ジャパンメディック株式会社 「働く人」の未来の希望となる2030年に向けたビジョン策定プロジェクト

「働く人」の未来の希望となる
2030年に向けたビジョン策定プロジェクト

ジャパンメディック株式会社

ジャパンメディック株式会社

https://www.japan-medic.co.jp/

昭和25年、株式会社前田模範堂として創業。平成7年の社名・拠点変更に伴い、OTC(一般用医薬品)外用剤に特化した商品開発・生産を開始。生活者の役に立つ製品・サービスを「提案」することにより、人々の心身の「健康」を支え、「夢」に向かって明るく元気に生きる人を増やすことを目的とした「健康夢提案企業」であることを自社の使命として掲げている。品質の担保はもちろん、自社生産にこだわり、健康の実現を通して人々の生活の質の向上を後押しし続ける。

話し手
ジャパンメディック株式会社 代表取締役社長 
前田和也様
聞き手
アイディール・リーダーズ株式会社

ご依頼の背景

2030年に向けたビジョンを新たに策定されたジャパンメディック株式会社様。前田社長は、右肩上がりの業績とは裏腹に、社員の活気が低迷している状況に違和感を覚え、企業理念実現に至るまでのマイルストーンとして2030年に向けた新しいビジョンを策定することを決められました。社員のエンゲージメントやモチベーションの向上に着目し、現行の理念には表現しきれていない未来への希望を反映したものになるよう、「みんなで」考えることにこだわった今回のプロジェクト。インタビューでは、ビジョン2030を策定することになった経緯やプロセスの裏側、その後の変化などについてお伺いしました。

2030年に向けたビジョンを策定するに至った背景を教えてください。

ありたい姿であるはずのビジョンが、働く人の希望として機能していないことに感じていた違和感。

前田

2021年春頃、ある日の経営会議の中で、経営陣の役割を見つめ直す機会がありました。私たちの最大の役割は会社のビジョンを実現させること。にも関わらず、「ビジョンって何だっけ…」という状態に陥ったんです。弊社では、2019年に企業理念体系を再構築して以来、自分たちの使命(ミッション)「健康夢提案企業」だと言い続けてきました。しかし、あまりにも漠然としているというか、全員にとってピンとくるものではなく、日常と結節しづらい印象だったので、改めて使命達成に向けたマイルストーンとしてビジョンを考え直そうかという話になりました。

後藤

ミッションには上限が設定されないことが多い分、遠い存在に感じてしまうこともありますよね。前田社長は2019年4月に現職に就任されましたが、今仰っていたような課題感は、実際に経営に携わってみて初めて認識されたのですか?

前田

今の立場になる前から、薄々感じていました。業績などの数値的な側面に関しては良好な状態を維持している一方で、社員の活気が低迷していることが気になっていて。企業としての一体感や勢いを出すためにも、北極星となる使命(ミッション)を目指すまでに、働く人に希望をもたらし、エンゲージメントやモチベーションに寄与するようなマイルストーンを設定することにしました。

ビジョン2030策定プログラムの中で、効果的だと感じたプロセスと、重視されていたことを教えてください。

未来について考え、アイデアを生み育てる。こだわったのは、それをすべて「みんなで」やること。

前田

シナリオプランニングでは、広く長い視点を持って未来についてみんなで目線合わせができました。未来を語り合う場はあまりないですし、社員の活気を高めるためにも必要なことだったと思います。また、プログラムの中で一貫して重視していたことは、「みんなで」やるということです。

後藤

今回御社では、経営陣だけで決めてしまいがちなビジョンを、幅広い立場・社歴の方を集め、足並みを揃えながら検討していくという難しい手段をあえて選ばれていたのが印象的でした。このやり方にこだわったのはどうしてですか?

前田

「みんなで」一緒にやることによって得られる腹落ち感のようなものに期待してのことでした。自分たちのビジョンは自分たちで生み育てるのが、主体性やエンゲージメントなどの側面でいい影響があることは自明でしたので。また、私が大事にしているバックキャスティング(理想像を明確にしてからプロセスを組み立てるという考え方)においては、ビジョンが全ての基準となります。だからこそ、みんなをドライブさせられる納得度の高いものを創りたいという強い想いがありました。遠回りだとしても、先々のことを考慮した上で、みんなで創るということにこだわって良かったと思っています。

後藤

そのような考え方はボトムアップ的な思想に近いと思いますが、元々御社の文化として根付いているものだったのですか?

