住友生命保険相互会社 お客様の「よりよく生きる」に寄り添うために、 職員の「仕事における幸せ」を実現する「Well-being」ワークショップ

お客様の「よりよく生きる」に寄り添うために、
職員の「仕事における幸せ」を実現する
「Well-being」ワークショップ

住友生命保険相互会社

住友生命保険相互会社

https://www.sumitomolife.co.jp/

1907年創業。「社会公共の福祉に貢献する」を会社のパーパスとして掲げている。2018年に “住友生命「Vitality」”を発売。日々の健康増進活動や毎年の健康診断を評価して保険料を変動させる仕組みを通じて、お客さまのリスクそのものを減らす商品として好評を博している。お客さま、社会、そして職員のウェルビーイング実現を経営の軸とし、新しい価値創出に挑戦している。

話し手
ブランドコミュニケーション部 部長 藤田良仁様
ブランドコミュニケーション部 副長 柏木章吾様
聞き手
アイディール・リーダーズ株式会社

ご依頼の背景

「ウェルビーイング(Well-being)=一人ひとりのよりよく生きる」の実現を目指し、新しい価値を持つプロダクトやサービスの提供を行っている住友生命保険相互会社様。社内向けにも先進的な取り組みをされてきた中で、「ウェルビーイングに貢献する」という言葉の認知度は高まったものの、共感を生み出し、行動を起こすステップへの移行には、まだ課題が残っていると感じられていました。そこで、改めて社内の理解を深め、自分事としてもらう機会として、任意参加者に向けた『働く×しあわせを実現する「Well-being」ワークショップ』を実施。
今回のインタビューでは、ウェルビーイングを経営の中心に置く企業として抱えていた課題や、現在進めている取り組み、未来への期待についてお伺いしました。

『働く×しあわせを実現する「Well-being」ワークショップ』の実施に至った背景を教えてください

「ウェルビーイング」は私たちの会社を形作る基盤。
言葉の認知だけでなく、各個人が自分の言葉で語れるようになるきっかけが必要だった。

藤田

2030年に向けた経営戦略「Vision2030」を策定し、「ウェルビーイングに貢献する『なくてはならない保険会社グループ』」へ向けてスタートする時期であり、この中期計画の実現に資する具体的なアクションプランをまさに検討しているところでした。

当社では、経営の中心にウェルビーイングをおいていますが、言葉の認知は確実に広がってきている一方で、各自の業務との関わりや、日々の行動への反映にまで関心を寄せている人はまだ一部に限られていることが課題でした。そんな中、当社が参画しているウェルビーイングイニシアチブの活動の中で、「国際幸福デー(3/20)」に合わせたイベント実施の話が持ちあがりました。

そこで、社外向けには当社が注力している商品、健康増進型保険“住友生命「Vitality」”を主軸とした企画を実施しつつ、社内向けには我々職員がウェルビーイングの理解を深めるための場を設け、自分事化するきっかけに繋げようということになり、今回のワークショップ開催に至りました。

柏木

働く環境の変化も、開催を後押ししたと思います。ちょうど2023年2月に新東京本社へ移ったタイミングだったこともあり、職員のイベント参加へのモチベーションが高くなると予想していました。加えて、国際幸福デーの前に、マスク着用などに関する新型コロナウイルスの行動制限が緩和されたため、対面イベントが実施しやすくなりました。様々な要因が重なったこのタイミングに実施できてよかったです。

御社で働く人それぞれにとってのウェルビーイングという観点では、どのような課題をお持ちでしたか?

ウェルビーイングへの感度が高いのはいつも同じ顔ぶれ。
職種や所属による偏りを打破し、新しい層を巻き込む手段を見つけることが、次回への宿題。

藤田

客観的な数字でも明らかになっていますが、職種などの切り口で見ていくと、業務を通して幸福感を感じられる人とそうでない人がいます。特に後者の人たちに対して、働くことで感じられる幸福感に気づいてもらう機会を設けることが急務だと考えていました。今回のワークショップには、合計約150名が自主的に参加してくれました。
自主的に手を挙げて参加したメンバーが多くいたことは非常に嬉しかったのですが、よく見ると、良い意味での“いつもの顔ぶれ”も一定数いました。「自分らしく働く」というテーマについて、普段このような場に関心が薄い人も含めてもっと多くの人に考えてほしかったので、少し残念な思いも残っています。今回の結果や参加者の反応を参考に、今後は動員方法を工夫しながら、アプローチ対象を広げていく予定です。

柏木

幸福感にまつわるデータ同様、ワークショップ参加者の内訳にも、従事している職種の偏りがありました。今後は、今回参加に至らなかった層や、普段ウェルビーイングについて考える時間がなかなか取れない人たちにも、関心をもってもらえるように取り組む必要があります。今回のような機会を定期的に提供する中で、対話や交流の意義を理解する人が増え、その輪が広がっていくといいなと思います。

丹羽

組織文化を変革する際は、関心度が高い層を中心に、その周りを巻き込んでいくのがセオリーです。段階的に施策を行うことで、少しずつかもしれませんが、志が同じ人が増えていきます。今回の参加者のような“いつもの顔ぶれ“の熱意を大事にし続けることで、その周囲にいる“参加を迷っている人”を巻き込んでいくことが次のステップになりますね。そういった意味では、すごく良いスタートを切れているように感じています。

御社では、PARWについて、どのように向き合う機会を持たれていますか?

