キッコーマン株式会社 ビジョンを語り合い、理解を深め、自分のものにする 〜キッコーマングループ HRビジョンを語り合う会〜

キッコーマン株式会社
ビジョンを語り合い、理解を深め、自分のものにする
〜キッコーマングループ HRビジョンを語り合う会〜

キッコーマン株式会社

キッコーマン株式会社

https://www.kikkoman.com/jp/

大正6年創業。長い歴史に培われてきた「伝統」と、常に時代を洞察する「革新性」を経営風土とし、しょうゆを筆頭とした食品の製造と販売。「食と健康」に関わる商品とサービスの提供をグローバルに展開する。「新しい価値創造への挑戦」をテーマに、これからも世界にとって存在意義のある企業でありつづけることを目指す。

話し手
キッコーマン株式会社
常務執行役員CHO
松﨑 毅 様
人事部 人事部長 
武智 正裕 様
人事部 戦略グループ グループ長 
長江 圭輔 様
人事部 戦略グループ 
稲垣 成美 様
※以下インタビュー記事内では敬称略で掲載させていただいております。
※この記事内の肩書き・役職は取材当時のものです。
聞き手
アイディール・リーダーズ株式会社

ご依頼の背景

キッコーマングループでは、グループ経営を推進するために2009年に分社化を行いました。一方、分社化により、人事機能が各社に分散したことから様々な課題感が生じていました。人事部門全体で目指す方向性を明確にするため、2022年から戦略グループを立ち上げ、人事部門全体の指針となる「HRビジョン」を策定。その浸透フェーズにおいて、対話型のセッションを希望されていたことから、アイディール・リーダーズに依頼いただきました。今回は、本プログラムを企画した人事部 松﨑様、武智様、長江様、稲垣様に、取り組みの背景や内容、成果や気づきなどについてお伺いしました。

HRビジョンを策定された経緯とそのプロセスにおいて大切にされていたことを教えてください。

人事部門としてグループ会社全体の「ありたい姿」がなかったことが当初の課題。HRビジョンが自分たちのものになるよう、人事部門のリーダーたちの想いの中から共通項を抽出し組み立てることを徹底。

松﨑

2009年にキッコーマングループとして分社化して以来、各社の人事組織を横軸で見た時、人事としての方向性を統一できていないことから様々な課題が生じていると感じていました。そこで、人事組織全体の一体感を醸成する切り口として着目したのがHRビジョン。当初は効果が読めない部分もありましたが、戦略グループの長江・稲垣を中心に、HRビジョンの策定に動き出しました。

後藤

人事組織全体の一体感を醸成する という意味では、いろいろな手段があったと思います。その中でも、HRビジョンに着目することになったのは、どういった背景からでしょうか。

長江

まずは一般的なやり方に沿って、組織の「現在地」と「ありたい姿」との間のギャップを埋めようと考えていました。しかし、私たちの場合は、「ありたい姿」が明確になっておらず、ここをはっきりとさせる必要がありました。ありたい姿を描くためにグループ各社の人事部門に調査を行い、課題を整理したうえで、まずは各社の人事部門のリーダーたちから「ありたい姿」を語ることができる状態を目指すことにしました。
リーダーたちも最初は懐疑的でしたが、個別のヒアリングや対話を重ねていくと、想いの込もった意見を次々と語ってくれました。リーダーたちの想いが今回のHRビジョンの土台となっています。

稲垣

リーダーそれぞれの話は個別性が高くても、話の共通項を抜き出すとキーワードが浮かび上がってくるんですよね。リーダーたちが語ってくれたキーワードを大切にしながら、「経営」「社員」「人事部門のメンバー一人ひとり」それぞれの視点から文言を磨き、今のHRビジョンを完成させました。

武智

完成したHRビジョンは<私たちは一歩先のビジネス環境の変化をとらえ、「人事組織の役割を最適な姿に変革し続け、食と健康を中心とした事業の成長に貢献する経営のパートナーとなります」「多様な社員一人ひとりが成長・活躍する組織風土を育み、新たな価値創造に挑戦する人財を育成します」「人事のプロとして高い志を持ち、その専門性を磨き続けます」>です。経営視点と社員視点に加えて、人事である自分たちの視点を入れるように工夫しました。この3つの構成要素はバランスが良くて、共感度の高い仕上がりになっていると思います。