前田

そんなことはないです。遡って考えると、むしろトップダウンが主流だったと感じます。というのも、経営を改革して業績を一気に伸ばした先代の社長は、自身でなんでもこなして道を拓いていくような人間で、会社に対して強い影響力を持っていましたから。そんな彼の背中を見て、私にこのようなやり方はできないだろうと最初から自覚していました。だから私が社長に就任してからは、意図的に周りの人間を巻き込む形にして、物事を決めるようにしています。

後藤

世代交代のタイミングで、組織のあり方にトランスフォーメーションが生じたのですね。

前田

私がボトムアップ型の組織を完全に形成できているかと言われるとそうではありませんが、最近では、みんなでビジョンづくりや委員会活動を行うことで、特に未来に向けての取り組みスピードが加速している印象があります。担当者不在のまま、見て見ぬふりをされていた可能性のある課題にしっかりと向き合うことができているので、とてもいい状態と言えると思います。

2030年に向けたビジョンが【くすりだけを、つくらない。】に決まった理由や想い、こだわった部分を教えてください。

「健康夢提案企業」としての2030年に向けた約束をまとめた5つのテーマ別ビジョン。

前田

このビジョンはダブルミーニングになっています。1つは、「専門のくすり以外にもチャレンジしていく」という宣言。もう1つは、「健康夢提案企業」という弊社の使命の通り、「健康の実現を通して人々の夢ある人生に貢献したい」という想いです。人々の明るく元気な生活の実現のために、治療・予防やアフターケアをくすりや薬以外の手段で後押しする存在でありたいと思っています。

後藤

今回、みなさんは【くすりだけを、つくらない。】に沿って、5つの重要なテーマ別にビジョンを掲げられました。それぞれについて教えていただけますか?

前田

まずは「生活者」をテーマに、【日本のセルフメディケーションを前進させる。】というビジョンを掲げました。現代の日本人が病院に行きすぎているという課題意識から、公的医療への依存から脱却し、市販の薬品などを役立てながら、自分の健康を主体的に管理するのが当たり前な世の中にしたいとの想いを詰め込みました。テーマ「事業」では、【医薬品にこだわらない幅広い商品をつくる。】というビジョンに基づき、医薬部外品や健康食品など薬以外の商品づくりにチャレンジしています。予防〜治療〜アフターケアをモノと情報の両面でトータルサポートする取り組みなど、一人ひとりの症状や悩みに合わせた解決策を提案していきます。テーマ「環境」で設定したビジョンは【健康な地球を未来に残す。】。弊社では、社会の一部である企業の責任として、脱炭素化や二酸化炭素排出力の可視化、100%再生エネルギーの利用、太陽光発電などを実行しており、社内のエコ意識も徐々に高まってきています。テーマ「地域」では、【富山を日本有数のヘルスケア産業地帯に。】をビジョンとして掲げ、地元の方々に向けた健康促進活動などを行っています。

後藤

環境への配慮や地域への貢献という点では、最近はそのようなマインドのない企業は社員からも選ばれなくなってきていますよね。就職活動中の大学生でも、パーパス、ビジョン、バリューを企業選びの軸にする人が増えてきていますし、社会的に当たり前のことをしているかどうかが企業の評価に直結する印象があります。

前田

そうですよね。弊社でも、会社の価値観や考え方について社員の関心は極めて高いです。商品だけでなく企業の付加価値として、「環境」や「地域」というテーマにこれからも積極的に取り組んでいきたいと考えています。

後藤

あと1つは「人・組織」をテーマとしたビジョンでしょうか?

前田

はい。【自分らしく成長し、やりたいことができる会社。】としました。私個人としては、これが特に気に入っています。働く人がモチベーション・エンゲージメントを高く維持していることが、あるべき姿であり最も大切だと思っているので。このビジョンがあることによって、社内に新しいインパクトを起こし、いろいろな側面で効果を生み出せればいいなと思っています。

ビジョン2030策定後に社内でアクションや変化は起こりましたか?

