東急リゾーツ&ステイ株式会社
ビジョン「FUN MAKE SPECIALIST」体現に向け
全拠点で社員自らワークショップをおこなう
ファシリテーター育成
東急リゾーツ&ステイ株式会社様
東急リゾーツ&ステイ株式会社様
https://www.tokyu-rs.co.jp/
東急不動産が展開するホテル・リゾート事業の強化を目的に、東急リゾートサービス、東急ステイ、東急ステイサービスを統合して2020年7月に設立。会員制リゾートホテル「東急ハーヴェストクラブ」や都市型ホテル「東急ステイ」などを運営し、利用者は年間400万人にのぼる。ビジョンは【FUN MAKE SPECIALIST】。多彩な施設運営で培った実績とノウハウ、お客様・地域・行政・取引先 との長期的な関係構築という強みを活かして、6つのバリュー「寄り添い」「情熱」「探究」「多様性」「前進」「安心」に基づいた新しい価値創造を目指す。
ご依頼の背景
東急リゾーツ&ステイ株式会社様は、会社統合時に襲い掛かったコロナによる不透明な将来に対して不安に思う声が多くあった中、従業員が主体的に新たなビジョンを作り、社内に共鳴させていく必要性を感じられていました。多くの従業員の方を巻き込みながら、特に共鳴のフェーズを丁寧に進めていきたいという想いから、アイディール・リーダーズにご依頼いただきました。
今回は、本プロジェクトを企画した平尾様、井上様、金子様、中嶋様に、取り組みの背景や内容、成果や気づきなどを伺います。
アイディール・リーダーズに「ビジョン策定ワークショップ」を依頼した経緯や理由、完成したビジョンについてご所感を教えてください。
多くの社員を巻き込むというアプローチが、従業員が主体となるビジョン作りを求めていたニーズと合致し依頼を決意。全従業員の働く原点や未来への希望を詰め込んだ新ビジョンは、それぞれが定義できるよう余白を残したものに。
2020年7月に統合された当時の経営陣 から、従業員が主体となってミッション、ビジョンを作り上げることが重要なのではという投げかけがあり動き出しました。アイディール・リーダーズの皆さんとお会いしてお話しをする中では、私たちの想いが膨らんできて、一緒に活動していきたいと思えたのが依頼の決め手でした。「多くの社員を巻き込む」というアプローチを魅力に感じていた一方で、2,000名を超える従業員とともに、規模的にも時間的にも策定から統合までやり遂げられるのかという不安がある中でスタートを切ったのは事実です。
不安を抱えながらプロジェクトが実際に動き出すという流れの中で、想いの変化はありましたか?
大きいゴールに対してスモールステップでの進め方を提案いただいたことが、安心に繋がりました。具体的な過程やゴールイメージを持てたというのも、大きかったと思います。
ビジョン策定の過程で大切にされていたことや気づき、完成した新しいビジョンについてのご所感はいかがですか?
