NEXT VISION Vol.3 従業員の強みを引き出す組織の秘訣

NEXT VISION Vol.3 従業員の強みを引き出す組織の秘訣

「全てのステークホルダーがワクワクする未来の姿を起点に考える」

「楽しく前向きに一人一人の成長を喜ぶ文化を作る」

過去の延長から未来を考えるのではなく、ワクワクする未来を描いてから現状のあるべき姿を考える「バックキャスティング」という考え方についてお伝えしました。永井が実際に携わったコンサルティングの事例として、業績が悪化した企業の一泊二日の経営陣の合宿のケースを取り上げました。その合宿では、現状の改善点を考えるのではなく、業績が回復した未来を想像することから対話をはじめていきました

自社に関わるステークホルダーを想像し、自社に関わってくれている人たちにどう感じて欲しいか、自社の社員にどうなっていて欲しいか、どんな気持ちで働いているのか等々、想像を膨らませながら対話を重ねていったのです。最初は暗い雰囲気から始まった経営合宿が、一泊二日の合宿後にはやる気に満ち溢れ、実際に3年後には業績を回復し黒字化を達成した実話です。

 

ワクワクする未来を持った企業が成功していることはデータでも示されており、データを示しながら実際の事例を交えた永井の説明に、参加者の皆様は熱心にメモを取ってくださっていました。

また、高い目標に向かいながら楽しく働けるのか?という問いに対して、「社員を横並びにして目標の達成度合いを評価する制度が社員の楽しさを奪っている。本来ワクワクする未来に向かって協働する仲間のはずが、なぜか競争相手として認識されるような評価制度になってしまっており、業績を上げた人は誇らしく、業績を上げられない人は居心地が悪い状態で過ごすことになってしまっている。」と答えました。

 

「プレッシャーをかけても人は伸びません。自分自身が楽しく前向きに物事に取り組むことで人は成長していきます。」とのメッセージに、参加者の皆様は頷きながら話を聞いていらっしゃいました

 

セルフエスティームは組織における全ての人間関係の中心である

 

次に、一般社団法人日本セルフエスティーム普及協会の代表理事である工藤紀子氏にご登壇いただきました。

工藤氏「15年前からこれまで、女性のエンパワーメントを高めるために、セルフエスティーム(自己肯定感)に関する知見・経験をお伝えしてきました。現在では企業研修や教育現場でも自己肯定感に関する知見や高め方をお伝えしています。」

 

まず工藤氏から、アメリカで最も著名な心理学者の 1 人であるウィル・シュッツ博士の「自己肯定感は組織における全ての人間関係の中心である。」という言葉をご紹介いただきました。工藤氏がこれまで関わってきた企業の事例でも、組織で起こる様々な問題に共通して大きな影響を与えているのは個々人の自己肯定感であるとのこと。自己肯定感を高めることが、従業員の強みを引き出すことができ、社員が幸せに働くことができる組織の実現に大きく寄与するというお話でした。

工藤氏「自己肯定感とは、自分を肯定的に見る感覚であり、人が生きていく上で一番大事な感覚とも言われています。自己肯定感には、絶対的自己肯定感と社会的自己肯定感の2種類があります。自分自身をかけがえのない存在だと認められることが絶対的自己肯定感。能力や成果など、相対評価から生まれるものが社会的自己肯定感です。社会的自己肯定感だけで自身の存在価値を捉えていると、何かのきっかけで落ち込んだ時に自分自身を認めることが難しくなります。まずは土台として、絶対的自己肯定感を高めていくことが大事です。」

 

自己肯定感は「現状をしっかり把握し、ありのままの自分を認めて自分に必要なことを考えることができる力である。」という説明がありました。

 

工藤氏「一番お伝えしたいのは、自己肯定感を持てていると失敗しても必要以上に自分自身を卑下せず、早くリカバリーができる。ということです。一方、ミスや失敗をした時に自己肯定感を持てていないと自己否定に走ってしまい、自分を支えられません。」

 

自己肯定感が低い場合、自己価値をこれ以上下げたくないので、失敗を隠そうとする・他責にして人のせいにしようとする・誰かがミスをつついて自分の優位性を保とうとする、等の行動になる可能性があります。また、自分自身を受け容れられないと同時に他者を受け容れにくい傾向にあります。そのため、自分と違う考えを持っている人を攻撃したり排除したりしようとしてしまいます。」

