国分グループ本社株式会社 人を大切にする会社としての原点に戻り、「社員の仕事における幸福度」を向上する

人を大切にする会社としての原点に戻り、
「社員の仕事における幸福度」を向上する

国分グループ

国分グループ

https://www.kokubu.co.jp/

300年を超える歴史をもつ、食品・酒類の総合卸売業の老舗。「K&K」をはじめとする自社開発商品の開発、販売も手がける。「食のマーケティングカンパニー」として、ビジネスニーズに応え続け、顧客満足度No.1企業を目指す。

話し手
国分グループ本社(株)野間 幹子様
国分グループ本社(株)廣瀬 勇人様
国分北海道(株)渡邉 雪子様
聞き手
アイディール・リーダーズ株式会社

ご依頼の背景

国分グループは、2021年からスタートした第11次長期経営計画(以下、長計)の中で「社員の仕事における幸福度(以下、社員幸福度)の向上」を重点領域の一つに置いています。

社員幸福度に対する着眼はグループにおいて初めての試みであり、進め方や構想についてゼロから考える必要がありました。そこで、社員幸福度の定量化や、複数年に渡る定点観測、及び社内浸透策などについてご相談いただきました。

今回は、本プロジェクトを推進する野間様、廣瀬様、渡邊様に、本取り組みの背景やその内容、グループで見られる変化などを伺いました。

社員幸福度に着目し、その向上に取り組むことになった背景を教えていただけますか?

長計の柱の一つとして社員幸福度の向上を目指すことに。人を大切にしてきた国分グループとして、原点に戻る取り組みがスタート。

野間

グループでは、2021年から第11次長計がスタートしました。その前年に立ち上がった長計の策定委員会で、グループは「人を大切にする会社」として存在してきたのだから、長計にも「人」にまつわる戦略を含めたいという話があがったのです。

「人」とは、お客様はもちろん、当社の社員も含めたものです。さまざまな議論を経て「事業を通して、世界の人々の幸福を創造するために、私たち自身が幸せであることが大切」という結論になり、「社員幸福度」を上げるという目標を立てました。

グループには「会社は社員を大切にし、社員は会社を大きく育てる」という人事理念があり、ある意味で当社の経営の原点に戻る取り組みでもあると言えます。

丹羽

「社員幸福度」というキーワードに落ち着くまでに、どのような検討をされたのでしょうか?他にも言葉の候補があったのではないかと思います。

野間

おっしゃる通り、始めは「エンゲージメント」や「社員満足度」という言葉もありましたが社員が受け止めやすい言葉にしたいという思いから「幸福度」に決定しました。

廣瀬

「幸福」という言葉に、先入観を持つ方もいらっしゃいますし、私たち自身も日頃から多用する言葉ではありません。だからこそ、まず事務局である私たちが長計における社員幸福度向上の意味合いをしっかり理解する必要があると考えていました。

渡邉

実際、私が所属する国分北海道の社員の多くは、当初「会社が何かしてくれるのだろう」という反応でした。幸福度への理解がない段階では、仕事における幸福度という概念自体に違和感を持つ社員がいたのも事実です。東京の本社から距離があればあるほど、なぜ今「幸福」に着目しているのか、どんな考え方で生まれた言葉なのか、が見えづらく、それゆえに先入観も強くなるのだろうと感じました。

野間

社員幸福度を向上していくパートナーとしてアイディール・リーダーズにお声がけしたのは、丹羽さんの本を拝読していたことと、別のプロジェクトで伴走いただいていた御社の代表の永井さんから「経営計画に数値目標だけを掲げるのではなく、本当の意味での幸せや働きがいを社員に伝えていくとよい」というアドバイスをいただいたことが大きな理由です。

永井さんのこの言葉は、私の背中を押してくれました。仮に取り組みに対して抵抗感を持つ社員がいたとしても、今までの延長線上ではない、「社員全員がモチベーションを高め合いながらやっていこう」という人材戦略を実行したいという私自身の願いが改めて明確になりました。

社員幸福度の向上を目指すにあたり、どのようなことから検討をはじめましたか?

国分グループ独自で定量指標を策定。社員が数値目標の達成を追い求めすぎないよう、取り組みの背景や内容に関する発信について深く検討した。

廣瀬

社員幸福度は、売上目標などとは異なり、定性的な目標ですよね。とはいえ、少しでも定量的に捉えたいと考え、経年変化がわかる指標を検討しました。

野間

外部の指標を転用するか、当社オリジナルの指標を掲げるか、を決断するためにかなり議論を重ねました。当時、幸福度を測る外部指標があまりなかったので、当社に最適な指標をオリジナルで作ろうという判断になりました。

