文化人類学から見た日本人の特性とその企業経営への応用

文化人類学から見た日本人の特性とその企業経営への応用

アイディール・リーダーズでは、日頃お世話になっている経営者の方々をお招きし、勉強会を開催しております。

 

今回は、ホフステード・インサイツ・ジャパン株式会社 マスタファシリテータの宮森千嘉子さまをお招きし、「文化人類学から見た日本人の特性と、その企業経営への応用」をテーマに、勉強会を開催致しました。(参照:6 月社内勉強会: ホフステードの 6 次元モデル)

まず、「文化と経営の父」と呼ばれるオランダのヘールト・ホフステード博士の「国民文化の6次元モデル」についてご説明を頂きました。「国民文化の6次元モデル」は、生まれてから思春期までの間に無意識に心にプログラミングされる、国の文化による暗黙のルール、感情を伴った好ましいと思う傾向(価値観)を、6次元の次元から読み解いていくモデルです。ホフステード博士は、世界で初めて国別の文化的価値観の違いをスコア化し、パラダイムの変換を起こしました。

国民文化6次元モデル

  • 権力格差
  • 集団主義/個人主義
  • 女性性/男性性
  • 不確実性の回避
  • 短期志向/長期志向
  • 人生の楽しみ方

 

文化や価値観など、普段は暗黙的になっているものについてワークを交えながら学び、参加者の皆様も新たな気づきを色々と得ているご様子でした。

 

国民文化や価値観についてのレクチャーを頂いた後に、宮森様より国民文化の6次元それぞれについて解説を頂きました。

例えば、権力格差が大きい文化の国では上司が権威を示さないと「無能な上司」と評価されるのに対し、権力格差が小さい文化の国では、上司が権威を示すと「威張っている上司」と評価されるなど、国民文化の違いによって必要な振る舞いやマネジメントが違うことをご解説頂きました。

それぞれの次元の解説で参加者の皆様からの質問が続出し、予定時間をオーバーしての勉強会となりました。

勉強会で出た質問の一部と、宮森様のご回答についてご紹介します。

Q 「世界は権力が分散する方向に進んでいると感じているが、無くなることはないのか?」

A ホフステードモデルは国と国のポジションの差を相対的に比較したものです。ミドルクラスの世帯が増えるに連れ、権力格差が小さくなり、個人主義の傾向に緩やかに動きますが、この変化は世界全体で起こっています。一方、国と国のポジションの差には変更はありません。

 

Q「戦前・戦後で日本の文化は大きく変わったと思うが、ホフステードではどう捉えているのか?」

A 第二次世界大戦は日本にとっての大きな転換点ではあり、戦後目に見える部分の文化が大きく変わったのは間違いないと思います。一方ホフステードモデルは目に見えない、非常にゆったりとしか変化しない価値観の部分を扱っています。戦争の影響を受けたのは日本だけではない、という視点も重要です。
ちなみに、ホフステードの次元を組み合わせて世界を6つの文化圏に分類することができますが、日本はどこにも属さず、独自の、一国だけで文化圏を形成しています。相対的に比較すると、それだけ日本がユニークな存在であることを意識化したいと考えます。

 

Q 「相手の国でコミュニケーションを取るには相手の文化に染まった方が良いのか?」

A 100%染まる必要はありません。自分が譲れない、大切にしている部分を保ちつつ、相手との協働を実現するために、必要な部分で相手の国民文化に適合していくということを私は実践しています。

 

Q  「グローバルで多様な社員がいる為に、マネジメントが難しいケースがある。どのようにコミュニケーションを取るのが良いのか?」

A グローバルで多様な環境では、何を目的とするかを明確にするのがまず大事になります。そのうえで、先程の答えと重なりますが、組織として譲れない「核」の部分を大事にしつつ、目標を達成するためにどんなコミュニケーションを取るべきか、国民文化を参照しながらトライしてみてください。

 

また、勉強会の最後には、テーマを設けて参加者同士での対話のセッションも行いました。

この対話のセッションを通して、以下のような意見が出ました。

・「日本はバランス感覚が高い国民性なので、バランスを取る力がある。」と自覚すればもっと国民文化を強みとして発揮できるのではないか。

・権力格差と個人主義の中庸さがパスポートで渡航できる国の多さにも現れているのではないか。

・男性性と不確実性の高さは、想定外に弱いことの表れではないか。より世代間やグローバルなど多様性を取り入れることで、マネジメントの変革にチャレンジしていく必要があるのではないか。

・高度成長期には男性性と不確実性の高さは強みだったのではないか。一方、今新しいチャレンジをしてイノベーションを起こしていかないと行けない時代においては弱みなのではないか。

対話のセッションへのフィードバックとしては、宮森様より以下のようなコメントを頂きました。

 

宮森様「ファシリテーター同士の勉強会でも『日本人はファシリテーションに向いた国民性を持っている』と言われています。なぜなら、ここまで権力格差と個人主義が中庸である国であり、 in between のリーダーシップが取れる可能性を思っているからです。また、多様性があればイノベーションが起こる訳ではなく、多様性とCQ(異文化適応力)の掛け合わせがイノベーションに繋がります。国民文化を理解した上で多様性を取り入れて行くことが大切です。」

勉強会終了後には懇親会も開催し、経営者の皆さまに国民文化についての意見を交わして頂きました。

宮森さま、ご参加頂いた皆さま、誠にありがとうございました。

 

アイディール・リーダーズはホフステード・インサイツ・ジャパン株式会社と提携しており、異文化適応をサポートすることが可能です。海外赴任者向けプログラムや海外拠点のマネジメント等、本勉強会に関する内容にご興味がありましたら弊社までご連絡ください。

 

【お問い合わせはアイディール・リーダーズまで】

info@ideal-leaders.co.jp

 

【宮森氏書籍】

経営戦略としての異文化適応力 —ホフステードの6次元モデル実践的活用法