日本カーソリューションズ
社員のエンゲージメントを向上し、
さらなる社会貢献を実現するための
パーパス共鳴ワークショップ
日本カーソリューションズ株式会社
日本カーソリューションズ株式会社
https://www.ncsol.co.jp/
各種自動車のリースやメンテナンス受託などを手がける、オートリース業界における大手企業。激変する自動車業界において、お客様に寄り添うことを第一に考えるとともに、近年は企業変革を推進し成長を遂げてきた。2023年にパーパス「Your Mobility Partner あなたとツナガル 次代へツナゲル モビリティサービスで人と社会を結び、持続可能な未来を支える。」を策定するとともに理念体系を再整理し、クルマを通してサステナブルな社会の貢献をしていくことを目指す。
ご依頼の背景
日本カーソリューションズ(以下、NCS)様は、組織改革をハード面(人事制度や職場環境整備)とソフト面(社員の働きがいやエンゲージメント向上など)の両方から取り組む中で、パーパスを含めた企業理念を全社へ浸透させるプロジェクトを発足させました。
本プロジェクトでは、アイディール・リーダーズ永井による講演や社長メッセージの動画配信を行った後、各組織の部支店長と次長を対象に「パーパス浸透ワークショップ」を実施。
組織の上層部から順番にパーパス共鳴・浸透を図るという考えのもと、組織への影響力が大きい上層部である部支店長向けにワークショップを行い、部支店長が自組織でパーパスを説明した後、現場を束ねる次長向けにワークショップを開催するプロセスで進行しました。
今回は、本プロジェクトを企画・実施された髙島様、中村様、青木様に、取り組みの背景や内容、成果や気づきなどを伺いました。
パーパス共鳴ワークショップを実施することになった背景を教えていただけますか?
ハード、ソフトの両面から組織改革を進めてきた中で、エンゲージメント向上に課題感があった。パーパスを起点に社員が仕事へのやりがいを感じられるよう、一人ひとりがパーパスを理解し、共感する必要性が生じていた。
自動車業界がかつてない勢いで変化する中、当社では、数年前より組織改革を進めてきました。その一環としてパーパスを浸透させていくことが必要だったのです。
自動車業界は、EVへのシフトのみならず、AI化が急速に進むなどの技術革新が著しい一方、生産の滞りが世界各地で起きており、オートリース業界の立ち位置も難しくなっていくことが予想されます。現在は幸いにして業績が好調なので、今後の変化の波を受け止めるために、今まさに改革をすべきときだと考え、実行してきました。
以前の当社は、様々な要因からコストの圧縮や投資の抑制により利益を拡大させてきました。社員の真面目さに頼ってきた側面もあり、無理や我慢をさせていたことは否めません。現在は適正な人数で成果を出す組織にすべく、ミドル層を中心にキャリア採用者を増やしているところです。
優秀な社員が集まってきた当社がさらに成長していくために、人事制度や職場環境などハード面の改革が進んだ今、ソフト面である精神的な改革により一層注力したいと考えています。その中のひとつが、組織のエンゲージメント向上です。
ハード面の改革によってエンゲージメントスコアは上がったものの、「社会貢献への実感」や「自社に対する自信」といった観点では改善の余地があります。エンゲージメント調査結果を見て、これまで社員数を絞ってきたこともあり当社の社員は業務に追われるばかりで、自分の仕事が社会からどのくらい必要とされているのかが見えにくいのだろうと痛感しました。
私は、組織運営においてはCS(Customer Satisfaction:顧客満足度)とES(Employee Satisfaction:従業員満足度)/EH(Employee Happiness:従業員幸福度)の両輪を回していくべきだと考えています。その中で社員が働きがいや幸福感をもって仕事をするためには、自分の業務がどう社会に結びついていて、自分の成長を促しているのかを実感することが不可欠です。そのために必要だったのが、パーパス浸透でした。