「くすりだけを、つくらない。」という軸に沿って、社員たち自らが踏み出す新しい挑戦。

前田

ビジョン2030を具現化する役割を担う委員会を社長直轄の組織として発足させました。現在は、新入社員も含めた若手からグループ長などのベテランまで、幅広い年代の社員20名ほどが所属しています。委員会は半年を1クールとし、今回で3期目です。全員自ら手を挙げて加入し、「新規事業推進委員会」「エコ推進委員会」「イベント企画・PR委員会」「制度委員会」のいずれかで業務の合間を縫って活動しています。

後藤

割合にすると社員の5人に1人が委員会に所属していることになりますよね。自主的に参加するものでこの参加率、累計にするともっと多いと考えると、社員の皆さんの意識の高さが窺えます。委員会での活動は評価の対象になるのでしょうか?

前田

プロセス評価で全体の15%として換算しています。大変意義のある活動をしているので、ある程度は時間をかけていいと伝えていて、みんな熱意を持って取り組んでいます。

後藤

委員会で実施した活動にはどのようなものがありますか?

前田

例えば、「イベント企画・PR委員会」では、親子連れを対象としたファミリーデーや地元の小学生を対象とした工場見学を企画し、会社に招きました。ほかにも、高校生のフィールドワークの受け入れや出前授業の実施を通して、弊社の情報やセルフメディケーションの重要性について知ってもらう機会を順次拡大予定です。いわゆる人事領域の仕組みづくりに関わる「制度委員会」では、最近社内サークル制度をスタートさせました。私はフットサルとゴルフサークルに所属していますが、富山発祥のスポーツであるビーチボールサークルや釣りサークルなど、今では10を超えるチームが活動しています。大所帯の野球サークルでは、先日年代対抗の試合をして、球場が部員とその家族で大変盛り上がったみたいです。また、働き方の部分でも、時差出勤制度の実現を目指して調整中です。製造ラインではどうしても課題が多いのですが、ベストなやり方を模索しています。

後藤

サークル活動、社員同士の絆が深まりそうでいいですね。時差出勤に関しては、例外になりがちな工場勤務者も対象に含められたら、かなり先進的な事例になりそうです。

前田

どの社員にとっても、働き方の選択肢は多い方が絶対にいいので。妥協せずに、引き続き知恵を絞って考えます。

後藤

委員会活動のほかにも、ビジョン2030ができたことで、会社全体や経営のあり方において、起こった変化や影響はありましたか?

前田

具体的な未来を考える際の軸となるので、新規事業のコンセンサスが取りやすくなりました。そのおかげで、業務提携の領域が広がったり、これまでとは違うコンセプトの商品開発が決まったりと、スピード感を持って新しい挑戦ができるようになってきています。冒頭の課題感の話に帰着しますが、こうした挑戦する姿勢こそが働く人の刺激や未来への希望となり、会社としての一体感や勢いを醸成するタネとなるはずです。今後も、5つのビジョンを基点とし、前向きに働く社員で構成された会社へと変化を重ねていければと思います。

アイディール・リーダーズのビジョン策定プログラムをどのような人におすすめしたいですか?

ビジョンを通して働く人がイキイキとしている組織を目指すならアイディール・リーダーズへ。

前田

ビジョンを通して組織を盛り上げたい、束ねていきたいと思っている人には強くおすすめします。個人の能力を最大限に引き出して、働く人がイキイキとしている状態を組織のゴール感として持っている人に合うと思います。一方で、働く人のモチベーションにはそこまでこだわりがなく、数字だけを追い求める組織を目指す人には意味を感じられないかもしれません。旧来型のビジョンではつまらない、組織のみんなを巻き込んで勢いをもっと出していきたいと考えている人がいたら、ぜひアイディール・リーダーズの話を聞いてみてはいかがでしょうか。

※このビジョンをもとにした新商品については、こちらの記事をご覧ください。
https://ideal-leaders.co.jp/blog/japan-medic-puepose-implementation/

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