JFEシステムズ 社員がMyパーパスを発見し、その実現を後押しできる会社に

JFEシステムズ 
社員がMyパーパスを発見し、
その実現を後押しできる会社に

JFEシステムズ株式会社

JFEシステムズ株式会社

https://www.jfe-systems.com/

JFEスチールグループのシステム企業として、情報システムの企画から開発・保守までを一貫して行うシステム・インテグレーション事業をはじめ、自社プロダクトを活用したシステムの構築やITインフラソリューションの提供も手がける。パーパス「はたらくをスマートに。はたらく人にスマイルを。」を掲げ、世の中のビジネスの進化と働く人の幸福感や満足度の向上をともに実現する会社になることを目指している。

話し手
JFEシステムズ株式会社
常務執行役員(総務部 経営企画部 経理部 CSR部担当) 中山 俊夫様
総務部 広報グループ長 兼 経営企画部 兼 人材開発部 DEI推進グループ 田中 恵美様
聞き手
アイディール・リーダーズ株式会社

ご依頼の背景

JFEシステムズ様は、設立40周年を迎えたことを機に2023年に企業理念を見直し、新たにパーパスを策定されました。このパーパスを社内に浸透させる取り組みの一つとして、社員一人ひとりが自分自身の志を発見し、会社のパーパスとの重なりを見出す「Myパーパス活動」を展開されることとなり、その企画および研修の実施について弊社に伴走を依頼されました。

「Myパーパス研修」は、まず役員からスタート。次に職位長(部課長)、更に各職場から募った若手リーダーを中心とするアンバサダー向けに開催されました。職位長とアンバサダーは、自部門にパーパスを広め、社員・組織に変化を生み出す推進リーダーとして「職場ミーティング」を開催。パーパスおよびMyパーパス策定の意義を自身の言葉として伝えると共に、社員のMyパーパス発見をサポートし、社員同士がMyパーパスを共有し合う取り組みを行いました。その際、社員一人ひとりのMyパーパス発見にはアイディール・リーダーズ作成の「Myパーパス発見の手引書」を活用されています。

今回は、本プロジェクトを企画・実施された中山様、田中様に、取り組みの背景や内容、成果や気づきなどを伺いました。

Myパーパス研修を実施することになった背景を教えていただけますか?

パーパスへの理解・共感を通して、社員一人ひとりが自分の意思をもってキャリアを築き、会社がその実現を後押しする組織づくりを目指した。

中山

当社は、2023年に設立40周年を迎えたことを機に企業理念を見直すことにしました。それまでも企業理念はあったものの、より当社らしい言葉で、かつ、社員が業務を行う際の指針となり、現実に活かされるものに刷新したいと考えたのです。

そのため、新しいパーパスの策定にあたっては、当社の志や大事にしたい価値観をきちんと言葉にすること、私たちが目指すものを社内外のステークホルダーの皆さんに分かりやすくお伝えできることを重視しました。

こうした思いのもとでパーパスを策定し、認知いただくところまではスムーズに進められたのですが、次の理解・共感活動において、社員に自分事として腹落ちしてもらうために、どのような活動をどのように進めるのが最も望ましいのか、まったく確信が持てなかったのです。連結で2,000名弱とは言え、社員一人ひとりにパーパス策定の意義を伝え、同じ船に乗ってもらうことの難しさは容易に想像できました。

そのため、同様のプロジェクトを数多く手掛けられてきた外部のプロフェッショナルに協力を求めることにしました。実例に基づく教訓を取り入れることで、当社の理解・共感活動の精度を高め、回り道をすることなく効果的に進めることを目指しました。

田中

私たちが事業を行っているIT業界は、テクノロジーの進展などの変化が激しい業界です。また、コロナ禍を契機に在宅勤務を導入しており、自らの働く意義を問い直す社員も多くいたように思います。

こうした環境変化を背景に、社員一人ひとりが何を大切にし、当社で何を実現してどのようなキャリアを築いていきたいのかを考えてもらい、その実現を後押しできる職場風土をつくるべきだと考えるようになりました。この風土づくりも、パーパス浸透を目指した背景のひとつです。

吉原

パーパスの理解・共感活動を企画するうえで、どのようなことを意識していましたか?