【HRビジョンについて語り合う会】を実施することになった背景を教えてください。

トップダウンの組織だからこそ、社員一人ひとりがHRビジョンを能動的に受け止め、一歩踏み込んで考えられるよう「対話型」のセッションにこだわった。

稲垣

このビジョンを腹落ちさせるために何が必要かを検討したところ、対話型のセッションをしようという話で一致しました。その理由は、私たちがトップダウンの組織であるからです。”「これをやりなさい」と上から言われ、ただやって終わらせてしまう。”…そうならないように、社員一人ひとりがHRビジョンを受け止め、一歩踏み込んで考えられる機会が必要だと感じていたので、対話をベースとしたセッション形式での浸透活動を検討しました。

後藤

そういった組織開発にあたる取り組みは、御社では普段から実施されているのですか?

武智

各職場で、「組織活性化ビジョン」を掲げて、一人ひとりに落とし込んでいきましょうというグループ全体での取り組みは以前からあります。ただ、部員全員で対話をベースに深めていくというところまでは実践できていませんでした。

松﨑

今回は40名近くの人事部員が一堂に会する場となりましたが、こうして現場のメンバーまで集めて対話型のセッションを行うのは弊社では珍しいことです。中には、人事と他の業務を兼務している人もいます。そういう人ほど、人事というポストの重要性や責任を意識してもらえたのではないかなと思っています。

この度、【HRビジョンについて語り合う会】をアイディール・リーダーズにご依頼していただいた経緯を教えてください。

HRビジョンと個人のパーパスを重ね合わせ、働くモチベーションに繋げていくアプローチに共感。ファシリテーターとして参加者に本気度を伝えてくれることに期待も。

長江

HRビジョンを人事部門のメンバー一人ひとりが自分ごと化できる会を実施したいと考えるなかで、アイディール・リーダーズを含めて数社が候補に挙がりました。最終的にお願いしようと思ったのは、考えていることが私たちに近く、アプローチの仕方に大変共感できたからです。また、会社のカラーという観点でも、信頼感とフレッシュさのバランスがよく、肌感覚で弊社に合うと感じました。参加者に私たちの本気度が伝わるファシリテーションを実現してくれるだろうという期待もありましたね

後藤

ありがとうございます。弊社の考え方やアプローチの仕方に共感していただいたというのは、具体的にどういった点でしたか?

長江

対話のプロセスとアウトプットですね。「ビジョンを理解して、意見交換して、終わり。」ではなくて、HRビジョンと個人のパーパスを重ね合わせ、働くモチベーションに繋げることを対話のゴールとしているのが非常に魅力的でした

後藤

会社が大切にしていることと個人が大切にしていることの重なりを見つけ、広げていくというのは、私たちが最も得意とする部分になります。そこに期待していただいたというのは本当にありがたいです。

【HRビジョンについて語り合う会】を実施しての率直な感想や、参加者から届いている声があれば教えてください。

トップリーダーの想いを直接受け取る場として良かったという声が多数届いた。

松﨑

アイディールさんの進行が大変スムーズだったので、安心して運営を任せられました。会場全体で対話を行うワークがありましたけど、手慣れた様子でポストイットを分類しながら、参加者それぞれが話しやすい雰囲気を作ってくれているなと感心しました。また、ビジョンについての質疑応答の場面も印象に残っています。用意された原稿もなく、参加者からの質問に答えるのは簡単ではありませんでしたが、HRビジョンに込めた想いや背景をしっかりと伝えることで腹落ちしてもらうことができたと実感しています。

後藤

そうですね。質疑応答の時間に、場全体の集中度がグッと高まったのが印象的でした。

松﨑

真面目に自分の仕事について語り合って、改めて見つめ直すという滅多にない機会だったので、参加者は非常に前向きに取り組んでいる様子でした。同じ人事と言えど、現場中心の人間と、戦略や企画を主業務にしている人とでは、仕事の捉え方や向き合い方も違う。そんな中、今回のセッションを通して、自分が精通していない部分を知ることで、仕事を俯瞰的に見られるようになったという意見が多くありました。期待通りの意識改革になったと思っています。私自身も、みんなが普段考えていることを知ることで、新しい視点を持てました。

武智

他者との対話を通じて参加者一人ひとりの考えの解像度が上がり、結果として質の高いアウトプットを実現できたという意味で、対話の効果を実感しました。

長江

アンケートの結果を見ると、トップリーダーの想いを直接聞けてよかったという声が多くありました。HRビジョン自体への共感度も高かったです。今回の活動を通して、自分自身の仕事とHRビジョンの重なりを解釈し、自分ごと化できたメンバーが多かったように思います。

稲垣

お互いにじっくり語り合い、想いを確かめ合う機会はこれまでなかったので、皆さんもすごく新鮮な気持ちで前向きに参加いただいていたと思います。普段は「やらなきゃいけないから」で取り組む仕事も多い中で、仕事の意味・目的を自分で考え、納得感を持っていただいたのも良かったと感じています

与那覇

当初は「初めて顔を合わせるメンバーが多い中で、対話が活性化するのか?」と懸念されていましたが、実施してみていかがでしたか?