指標を考えるにあたり、「幸福とは何か」の定義づけから始めました。アイディール・リーダーズの皆さんが国内外の研究結果を取りまとめ、それらを元に幸福度の構成要素や調査の設問を検討しました。各年代の社員にインタビューを重ね、構成要素や設問が机上の空論になっていないか、かなり丁寧に確認しました。
指標案がある程度まとまった後、グループ全体に調査を実施する前に、指標の統計的な妥当性を確認するため、社員の男女比率などの基本属性がグループ全体と類似している国分西日本で「予備調査」を実施し、無事に妥当性を確認できたことで、私たちも安心してグループ全社へと展開できました。
指標作りや調査方法の検討は、本当に骨の折れる作業でしたが、アイディール・リーダーズには、アカデミックな視点も含めて多くの支援をいただきました。

廣瀬

正解や前例がない取り組みなので、本当に手探りの状態で進めました。定量的な指標を作りたい一方で、私たちの思いよりも数値目標が先行することで無機質に感じられることは避けたいと考えていました。

議論の末、最終的に、「仕事における主観的幸福感」に関する設問で一定以上の幸福感を感じている社員の人数を主要KPIに設定しました。その上で、数値目標の達成だけを過度に意識しないよう、グループ全社に対する発信の仕方には当初からかなり気を配りましたね。幸福度を高めていこうとする個々人の主体性が損なわれないようにしたいと考えていました。

グループ個社のKPIとして「幸福度向上を目的とした施策の数」を置いた背景にも、「どんな小さなものでも良いので主体的に打ち手を考えてほしい」「中長期で継続的に施策を実施してほしい」という事務局の想いが反映されています。

野間

外部の一般的な指標を使うと、ある特定の設問における結果の改善や他社比較に意識が向き、自分たちが向き合うべき組織課題に向き合えなくなってしまう可能性があります。廣瀬・渡邊を始めとする事務局メンバーのおかげで、自社の過去と現在を比べた変化や成長を感じられる指標が完成し、「自分たちらしさ」を大切にし続けることができる指標が完成したと思います。

第1回・第2回の調査から得られた具体的な分析結果や示唆は何ですか?

仕事における主観的幸福感を高めるためには、「自己実現&自分らしさ・強みの発揮」が最も重要であると判明。単発の施策で終わらせず、本質的な取り組みを中長期で推進していきたい。

丹羽

これまでに2回の社員幸福度調査を実施しています(2023年3月現在)が、特に印象的な結果はありますか?

野間

第1回調査結果における最大の示唆は、「【主観的幸福感(仕事)】に対し、【自己実現&自分らしさ・強みの発揮】が最も大きな影響(影響度86%)を与える構成要素であることが判明したこと」です。これは、共分散構造分析を実施し、それぞれの構成要素が他の構成要素に対してどの程度の影響を与えるかを統計学的に算出したことで得られたインサイトです。(※下図参考)

野間

また、年収に比例して幸福度が高くなる傾向が見られる一方で、「相対的に年収の低い属性においても【自己実現&自分らしさ・強みの発揮】や【つながり・関係性】の数値が高い社員は主観的幸福感(仕事)が高い」という結果も得られました。給与や人事制度の整備以外の形で社員幸福度向上に寄与する可能性が示されたという意味で、非常に印象的な示唆と言えます。

第2回調査結果では、個社における施策の実行数と施策の取組状況に対する社員の評価が必ずしも比例していないことが判明しました。施策数が少なくても、取り組みに対する社員からの評価がとても高い会社があれば、その逆の場合も存在します。一過性の施策(一度きりで完結するコミュニケーションの機会の設定)、職場環境改善に関する施策などは短期的かつ限定的な効果に留まる傾向にあることがわかっています。また、施策の内容にかかわらず会社の取り組みを評価している社員は、仕事における幸福度が高いという全社共通の傾向も確認されました。

だからこそ、より一層各社における取り組み内容や質を高めていくこと、そしてそれらを社員の共感を得る形で発信し続けることが重要であると受け止めています。

廣瀬

分析結果や数値をどう意味づけるかは、これまで慎重に議論を重ねてきました。便宜上、「幸福度を見出している」とみなす数値の基準はありますが、あくまで目安に過ぎません。その数字の裏に、全社員のどんな想いが込められているのか、どんな組織課題が隠れているのか、背景を見にいくことを忘れずに取り組みを進めています。

会社から社員へ一方的にメッセージを出すのではなく、社員個々人が、自分と仲間と会社のために主体的に幸福度の向上を目指す意識を持ってほしい、社員と会社が手を取り合って双方向で幸福度を上げていきたい、と常々思っています。

分析結果を踏まえて、どのような施策を行いましたか?

結果を踏まえてワークショップを企画し、2年間かけてグループ全社に展開。グループ本社の経営陣、各エリアカンパニーの経営陣が受講し、自分たちの言葉で幸福度向上の重要性を語ったことで、その波は全社に広まる。パートタイマーを含めグループ約5000名のうち約1300人がワークショップを受講。

溝渕

調査結果を踏まえて施策を検討することは簡単ではなかったと思います。実際にどのような思いや検討プロセスの元、施策を実施されたのでしょうか?