当時は会社が統合したことで、それぞれが拠り所にしていた想いの部分が噛み合っていないことにモヤモヤしていたり、コロナ禍の影響で不透明な将来を不安視していたりする従業員が多くいました。だからこそ、会社が一方的に発信したものではなく、従業員を巻き込む大方針はぶらさず、全国の拠点に点在する従業員それぞれの中でミッション・ビジョン・バリューをしっかりと噛み砕いて理解してもらうためにどう種を蒔き広げていくのかという部分を丁寧に議論しました。
私は当時GO TOトラベル施策などでバタつく現場におり、新ビジョン策定については動きがあることを把握している程度でしたが、【FUN MAKE SPECIALIST】という言葉に強いインパクトを受けたことは覚えています。自分たちが未来に希望を持てる前向きな表現だと感じています。
ビジョンを体現した従業員の姿をイメージできる表現になっていて、個人的にはしっくりきています。
事務局側としては、最初に実施した全従業員対象のアンケートから集まった社員が大切にしている原点や将来に向けた希望が、ちゃんと落とし込めていると感じています。シンプルではありますが、たくさんの意味が込められていて、全員にとって自分のものになっているのではないでしょうか。
今回策定されたビジョンは解釈の幅が広くて、どう受け取るのかはある程度個人に委ねられている印象があります。社員の皆さんそれぞれが納得できる形に解釈し、エネルギーに繋げていける自由度の高さが大きな特徴だと思います。
共鳴活動ご支援の全体像
共鳴活動の一環として、2種類の「ファシリテーター育成ワークショップ」を実施
第1弾(本文中「研修①」):全国に広がる拠点のトップを対象に、個人のビジョンの発見、会社ビジョンとの重なりを見出すワークショップのファシリテーターを育成
第2弾(本文中「研修②」):上位職者に次ぐ若手社員を中心に、個人の仕事と会社のバリューの繋がりを見出すワークショップのファシリテーターを育成
「ファシリテーター育成ワークショップ」を実施した背景や経緯、社内での反応について教えてください
真面目で素直そして優しく、出会う全ての人に“楽しい”を提供する事に一生懸命になれる。そんなカルチャーと経営層のコミットメントが各拠点でのワークショップ実施を後押しし、じわじわと広がり続ける活動に。
個人と会社のビジョンを繋げるための「ファシリテーター育成」をご提案いただきました。全国にある各拠点をとりまとめている責任者にこそ主体的に現場を引っ張っていって欲しいと思い、拠点責任者にファシリテーターとなってもらうことにしました。実際には、トップの皆さんから動き出していただくにはハードルが高い部分もありましたね。
御社が各拠点のトップの皆さんに推進役を任命されたのはコミットメントの現れだと思います。さらに、全国に拠点を持たれており活動が滞ってもおかしくない中、御社では継続的にワークショップへの参加者は増えている要因に心当たりはありますか?
企業文化が背景にあると思います。統合前も今も、当社には真面目で素直そして優しく、出会う全ての人に“楽しい”を提供する事に一生懸命になれるカルチャーがあります。加えて、経営層の関心が高いことも影響していると思います。経営会議などで定期的にMVV共鳴活動が議題に盛り込まれ、研修への参加人数、従業員の想い、各種進捗などを報告する機会があります。また、経営者自らも社内報への発信など関与に非常に意欲的です。事務局としても、研修への参加人数やそれぞれの進捗を管理しています。当社が設立した直後、判断軸となる指針が不安定だった時代を経験されている方々なので、こういった取り組みに非常に意欲的で、私たち事務局としても大変ありがたいです。
「ファシリテーター育成ワークショップ①②」を実施してみていかがでしたか?
ビジョンと目の前の仕事が繋がり「点と点」が「線」に。自分の想いと向き合うことで、自分らしく働くことの重要性を再認識してもらえた。
私は当時、現場にいたのでファシリテーターから研修①を受けました。概念的な理解はできつつ、まだ少しふわっとしていたのが正直なところで、どうしたらもっと実感が湧くのだろうと考えていました。
ビジョンは抽象的なので考えるのが難しい側面もありますが、これだ!という答えに辿り着けなかったとしても、自分自身に矢印を向ける良いきっかけにはなったと思います。研修①で考えたことが、研修②を経て可視化できたことに対して、点と点が線になったような感覚を持てたというポジティブな声が多かったです。
実は、研修①でモヤモヤが残ったまま終わるというのは狙い通りなんです。モヤモヤが残った方が、研修後も「自分のビジョンって何なんだろう?」と考えるんですよね。ビジョンを考え続けながら日々の仕事に向き合うことで少しずつ個人のビジョンがクリアになり、その過程で仕事とビジョンのつながりも見えてくる。そういう良い循環を体感する方がこの先増え続けるといいなと思います。
ファシリテーターとして研修②を実施する時は、目の前の仕事がお客様に直結しにくい本社の業務にあたっている方々が対象だったので、どう進めていくかは迷いました。ただ、アイディールさんに作っていただいたプロットに従うとうまく話がまとまり、難しく考えずにファシリテートできたので大変助かりました。
私たちの仕事は、「出会うすべての人のために」というのが根底にあるので、自分の価値観やなぜここで働くのかというところを置き去りにしてしまっている人が多いんです。そんな中で今回のワークショップは自分の想いと向き合い、自分らしく働くことが1番大事なのだと再認識してもらうためのきっかけになったと思います。目の前の仕事がビジョンやバリューに紐づいているのを確認できたのは良かったですし、共鳴活動としてベストタイミングだったのではないでしょうか。
「ファシリテーター育成ワークショップ」を経て、社内で何か変化はありましたか?