そこで、各現場のリーダーである部支店長や次長が自社のパーパスを理解し、メンバーへ浸透していく取り組みを進めたいと考えました。
当社のパーパスは、2023年に策定したものです。中期経営計画を策定する際にパーパスを作り、企業理念・パーパス・バリュー・行動指針からなる一連の理念体系を見直しました。
新たな理念体系を全社に発表したところ、各部門の管理職からは、会社が掲げるパーパスを自組織のメンバーへ説明するのが難しいという意見があがっていました。
日常業務に密接に関わる行動指針は理解できているものの、バリュー、パーパス、企業理念……と上位概念になるにつれて抽象度が高くなるため理解しにくく、各項目の関係性も見えにくかったのです。
当社のパーパスは従来の企業理念を基に策定したものですが、社員がパーパスに共感するための施策が必要だと考えました。そこで、パーパスを中心に会社が目指す方向性を社員が理解することを目的に、本プロジェクトを立ち上げることにしたのです。
今回の取り組みのパートナーとして、アイディール・リーダーズを選んでいただいた理由をお聞かせください。
社員同士の対話を通してパーパスに理解・共感するプロセスを重視する点に惹かれた。社員がお互いから刺激を得て自分を変えたうえでパーパスを受け止めることで、よい状態で現場へ浸透していく期待がもてた。
アイディール・リーダーズを知ったのは、永井さんの著書『パーパス・ドリブンな組織のつくり方』に出会ったことがきっかけです。パーパスを会社の成長に生かしていきたいと考えていた矢先だったので、まさにこの書籍に書いてあるような取り組みをしたいと思い、お声がけさせていただきました。
本プロジェクトのパートナーとして最終的にアイディール・リーダーズを選んだ理由は、パーパス共鳴・浸透のアプローチとして、座学の研修などではなく対話が豊富なワークショップ形式を採用していることです。
世の中を見渡すとパーパスを策定している会社は多くありますが、その大半が浸透に至らず、道半ばの状況だと思っています。社内外に周知し、ポスターなどで掲示するものの、その後の浸透が進まないのです。このような現実があるからこそ、難易度が高い浸透は、座学研修では実現しないと思いました。
社員同士が直接対話をし、お互いから刺激を受ける場で自分を変えていく。変わった自分がパーパスを受け止めて理解することで、よい状態で現場に浸透していくことが望ましいと考え、アイディール・リーダーズと一緒に本プロジェクトを進める意思決定をしました。
パーパス共鳴ワークショップを設計するうえで、こだわったことや意識したことは何ですか?
参加者である部支店長や次長が自組織でパーパスの浸透活動ができるよう動機づけするとともに、本プロジェクト全体を通して伝えるメッセージに一貫性を持たせ、理念体系への理解が深まることを意識した。
参加者が目的意識をもってワークショップへ臨めるように動機づけすることです。パーパス共鳴ワークショップのゴールは、部支店長や次長がパーパスを部員に説明し、組織へ浸透させていくスタートラインに立つことなので、「いい話を聞いた」で終わるのではなく、今後の行動につながる場にしたいと考えていました。
そして、企業理念・パーパス・バリュー・行動指針の関係性を理解してもらいたいと思っており、この点もアイディール・リーダーズへ伝えてワークショップの設計を進めました。
社長のメッセージ動画や、ワークショップのコンテンツ一つひとつに連続性を持たせて、本プロジェクト全体を通して伝える内容に整合を取りたいという点も意識していました。
アイディール・リーダーズには、我々の思いを汲んでいただきながらワークショップのアイデアを出していただきました。他のコンサルティング会社にはない観点が豊富にありましたね。たとえば部支店長向けワークショップでは、パーパスについて語る際に質疑応答形式で進めましたし、メンバーと直接関わることが多い次長向けには、現場への落とし込みを重視したワークショップを設計していただきました。
ワークショップを実施して、どのような感想をお持ちになりましたか?