幸福感の高い組織を作るポイント

工藤氏「幸福感の高い組織を作るためにも、個々人の自己肯定感を上げることが重要です。

自己肯定感が高い人は、自分は受け入られる存在だと認識できるため、自分をオープンにして人と関わることができます。『みんな仲間だ』と思いコミュニケーションをとることができるので、組織の心理的安全性を高めることにも繋がります。個々人の自己肯定感をあげることが、個々人をオープンな姿勢にすることに繋がり、良いチームワークを作り上げていきます。」

 

「日本セルフエスティーム普及協会では、個々人の自己肯定感を高め、「I’m OK, You’re OK.」の感覚を持って他者とのコミュニケーションをとっていくことができる組織を作っていくことをおすすめしています。自己承認ができていないと他者承認は難しいので、まずは自己肯定感を上げることが重要です。」

 

自己肯定感を切り口にした組織づくりの説明に、参加者の皆様は共感を示しながらメモを取っているご様子でした。

 

自己肯定感を高めるためのステップとレジリエンスの関係性

 

工藤氏「自己肯定感を高めるためには5つのステップがあります。

 

1.自分を認める

2.自分を受け入れる

3.自分を大切にする

4.自分に価値を感じる

5.自分を信頼する

 

この5ステップを大切にすることで自己肯定感が高まり、自己効力感を持てるようになります。自己肯定感、自己効力感ともに高まってくると、楽観性が生まれます。楽観性が生まれると、困難な状況でも「自分にとってどのような意味があるんだろう?」と考えることができ、困難な状況にも意味を見出すことができるようになると、レジリエンスが高まります。

 

レジリエンスをいきなり高めようとするのではなく、自己肯定感がレジリエンスを高めることに繋がるという工藤氏の説明は大変納得感がありました。

 

GCストーリーの幸せな組織づくり

 

永井、工藤氏のプレゼンの後には参加者の方々から質問にお答えするトークセッションを行いました。

 

モデレーターを務めていただいたのは、GCストーリー株式会社 常務取締役CHO(チーフハピネスオフィサー)の萩原典子氏。

 

萩原氏「今日は幸せな組織作りについて、好きなお二人とお話できることをとても嬉しく思います。」とのご挨拶から、GCストーリー株式会社についてご紹介いただきました。

萩原氏「GCストーリーの経営理念は、”全従業員が幸福で調和し、取引パートナー・顧客に感謝される存在であり、人類、社会の調和に貢献すること。”です。

 

私たちは、理念経営を本気でやっています。理念に沿ってワクワクする目標を掲げ、ワクワクする目標に向かって働くことができればフロー状態を作り出すことができます。フロー状態のように、没入感をもって仕事に取り組めることも幸せな組織づくりや、幸せに働く上でとても大切です。

 

幸せな組織では、生産性が1.3倍、創造性が3倍向上するという研究結果が出ています。変化が激しい時代のため、これからは組織の創造性が高くないと生き残れません。そのため、全従業員が幸せに働ける組織運営を本気でやっています。」

萩原氏「本日のお話の中でも『心理的安全性』というキーワードが出ました。この心理的安全性は組織にとって非常に重要な概念です。パフォーマンスが高い組織を明らかにするために、Googleが多大な経営資源を投入してプロジェクトアリストテレスというプロジェクト型の研究を行いました。その結果、パフォーマンスが高い組織を実現するために一番大事なの要素が「心理的安全性」だとわかったんです。心理的安全性が高い組織では、お互いに対して弱い部分をさらけ出すことができる状態になります。何を言っても受け入れてもらえることができるようになると、価値観が違うと感じても一旦は受け止め、どのように調和していけるかを考えることができます。」

萩原氏「GCストーリーでは『おむすびの会』を実施しています。おむすびの会と言っても社員で飲んでるだけなんですけど(笑)。とは言っても、このおむすびの会に参加すれば、「心理的安全性が高い状態というのはこういう状態なんだ!」と理解できると社外の方に評判をいただき、現在では社外の方のおむすびの会参加待ちは半年となっています。

 

組織全体の心理的安全性や個々人の自己肯定感が高まっていくことは良いことだと感じる一方で、そういった中でも自己肯定感の低い人にとってはとても居づらい状況になってしまうこともあるので、個別のケアが必要です。」

 

参加者からの質問に答えるトークセッション

Q 永井さんに質問です。毎週金曜日に達成の会を実施しているとのことですが、「そういうの要らないんで早く帰りたいです。」という社員はいないんですか?