研修や1on1など、社内メンバーと対話する際の共通言語としてPARWを活用。言語化
という作業を通して、内に秘めた自身の想いに意図せず気づくことも。

藤田

ウェルビーイングと仕事における幸せの繋がりを体系的に理解してもらえると思い、PARWの4要素を私が受け持った研修などで試行的に紹介したりもしています。

柏木

私自身も、上司との1on1の中で、PARWの話をしました。
My Purpose(社員個々人のパーパス)を探求する過程だったので、自分のパーパスについて、まとまっていなくても良いので自分の言葉で話すことが重要だと感じました。まだ整理が追いついていない部分もありますが、自身のパーパスについて考えることは終わりなき探求ですし、言語化することを通じて、新しい気づきがあるものだと思っています。
PARWは引きつづき社内でも紹介していきたいと思います。

丹羽

自分自身のパーパスを探求する機会を定期的に設けることは、ウェルビーイングの向上において非常に効果的です。自分自身を客観的に見つめ直すことで、自分が日々思っていることや感じていることが整理され、価値観やパーパスが明確になり、仕事や人生の幸福度が高まると考えています。
弊社内でも、「CHO面談」という30分間の1on1で、今月のPARWについて振り返る時間を設けています

柏木

実際にワークショップを実施したことで、定期的にPARWに向き合う大切さや有効性を実感しました。今回はその重要性を体感できて本当によかったです。

今回のワークショップで、特に自分らしさ(Authenticity)と関係性(Relationship)にフォーカスされた経緯を教えてください。

日々現場の職員から話を聞く中で、特に関心度が高かった「業務での自分らしさの発揮」と「職場の人間関係」の2つをメインテーマに。
当初の想定通り、自身の担当業務と「自分らしさ」つながりのに向き合う姿が印象的だった。

藤田

これまで多くの職員と対話、面談を重ねてきた経験からも、まずは「自分らしさ」や「人間関係」をメインテーマとして取り上げることが、前向きに仕事をするきっかけになるのではないかと考えたからです。
もちろんPurposeも重要な要素ですが、自分と会社のパーパスの共通項を見つけるためには、まずはMy Purposeが明確になっている必要があります。そのため、いきなりパーパスについて扱うよりも、より身近な関心ごとである「自分らしさ」と「人間関係」について触れる方が、導入の企画として適切だと感じました。

柏木

「パーパス」という言葉だけを聞いて、何か難しいもの・高尚なものとして身構えてしまうのではないかという懸念もありました。参加に対するハードルを下げるためにも、今後の中長期的な取り組みのベースとしても、まずは「自分らしさ」や「関係性」に向き合ってもらおうという話に落ち着きました。

丹羽

実際に、ワークショップではアイデアがたくさん溢れていましたね。自分ごととして捉えやすいテーマだったからこそだと思います。とはいえ、「自分らしさ」については、考えにくいと感じる方も多かったようで、「明確にしたところで、自分の業務の中で自分らしさを発揮するイメージを持てない」と、理想と現実の乖離に悩んでいる様子も見受けられました。

柏木

具体的な「自分らしい働き方」の答えが出るまで、まだ時間がかかる人もいると思います。それでも、今回のように自分の想いを自ら掘り起こす機会はこれまでなかったので、まずは胸に秘めてうずうずしていた気持ちを発散できたことに、価値があったと考えています。

今回のワークショップにおいて、参加者からの反響にはどのようなものがありましたか?また、事務局として参加者の皆さんに今後期待していることはありますか?

直接会って対話を重ねることの意義を再確認したという声が多数寄せられた。
参加者自身が、このような機会の価値を伝播させ、積極的に手挙げする企業文化を確立していきたい。

藤田

業務以外の話題についてみんなで真剣に話し合うという経験が新鮮で、いい刺激になったようです。一方で、「テーマについて考えきるには時間が足りなかった」「消化不良で終わってしまった」と、多くの時間をかけて語り合いたかったという声も寄せられており、参加者の強い熱量を感じました。

柏木

対面でのワークショップ実施を喜ぶ声は多数ありました。大所帯で集まったその輪の中に自分がいることで、組織における自分の存在価値や、一体感を感じられたのだと思います。今回の経験を通して、一堂に会して1つの作業を行うことの意義、対面でのコミュニケーションの魅力を再確認できた人も多くいたようでした。

丹羽

完全燃焼でない方が、一過性の盛り上がりで終わらないので、むしろいいと思います。事務局としては、今後、参加者の皆さんに対してどのようなことを期待していますか?