参加者のパーパスへの理解が進み、自組織の部員へ説明できる状態になった。また、ワークショップでパーパスを実現した状態を考える場面では、社会課題にまつわる意見が多く出ており、NCSの特徴が表れていた。
現場のリーダーである部長・次長層のパーパスへの理解が進み、自分の言葉で部下へ伝えるためのスキルとマインドが身についたと感じています。ここまでの取り組みは、順調に進んでいますね。
ワークショップでは、どのように社会経済を発展させたいのか、皆さまからのアイデアが豊富に出たことが印象に残っています。環境保護や地域創生の観点での意見が多く、国の発展を心から考えている会社であることを感じました。
自社がパーパスを実現した状態を考えるのは、難しいものです。中でも、社会という大きなものに対してはイメージが湧きにくいかと思ったのですが、NCSの皆さまからは、社会の状態について活発に意見が出ていたことが印象に残っています。自分たちの仕事を通して、未来の日本社会がどうあるべきかを普段から考えているのだろうと感じました。
行動指針を全社へ落とし込むことに注力してきたことが影響し、こうした傾向が見られているのかもしれません。
当社は以前から「お客様に寄り添う」ことを大切にしてきましたが、それ以外のステークホルダーにしわ寄せが出てしまっている側面もあったと思います。そこで、「寄り添う」とはお客様を含めた社会全体の視点で考えるべきだという考えのもと、行動指針の意味合いを言語化して社員に公開しているのです。社員はこの具体化された行動指針に基づいて目標を立て、上司と合意し、日々の業務に向き合っています。
行動指針の落とし込みは、当社が注力してきた施策のひとつです。行動指針に沿って期待される行動を役職ごとに定義して、全社に公開しています。ワークショップでの社員の様子を見ると、行動指針の浸透に注力してきてよかったと改めて思いますね。
ワークショップでは、この行動指針を用いて日常行動を振り返る時間も設けていただきました。こうしたワークのおかげで、パーパスから日常業務までがつながっていることを実感できる場になったと思います。
その後の組織の変化や、社内外から聞こえてきた声などはありますか?
全社にパーパスが浸透するのはこれからの段階。取り組みを継続するとともに組織体制も強化し、社員一人ひとりが働きがいをもって仕事ができる会社にしていきたい。
パーパスが現場の隅々にまで浸透し、社員一人ひとりの行動や組織全体が変わっていくのはこれからだと思います。そのために大切なのは、施策を継続することです。
社員は、現段階ではまだ働きがいよりも忙しさを強く感じていると思います。社員一人あたりの車両の管理台数が同業他社より多く、お客様も増え続けているため、採用を加速するなどして組織の土台をもっと強くしていかなければなりません。
目の前の業務が忙しいと、パーパスを意識したり、新しい取り組みを考えたりすることがどうしても希薄になります。組織の体制強化は我々経営のミッションなので、社員がパーパスを意識しながら働きがいをもって仕事ができるような会社にしていきたいと考えています。こうした組織づくりと並行して、パーパス浸透の施策も継続していく方針です。
今後の取り組みや、展望についてお聞かせください。
社員がパーパスへの理解・共感を深めて自社へ誇りをもつとともに、社会貢献につながる活動を続けていきたい。
パーパスを通して、社員の中でのNCSのブランディングを確立してほしいと思っています。社外の人がNCSをどう感じるかではなく、社員である自分がこの会社を認めるという意味でのブランディングです。
そのために必要となるパーパス浸透策を進めるとともに、会社として社会貢献に資する取り組みを行うことで、社員にはNCSへ誇りをもってほしいのです。
社会課題を解決するための取り組みは、すでに数々の実績があります。自治体と連携してガソリンスタンドが少ない過疎地などへEV導入支援をしたり、自動車整備士を育成する学校へトラックを寄付したりしています。最近では、大きな震災があった能登半島への車両寄付も行いました。
こうした取り組みは注力して継続する方針ですが、今後はさらにパーパスに基づいた取り組みを増やしていきたいですね。日本全国に視野を広げ、各エリアが不足していることを自分たちで探し求め、行動に移していかなければなりません。
激動する自動車業界において、当社のサービスが社会の役に立つとはどのようなことかをパーパスを通して全社員が考え、行動できる組織へ成長していきたいと考えています。