中山

パーパスが持つ人を動かす力を借りて、目指す方向に会社を変えていくことがそもそもの目的なので、一人でも多くの社員に当社のパーパスを理解し、共感してもらえるような活動であること、また、理解・共感活動のプロセス自体に、職場の心理的安全性を高め、コミュニケーションをよりスムーズにする効果を期待していたので、より多くの社員が実際に手を動かして参加する活動であることを重視しました。今後の当社の成長には、受託したシステムをお客様の要求通りに開発するだけでなく、お客様の課題を捉え、より良い提案を行い、お客様と共創していく力が鍵になります。Myパーパス活動を通して、自ら学習し、考え、行動する自考・自律・自走のメンタリティを高めることを目指しています。

今回の取り組みのパートナーとして、アイディール・リーダーズを選んでいただいた理由をお聞かせください。

パーパスにまつわる豊富な実績や最新の知見がありながらも、自社にとってベストな企画を一緒に考えてくれた。

田中

外部パートナーを選定するにあたっては、数社にお声がけしました。その中でアイディール・リーダーズを選んだ理由は、Myパーパスにまつわる知見や経験が最も豊富だったことです。

中山

何社かに相談する中で、アイディール・リーダーズのように、パーパスに関する最新の潮流を押さえた上でサービスを展開している会社はさほど多くないことが分かってきました。

そして「答えを提示しない」というアイディール・リーダーズの特徴に得心が行ったことも、パートナーとして選んだ理由です。事前のコミュニケーションでも、Myパーパス研修のファシリテーションにおいても、この姿勢は一貫していました。始めはとまどいもありましたが、考えてみれば置かれている環境や組織風土などは各社各様ですし、パーパスの根付かせ方が会社によって異なるのは当然です。そうすると、「最後は我々当事者が決めるもの」というスタンスは、とても自然に思います。

丹羽

「このプロセスを実施すれば、必ずパーパスが浸透する」ということはあり得ないと我々も考えています。さまざまな会社をご支援してきた実績や経験はありながらも、JFEシステムズ様にとってベストな方法を見出すには、話し合いながら進めていくしかないと思うのです。

田中

まさに、話し合いを重ねて企画を固めていった実感があります。最初にお声がけした時点では、Myパーパス活動推進を通して目指したい当社の姿、組織の上層部からパーパスを浸透するといった大枠のコンセプトはありましたが、具体的な企画はこれからという状態でした。Myパーパスの定義、Myパーパス研修、アンバサダー制度などは、アイディール・リーダーズに相談しながら企画したものです。

当社にとって最適な施策を一緒に考えていただきながらも、時折「そのやり方だと効果が出ない」「ここは特にハレーションが起きやすいポイントなので、慎重に進めたほうが良い」など知見をもとにしたアドバイスをいただけたので、私自身、安心感をもちながら企画を進められました。皆さんのおかげで、ベストな企画ができたと思っています。

Myパーパス研修の様子をご覧になって、どのような感想をお持ちになりましたか?

研修での対話を通して、お互いへの理解が深まった様子が感じられるとともに、アンバサダーの若手社員の柔軟な考え方に触れられた。また、社長や役員である中山様が毎回の研修に同席したことで、会社として本気でパーパスに向き合っていることが社員へ伝わったと感じている。

中山

私自身、役員向けMyパーパス研修に受講者として参加し、この研修によって、受講者がお互いの理解を深められることを実感しました。生まれてからこれまでの自分の人生曲線をお互いに語り合うパートでは、他の役員がどのような経験をしてきて、どのような価値観を大事にしているかを知ることができました。また、会社のパーパスと接続する自身のMyパーパスを他人に話すパートでは、自分のやりたいこと、大事にしたいことの存在をより鮮やかに意識することができました。
こうして、お互いを知り、自分を知ることで、よりスムーズにコミュニケーションをとることができるようになったと思います。

