必要がある」などのプレッシャーがなく、肩の力を抜いてコーチングを受けることができました。

「楽しい」が口癖となり、人間の「豊かさ」に想いが至るようになった

岩城

心理的安全性が高く、自由に話すことができるアイディール・リーダーズのエグゼクティブ・コーチングを受けてから、「自分は社長として何をするべきか?」ではなく「社長である自分は何がしたいのか?」と考えるようになりました。これにより一見するとビジネスになりそうに無いテーマにも興味をもって取り組むことができるようになり、新たな取り組みにもチャレンジできるようになりました。そして、口癖が「面倒くさい」から「楽しい」に変化しました。今では1日に何回も「楽しい」と口にしています。

本社を石川県珠洲市に移転し、売上高1,300億円・SDGsの達成を目指す
そのきっかけは「人間の豊かさ」についてコーチングで考えるようになったから

岩城

2021年1月、イワキ株式会社は本社機能の一部を石川県珠洲市に移転することを発表しました。

https://www.iwaki-kk.co.jp/dcms_media/other/20210125_honsya.pdf

また、2021年には中長期経営ビジョン”ASTENA 2030”を発表し、1300億円の売上高を目指しています。

https://www.iwaki-kk.co.jp/dcms_media/other/20210113_vision.pdf

中長期経営ビジョン”ASTENA 2030”では、基本的戦略として

・ニッチトップ事業の磨き上げ

・プラットフォーム事業への転換

・ソーシャルインパクトへの投資と育成

上記の3つを掲げました。

また、定量的ターゲットとして2030年までに、

■ 売上高: 1,300 億円以上

■自己資本当期純利益率(ROE):13.0%以上

を達成する

といったように2030年に向けたストレッチングな目標を掲げています。

さらに、珠洲市への本社移転後は、SDGsに関連した地域に貢献する新規事業を推進しています。

https://www.nikkei.com/nkd/company/article/?DisplayType=1&ng=DGXZQOJB299JI0Z20C21A1000000&scode=8095

 

珠洲市への移転・地方創生の取り組みにつながったのは、”コーチングでの対話を通し人間の「豊かさ」について考えるようになったことがきっかけ”、と仰っていた岩城様。インタビューでは次のようなお話もいただきました。

岩城様コメント

岩城

ドイツの哲学者であるハンナ・アーレントによれば、労働とは人間が生命を維持するための富を得ることであり、消費とは労働から得た富を使うための時間のこと、だと言います。つまり、労働と消費は富を通じて一対の関係になっていると考えられます。当たり前の話なのですが、よく考えるとこの話は奇妙です。

労働の社会的な目標は往々にして「我々の生活を便利にすること」に設定されています。特に、東京のような都会に住んでいると、誰かの労働の結果としての利便性を享受しやすくなります。いまやスマートフォンひとつで大抵のことができるようになりました。買い物や食事、掃除や洗濯、移動の手配、医師の診察すらオンラインでできるわけですが、これらの裏側には必ず誰かの労働があります。つまり、我々は労働を重ねれば重ねるほど、結果として自分たちの生活が便利になり、消費のための時間が増えていくことになります。

しかし労働の対価として我々が得ている富は、そこまでダイナミックに変わりません。極端な例ですが、自宅の目の前にコンビニができたり、新しいiPhoneが発売になったりしても、私たちが日々貰っている給料は増えません。生活が便利になることで自由な時間は増えますが、労働から得られる富は増えません。そして、消費を「富を消費するため使われる時間」と定義するならば、労働によって得た富を消費し終わってしまった後は、何もすることがない時間が増えてしまいます。有体に言えば「ヒマはあるがカネは無い」という状態です。

もしかしたら、この労働でも消費でもない時間(便宜上ヒマと呼ぶ)があることを「豊かさ」と呼ぶのではないかと、最近思うようになりました。労働によって充分な富が得られず、ヒマを労働に充てざるを得ない人は残念ながら豊かではありません。あるいは富が十分にあっても、それを消費することに執着してヒマな時間が無いという人も(長い目でみれば富は消費し尽くされてしまうので)豊かとは言えません。では、ヒマな時間をただぼんやり過ごしている人は、豊かと言えるのでしょうか?何かそれも違う気がします。

アーレントに拠れば「人間の条件」は、労働-laborと、仕事-workと、活動-actionだと言います。そのうち対価として富を得るためのものは労働だけであり、仕事は対価を求めない創作、活動は他人に対して取る行動のことだと定義しています。これが真だとすれば、ヒマな時間をただぼんやりと過ごすのではなく、アーレントの言う仕事や活動に使えるということが、人間らしい豊かさのある生活と言えるのではないでしょうか。

当社グループは本年6月のホールディングス化に伴い、石川県珠洲市に本社機能の一部を移転することを発表しました。いろいろな人から「きっと、のんびりとした良い場所なのでしょうね?」と言われるのですが、実際はそうでもありません。都会と比べると不便であるため、消費のために多くの時間がかかりヒマが少ないです。そして仮にヒマな時間ができても、ぼんやり過ごしていられません。なにしろ、地域における「仕事」や「活動」が多いのです。近所に住む人たちが、対価を求めずにアワビやマツタケを持ってきてくれます。これに応えるためには、相応の「仕事」や「活動」で返さなければなりません。

豊か過ぎて、本当に忙しい場所です。皆さんにも、ぜひ一度訪れて欲しいと思います。

コーチからの一言

未来の退職届を書く

永井

岩城社長は私がお会いする以前から卓越した経営者でした。それは業績にもあらわれていますし、ご経歴からも誰もがご理解されると思います。株価も、岩城社長がご就任してから、3倍以上になっています(2021年4月23日に年初来最高値を更新)。*イワキ株式会社の業績ハイライトはこちらをご参照ください。https://www.iwaki-kk.co.jp/ir/financial.html

優れた経営者である岩城社長が実は「できそうなことをやっているだけで本当の意味でチャレンジしていない」と感じているのは驚きでした。数々のM&Aを実施し、事業領域を大きく広げてきた実績をお持ちにも関わらずです。これは本人にしかわからないことです。社会的な成功と裏腹に、実は本人としては成功するとわかっていることだけやっていて、自分の中では多少経営に飽きている状態だったのです。

そこで私は岩城社長にいつの日か引退する際に「自分はこんな経営をしてきた」と話すことになるのか?を考えていただきました。その結果描かれたのは「自らの信念に従って、無限に溢れるやりたいことをやりつづけた」と語っていたいということ。その後は岩城社長の信念を言語化し、その実現のための取り組みをブレストしたりしました。他人から見れば大きなことにチャレンジしている素晴らしい経営者であっても、自身が気づいていない満たされぬ思いや欲求をお持ちのこともあります。そうした思いや欲求を一緒に探求し、更なるチャレンジに伴走するのもエグゼクティブコーチとしての醍醐味でもあります。今も私は岩城社長と定期的にお会いし、関連する事業に取り組んでいる他社の経営者をご紹介して意見交換したり、珠洲でのSDGsを実現について語り合っています。