藤田

自身の目標でもあるのですが、今回のような機会に積極的に手を挙げて、ポジティブな姿勢でいることは良いことなんだと実感し、その雰囲気を企業文化として定着させていきたいです。また、コロナで停滞した感のあるコミュニケーションが再活性化し、新しい気づきやきっかけ、その先にはイノベーションが生まれることに期待しています。
部署を超えたつながりや一体感が、業務に良い影響をもたらすことができれば、尚良いですね。

丹羽

手挙げ文化醸成の成功事例としては、マルイさんも有名ですよね。ご存知かと思いますが、ワークショップの参加希望者は全員、エントリーシートを書いて審査を受ける仕組みを採用しています。自分に必要な知識や情報を自主的に吸収しにいく姿勢が、当たり前の文化になると素敵ですね。

藤田

現時点では、ワークショップや研修に対する管理職の関心度にも左右されがちですが、自身の能力開発や自己探求、そして研修等を通じての組織力向上の機会は、通常業務と同様に非常に重要なものであると考えています。むしろ管理職が率先して、勉強や刺激を受ける機会を大切に考え、背中を押してほしいですね。

柏木

各々の職員が過去の成功パターンに拘ることなくチャレンジし続け、新しい領域について積極的に学びを深めることを習慣化したいです。結果として各所属のパフォーマンス向上が図れたらと思います。我々もそのような機会を用意し続けたいです。

職員のウェルビーイング推進において、既に実践していることや今後考えていることはありますか?

ウェルビーイングに向き合う定例ミーティングを全社で実施。
仲間とアイデアを共有することで、対話の促進における効果にも期待したい。

藤田

今年度から、「ウェルビーイングミーティング」を月1回開催しています。
これは、自分の仕事と会社のパーパスとの結びつきを理解すること、そして社員間の対話の量・質を高めていくことを目的としています。また、役員が定期的に支社と連携を取り、現地職員とウェルビーイングや仕事での課題について話し合う「役員フォロー運営」も始めました。

丹羽

ウェルビーイング実現のために、経営陣から積極的に変化を作り出しているんですね。「ウェルビーイングミーティング」は任意参加なのですか?

柏木

最も重要な対話機会の一つとして、全員参加としています。部署ごとに、テーマに沿ったお互いの考えを伝え合い、議論する時間を設定しています。直近の回では、所属を超えたメンバー間でミーティングした実際の様子を映像の題材とされ、イキイキと対話する模様に私自身も刺激を受けました。毎月1時間程度を想定しており、自身の振り返りまでを一連の流れとしています。

藤田

当社では、各個人にウェルビーイングについて意識的に考えてもらうために、「私のウェルビーイング宣言」というものを全職員4万人に記入してもらっています。その内容や進捗を確認する場としても、月1回のミーティングが役に立っています。

丹羽

定期的かつ全職員を対象にしているというのは素晴らしいですね。

藤田

加えて、所属ごとのアクションプランについての議論も上乗せしています。各個人が考えたアイデアを寄せ集めて、組織としての具体的な行動指針を決めることで、業務の自分ごと化が進むのではないかと期待しています。

ワークショップやその段階の企画の過程を通して感じた弊社の魅力を教えてください。

会社のインターナルコミュニケーションに精通し、広い知見を持つ信頼のおける存在。
同じ使命を背負う仲間として、今後の活躍を応援し続けたい。

藤田

初めてお話をさせていただいた当初から、社内コミュニケーションに強みを持っている会社という印象が強くありました。今回ご依頼に至った最大の理由は、ウェルビーイングに関する理論構成がしっかりしていること、丹羽さんをはじめとするメンバーの方の知見が広いことなど、信頼できる存在であり、今の当社にとって親和性が高かったからです。
私たちは、ウェルビーイングを経営の柱に置いている会社としての責任があります。世の中をこの言葉で溢れさせるくらいの勢いで浸透させ、業界全体を盛り上げていく使命があります。そのリーディングカンバニーのひとつが、アイディール・リーダーズだと私は思っているので、これからのご活躍に同志として期待を寄せています。

丹羽

そう言っていただくことができて、とても嬉しいです。御社は先進的にウェルビーイング経営に舵を切ってらっしゃいますが、これから目指したい・実践したいと考えている会社に対してお伝えしたいことがあればコメントいただけないでしょうか?

藤田

一般的には、ウェルビーイング経営=健康経営(Wellness)の印象が強いですが、本質的には、社員が「人生や仕事における幸せを感じながら働き続けることができるための仕組みや企業文化」こそがウェルビーイング経営にあたると考えています。それを踏まえると、社員の、心身の健康(Wellness)に限らず、存在意義(Purpose)、自分らしさ(Authenticity)、関係性(Relationship)に目を向けることは必要不可欠です。そして、お客様、社会の観点では、ウェルビーイングにおける思想や世界観を「いかにプロダクトやサービスに落とし込んでいくか」が重要です。
当社では、健康増進型保険“住友生命「Vitality」”を提供していますが、積極的に社員・顧客・社会のウェルビーイングに投資する企業が増えていってほしいです。

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