ビジョンをもとに、制度面も変化。6つのバリューを体現することで働きがいを実感する従業員が増えたことは、お客様をお迎えする私たちにとって大きなポイントに。
現場に顔を出す際に、【FUN MAKE SPECIALIST】というキーワードを聞くことが増えました。採用の一場面で、責任者がビジョンについて胸を張って学生さんに説明している姿などを見ると、共鳴がうまくいっていることを実感します。
今の話は、当社が褒める文化の醸成、気づきの感度向上、探求心の強化を目的として取り組んでいるES・CS awardsに対する意識の変化にも繋がっていると思います。スタッフの新しい気づきに対して6つのバリューに紐づくフィードバックをすることになっていますが、それってつまり、上長本人が常に頭の中に6つのバリューを置いている状態なんですよね。そういう意識の人が増えているのも、社内での変化として大きいと思います。
インターンシップ生に対してバリューの中の「寄り添い」を体現した社員が、学生から心のこもった御礼のお手紙をいただいたというエピソードは、私の中でとても印象に残っています。
御社のお取り組みを拝見していると、表面的に「ビジョンの浸透」を目的とするのではなく、「ビジョンの内容自体の実現」という本質をずらさずに進められているからこそ、実際の行動に結びついているのだと感じます。そのために、ワークショップと並行してあらゆる制度などを進化させていらっしゃいますよね。
制度でいうと、まずは条件面ですね。コロナ禍を乗り越えて経営的にも良化した時、全従業員に対して、満遍なく公平にベースアップし、特別賞与を支給しました。あとは、個人の目標設定の項目の中に6つのバリューやビジョンに紐づく文言を入れたりと、評価制度においても少しずつ変化が起きています。いずれも【FUN MAKE SPECIALIST】の実現を軸に、従業員のために変化したということは大きなポイントだと思います。
絵空事で終わらず、しっかりと制度面まで反映されているのは素晴らしいです。こういった制度や意識の変化が、お客様の数や満足度の向上に繋がっているのでしょうね。
今後予定されている取り組みや皆さんがそれぞれ考えてらっしゃる目標について教えてください。
ビジョン・ミッション・バリューの共鳴の輪が広がることで新しい文化の醸成を期待。今のフェーズに留まることなく高みを目指し続けたい。
共鳴には終わりがないと思います。今ミッションやビジョン、バリューの言葉を「意識的に」使えるようになってきたところを、「意図せず自然に」出てくる言葉の中に入っているという状態を目指したいです。
私は、現場の従業員同士が「これって情熱だよね」「寄り添いができたよ」というようにバリューを体現する行動について楽しみながら話し合える場を今年度中に設けたいなと思っています。
新入社員の皆さんは、新しいビジョンに共感して入社された人たちなので、既存の社員と融合し新しい風土が出来上がっていくのが楽しみです。また、海外人材の採用が広がっている昨今、ミッション・ビジョン・バリューを改定したことが効果を発揮していると感じています。彼らが重きを置く「御社が大切にしていることは何か?」という問いに対しての答えを手に入れたことによって、お互いの期待にマッチする採用が叶うようになりました。今後こういった人材が増えていくことも相まって、研修②を終えた共鳴のフェーズから、実際に行動する次のステップへ進めるといいなと思います。
東急リゾーツ&ステイ株式会社の皆様、お忙しい中ありがとうございました!