 

永井:早く帰りたい人も顔を出せるように業務時間内の17:00-18:00にしています。楽しむこと自体を強制はしていません。あくまでもみんなで達成を祝うことが目的です。祝ったら帰ってもらっても良いと考えています。参加も強制はせず、ゆるく柔軟に運営している。飲みたい人が酒を買ってきて開催しているような雰囲気もあります。

 

萩原氏:アイディール・リーダーズでは自由に、「やりたい人がやる」という文化ができているのだと思います。GCストーリーでも、様々な場面で「やりたい人がやる」というようにしており、新人の育成も人事が担当するのではなく、やりたい人がやるようにしています。今後「やりたい人がやる」という考え方が広がっていくと感じています。

 

Q わくわくは成長に繋がるという確信があるのか?

A 永井:基本はワクワクが成長に繋がると考えています。わくわくしながら成長しているといったお話はよく聞く一方、わくわくしていて上手くいかなかったという事例を中々聞いたことがありません。

世の中多くの経営者が「お客様に感動を与えることが大切だ」と言いながら、従業員には「仕事に感情を持ち込むな」と考えたりしているのっておかしいですよね?
従業員のわくわくを作り出していくことも、経営には必要だと考えています。

 

Q 組織の強みは誰がどのように強みを引き出すのか?

A 萩原氏:強みを引き出す組織を作るためには、全社員が自分の強み、弱み、好き嫌いを把握している必要があると考えています。弊社では2年前にマネージャー職をとっぱらいました。そして、各自が好きな仕事を出来るようにしたんです。組織の中で個別に面談をしてみると、法務の子から「実は法務をやりたくないんです。」といった本音が出てきました。じゃあということで、好きな仕事をやらせるようにしてみると法務がいなくなってしまいした。そうすると「やっぱり私が法務をやった方が良いと思います」と法務に戻ってくれたんです。一旦自分の意思で法務を外れた後に法務に戻ってきてからは、当初法務にいた時とは違い、自分自身の意思と内発的動機で取り組んでくれるようになりました。

 

Q 自分から環境を選べることと、自己肯定感はどのように繋がっているのか?自己肯定感が高くないと自分が好きな環境を選べないと思う。

 

A 萩原氏:GCストーリーも自己肯定感が高い人ばかりではありません。自分自身の成長を感じられる組織作りを進めているので、自己肯定感も含めて人を育てている感覚があります。

A 工藤:自己肯定感が高いと、(苦手なことがある自分も受け容れられるので)

全部自分でやろうとしなくなり、抵抗なく誰かにお願いできるようになります。みんなそれぞれ凸凹はある中で、お互いに補い合いながら働ける組織を作っていくことが、組織の環境と自己肯定感の関係性だと考えています。

 

Q ワクワクする組織を作る道筋がわかりません。いつも何かを変えることへの抵抗が強く、そんなメンバーの顔を思い浮かべてみると、「あのメンバーでわくわくする組織を作れるのかな?」という疑問があります。

 

A 工藤氏:まずは現状を把握することが大事です。現状を正しく認識した上で悲観せず、「じゃあ理想はどうなのか?」と考えることが大事です。動き出しが遅い・メンバーがついてこないことに関しては、リーダーがメンバーを少しづつ巻き込み、楽しい取り組みにしていくことが大切です。人間は基本的に楽しいことをしたいという思いを持っています。他のメンバーが「楽しそう」と思える取り組みを実施していく必要があると考えています。

A 永井:変革を進めるには、誰かが変革をはじめ、フォロワーがついて行き、いつの間にか変革についていく人が多数派になり、変革が推進されていく。という流れを作る必要があります。まずはいかにメンバーを巻き込んでいくかを考えることが重要です。

 

Q 自己肯定感をあげるために必要なことを一言でいうと、「人と比べない」ということですか?

 

A 工藤氏:比べないことは大事です。一方、完全に「人と比べない」ことを実現するのは難しいと考えています。人と比べること自体は悪くないので、人と比べても違いをニュートラルに受けとめ、ネガティブにならないようにケアが必要です。

A 永井:自分と比べることを意識してみてください。人と比べて優劣を感じるのではなく、過去の自分と比べて成長しているか。自分自身を比較対象にして、前に進んでいくことが大切です。

 

イベント終了後にも、参加者の方々が登壇者へ質問を重ねており、盛況となりました。

ご登壇いただいた工藤氏、萩原氏、ご参加いただいた皆様、改めましてありがとうございました。

 

また今回のイベントではグラフィックレコーディングを行いました。以下にグラフィックレコーディングにて本イベントの内容を記載しているのでぜひご覧ください。