この体験を通して、職場内でMyパーパスを共有する取り組みの意義をあらためて感じましたし、組織全体に良い効果をもたらすのではないかとの期待を持つことができました。

田中

私が活動スタート時にまず印象に残ったのは、自分がやりたいことを言葉にして、この会社で何をしたいのか、どう進んでいきたいかをいざ問われると、戸惑う社員が想定以上に多かったことです。当社社員はシステムエンジニアが多数を占めますが、背景には、顧客要件通りにシステムを完成させることをミッションとする受託開発を生業としてきた、当社の事業特性が影響していると思います。「Myパーパス活動は、普段使っている思考と異なる脳を使う」と表現したシステムエンジニアもいました。Myパーパスを考えることで、思考のOSが、未来視点で自分や会社がどう在るべきかに切り替わってきたからこその感想だと思います。

次に印象に残ったのは、パーパスに対する世代間の受け止め方の違いです。次世代を担う若手リーダーを中心に構成されているアンバサダーの研修では、既存の価値観に囚われない柔軟な考えをもち、「楽しく働きたい」「仕事でもっとワクワクしたい」「会社と一緒に変わっていきたい」と心から思ってくれていることが研修の様子から伝わってきました。

と同時に、パーパス浸透は、アンバサダーが活躍することで大きく前進するかもしれない、という期待が生まれたことを覚えています。実際に、アンバサダーは、主体的に職位長と相談の上、自部門における浸透活動計画を立案し、自由に創意工夫を重ねながら、自律して活動を進めてくれています。

また、私はDE&I(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)に長年携わってきましたが、Myパーパス活動はインクルージョン実現に向けた施策という一面もあり、必要なコミュニケーション手法を具体的に学び、実践できる活動であると感じています。例えば、研修で自身の志を見つける手段として採用した「ディスカバリーインタビュー」では、アイディール・リーダーズから、傾聴などのコミュニケーションのポイントと効果についてお伝えいただきました。また、職場ミーティングにおける心理的安全性確保の具体的手法、ファシリテーションのポイントについてもレクチャーいただきました。
相手を理解して尊重しようとする姿勢は、Myパーパス活動はもちろん、当社が経営課題の一つとしているDE&I推進にも活きてくるはずです。職場でも実践しやすいポイントを多く教えていただいたことに感謝しています。

吉原

Myパーパス研修のすべての回に大木社長と中山様が同席されていましたね。経営トップの強いコミットメントを感じました。

田中

そうですね。組織開発は、経営トップのスポンサーシップが非常に大切です。大木社長は、全てのMyパーパス研修に同席され、活動に対する自らの本気の想いを直接語ることを大切にされました。さらに、社員に対しても、社内報、ライブ配信、全社員に向けたメール送信などを利用して、頻繁にメッセージを発信されています。最近でも、社員から寄せられた活動に対する質問に社長自ら回答されたり、アンバサダーへ労いと励ましの言葉を直接かけられたりしています。こうした経営トップの本気の姿勢が、社員に伝染し活動が広がっていることを現場で実感しています。

研修の参加者からは、どのような感想や反応がありましたか?

自己理解が深まるとともに、働き方を考えるきっかけになったという声が多くあがった。自らの志と会社のパーパスとの具体的な重なりは、あらゆる仕事の機会に積極的に挑戦することでフィットするものが見つかると考えている。

田中

Myパーパス研修後は、「自分がこれまで何を大切に働いてきたのか分かった」という感想が多くあがりました。また、「やるべきことが明確になり、時間やパワーのかけ方が変わった」「チームの一員としてどうしたいかを考えるようになった」など、働き方が変わったという感想を寄せてくれた参加者もいました。