稲垣

上役の人間を目の前にしても質問や意見が出てきたので、良い意味でギャップはありましたね。適切な人数でグループ分けし、お話が得意な人をそれぞれ配置したこと、そこにアイディールさんのスムーズなファシリテーションがかけ合わさったことが成功のポイントかなと思います。

HRビジョンについて、今後考えている取り組みなどはありますか?

ノベルティグッズやアワードでの表彰で周知を加速すると同時に、アンケートやヒアリングを通して成果を可視化しながら、浸透度を常に追っていきたい。

稲垣

HRビジョンが多くの人の目に触れるようにするため、HRビジョンのシールなどのノベルティグッズを作成しようと思っています。パソコンやオフィスに置かれている備品などに貼り付けて、常にビジョンを意識してもらえたらなと。オンラインミーティング用の壁紙を作るのも良いかもしれません。
また、HRビジョンを体現したメンバーにスポットライトを当てる「HRビジョンアワード」を鋭意企画中です。まずは直近の3ヶ月間で実践してみますが、多くの人にとってビジョンを思い出すきっかけになるといいなと思っています。

松﨑

HRビジョンを体現するまでの軌跡はしっかりと追いかけたいですね。やはり普段の職務の中で浸透していることが最も大切ですから。アンケートやヒアリングを通して成果を可視化することは忘れないようにしたいです。

後藤

例えば、数ヶ月ごとにチーム内で定例会を設けるのも一つの手です。ビジョンをどれほど体現できたか、どういう仕事がビジョンに繋がっていたかを振り返ることで、ビジョンそのものに愛着が湧いたり、自分の働きがいを再発見できたりします。グループ間で良い事例を展開していけば、HRビジョンをより意識しやすい環境を作っていくことができますよ。年に1度、今回のように全人事メンバーを招集して、事例共有やアワードの表彰式を行うのも良いと思います。

【HRビジョンを語る会】を実施したことで、組織に変化はありましたか?

若手社員の有志でグループ人事の課題に取り組むなど、人事部門全体が活性化。

長江

現在のビジネスが順調だとしても、世の中は変わっていく。私たち人事部門が背負う責務は多いし大きいからこそ、立ち止まっていてはいけないという想いが強くなったと思います。そういった意識の変化もあって、例えば、有志の若手社員を中心にグループ人事の課題に取り組もうといったプロジェクトが動いています。

後藤

素晴らしいですね!そのようなプロジェクトの中で、HRビジョンそのものや、今回の語る会で体験した内容が活かされていると感じますか?

長江

そうですね。プロジェクトを考える中で、ビジョンとの繋がりは必然的に考えます。表に出てきた実績についてもそうです。HRビジョンとの繋がりや自分のパーパスとの重なりを自覚することで、新しいプロジェクトに参加することが自分をプロフェッショナルにするんだ!と感じる参加者も増えていて、輪が広がってきています。キッコーマングループの人事部門は、これからますます楽しみな組織になっていくと確信しています。

アイディール・リーダーズのサービスをどのような方にお勧めしたいと思いますか?

変革期を迎える会社、M&A直後の会社など、新たな指針を探っているフェーズにある会社には、アイディール・リーダーズのアプローチをぜひ体験してほしい。

長江

変革期にある会社ですね。ビジネスモデルやマインドセットを変えよう、自分たちのコアコンピテンスを見つめ直そうとなった時、トップが何を考えていて、自分は何がしたいのか、何かできるのかを深く考える今回のようなプロセスは有効だと思います。

稲垣

M&A直後の会社には特におすすめしたいです。違う文化の会社が1つになろうとする中で、同じ方向を向いていくという意味では、パーパスを軸としたアプローチは腹落ちしやすく、良い結果に繋がるのではと思います。

キッコーマン株式会社人事部のみなさま、お忙しい中取材へのご協力をありがとうございました!

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