一方、どの世代も自らの志と会社のパーパスとの具体的な重なりは、簡単には発見できなかったようです。ただ、初めはそれで良いと考えています。自らの価値観や志を言語化することで、「どういう状態になると自分は楽しく仕事ができるのか」がはっきりし、仕事の機会を自身で選び取れるようになれますし、周囲から提案される仕事の機会も増えるはずです。まずは、自身の価値観や志を言語化し共有すること、そしてあらゆる機会に積極的に挑戦しながらフィットするものを探す中で、会社のパーパスとの重なりが具体化していくのではないかと考えています。

中山

役員向けMyパーパス研修を終えた後、経営トップからは「アイディール・リーダーズにお願いしてよかった」とのフィードバックをいただきました。社員がファシリテートしたのでは、あれほど深く、率直に役員が対話することはおそらくなかったのではないか、と。私もアイディール・リーダーズのおかげで、役員向けMyパーパス研修を有意義なものにできたと思います。この点についてもとても感謝しています。

Myパーパス研修実施後に組織の変化はありましたか?

アンバサダーは、全社施策に関わることをポジティブに受けとめ、浸透活動を進めてくれている。また、経営トップとアンバサダーが対話で内省しながら行動変容し、Myパーパス活動の未来を共創する取組みが始まった。

田中

現在、職位長とアンバサダーが推進リーダーとなって、自部門におけるMyパーパスの策定と共有を進めています。中でもアンバサダーは、全社施策に関わることをポジティブに受けとめ、熱心に浸透活動を進めてくれています。アンバサダーには、活動を自律して進める中で「行動すれば、自分も組織も変わっていける」という手ごたえを持ってもらえるように、今後も活動をリードしていきたいです。

中村

Myパーパス活動を浸透する中で、苦労された点はありましたか?

田中

Myパーパス活動は、実際にやってみて初めて意義が感じられるという側面があります。研修前は「これから、何が始まるんだ?」という表情で参加していた社員も、Myパーパス発見のワークを通して、笑顔になりコミュニケーションが活性化する瞬間を何度も見てきました。

当社のMyパーパス活動は「推奨活動」という位置づけですので、いかに活動に参加してもらうかが重要な取組みとなります。アンバサダーは、活動に誘うためのメール配信やチラシ、説明資料を自作するなど自由に活動しており、一生懸命パーパスに向き合ってくれていることを嬉しく思います。さらに、「アンバサダー全体会議」を開催し、アンバサダー間で活動推進における成功事例やうまくいかなかったことなどを共有し、活動をレベルアップしています。
また、大木社長とアンバサダーが参加する「タウンホールミーティング」を開催し、Myパーパス活動を通して社員と会社にどのような変化を起こしたいかを対話で共創する取り組みも始めました。トップダウンの施策ではなく、経営トップとアンバサダーが対話で内省しながら行動変容し、Myパーパス活動の未来を共創していく、とても意味のある場になっていると思っています。

今後の取り組みや、展望についてお聞かせください。

パーパス浸透は短期間で実現できるものではないからこそ、継続して施策を実行し続けることが重要だと考えている。社員のパーパス実現を支援する組織づくりを進め、会社をさらに成長させていきたい。

中山

ようやく職位長向けMyパーパス研修をやり遂げ、職場ミーティングなど社員向けの活動を広げ始めたばかりなので、目に見える変化が出てくるのは少し先になるでしょう。それまではタウンホールミーティングなどの浸透策をしっかり継続することが重要と考えています。

現在当社では新しい中期経営計画を策定中です。来年は、この中期計画とMyパーパス活動を両輪に更なる飛躍を目指したいですね。

田中

たくさんの社員がMyパーパスを見つけて当社で働けるようになれば幸せなことですし、雇用流動性が高いIT業界において、社員のMyパーパスを応援できる組織であることは、当社の将来的な成長のために重要な要素だと考えています。

Myパーパス活動の枠組みはコンテンツでしかありません。したがって、それによって組織が短期間で変わることはありません。5年、10年といった長い視点で活動を推進し、どのような意図を持って組織の土壌を耕してきたか、というプロセスが重要だと考えています。粘り強く取り組んでいきたいと思います。

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