野間

分析結果を踏まえて、最優先で取り組んだことが「社員個々人のパーパス(人生の目的)」を探求することと、それらと国分スタンス(国分におけるパーパスにあたる概念)の重なりを見出すことです。分析結果から、人生の目的を見出していて、かつ、国分スタンスへの共感度合いが高い人が仕事における幸福度が高い、という結果が得られたためです。これまで、社員個々人のパーパスを見つめる取り組みは会社として行ってきていなかったので、まずはそこからやってみよう、ということでワークショップの展開を始めました。

ワークショップを通じて、まずは自分自身に向き合う時間を取ることが重要だと考えました。自分自身の過去の成功体験や自分らしさが発揮された出来事から、人生における喜びや貢献のポイントを探求し、パーパスとして言語化してもらいました。

その上で、「なぜこの会社で働いているのか?」「国分グループという会社のどこに魅力を感じているのか?」を探求する時間を取りました。

丹羽

ワークショップの中では、人事総務部長の小木曽様から、国分グループが300年以上かけて培ってきた社是である「信用」や「食のマーケティングカンパニー」たる所以についてご自身のストーリーを交えて話してもらいました。これにはどんな効果がありましたか?

野間

単に会社からの発信を一方的に聞いてもらうのではなく、小木曽のストーリーを交えながら「国分スタンス」を理解するステップを入れ、「自分のパーパスと国分スタンスの重なり」を探求してもらったことで、丁寧に時間をかけて自分の内面を探求できたのではないかと考えています。

こちらのワークショップは、通称「パーパス・ワークショップ」として、グループ全社の経営陣や管理職、有志社員が受講しました。経営層が一堂に会してワークショップに参加することは滅多にありません。私も企画しておきながら、実施を終えるまでは緊張感がありました。一定の時間がかかりましたが、意思を持って幸福度向上の取り組みに関わる人が増えたことで、変革のムーブメントの土壌ができたと実感しています。

溝渕

経営陣・管理職の方の強いコミットメントには私たちも感銘を受けました。その熱意を全社に広げていくために、どんな思いで、どんな取り組みを行いましたか?

野間

まず、パーパス・ワークショップはとにかく多くの社員に参加して欲しいと考え、社員が主体的に主導できるよう、全国でワークショップを展開する「ファシリテーター」を養成しました。

同じワークショップでも、自分たちが主導して、自分たちの言葉で進めることで、展開するファシリテーターも参加する社員も取り組みに対する熱量が増していった印象があります。現時点(2023年3月現在)で1321人の社員がワークショップを受講し、自分のパーパスや国分スタンスとの重なりに向き合ってきたことになります。こうして丁寧に施策を重ねたことで、現在も一定の変化が生まれていますし、この変化がより大きな成果につながっていくと確信しています。

野間

また、管理職層を対象に、「パーパス・コミュニケーション ワークショップ」を実施しました。管理職は、メンバー個々人の強みや価値観、パーパスを深く理解し、それらを踏まえて主体的なチャレンジを支援するコミュニケーションが求められると考えています。

結果的に、日々の忙しさや数値目標に追われがちですが、むしろパーパスこそが仕事の真ん中にあるのだと感じてもらう機会になりました。新たな人事制度の方針と、幸福度向上の本質は同じなのだと気づくきっかけにもなったように思います。

全国のエリアカンパニーでは、どのような施策を行っていますか?

各社でワークショップが開催され、エリアを跨いだ合同開催の事例も。社員自身の幸福だけでなく、社会の幸福を考える取り組みも生まれている。

野間

各社で、社員に対してワークショップが行われています。その方法は各社に任せており、参加も社員の意思に任せているケースが多いですね。そもそも、グループ本社が開催したワークショップのファシリテーター育成プログラムへの参加も、主体性を重んじて任意にしたんです。

丹羽

社員幸福度の浸透にあたって、ワークショップへの参加を必須にするか、手挙げ制にするかは悩まれたポイントなのではないかと思います。手挙げ制にしたのは、どのような理由があるのでしょうか?

野間

「幸せは強制されるものではない」という思いが根底にありました。自分自身の意思で選び取っていってほしいと思ったのです。グループ各社の社長の動画も、同じスタンスでメッセージを発信しています。

渡邉

任意参加というスタンスでも、各社の上層部がワークショップに参加したからこそ、各エリアでの施策が進んでいると思います。たとえば、私が所属する国分北海道と国分中部が合同で、社員へのワークショップを行ったのも、双方の人事総務課長が「ファシリテーター育成プログラム」で会話したことがきっかけでした。幸福度を推進する為には、両社とも全社員が幸福度に対して正しく理解する必要性を感じていました。また国分スタンスは、自社だけではなく、他のエリアカンパニーの文化も感じた上で共感して欲しいといった想いがありました。こうした両社の考えが重なり、エリアを跨いだパーパス・ワークショップの開催に繋がりました。

野間

それまではエリアカンパニーを跨いで人事施策を行うことはなかったので、画期的な出来事でしたね。

渡邉

そうなんです。当社グループは2016年からエリアカンパニー制をとっていますが、エリア間の繋がりはほとんどありませんでした。他のカンパニーの社員を知らないので、互いにコミュニケーションを取ってみようという発想にもなりにくかったように思います。

ところが今回、ワークショップの実施により北海道と中部で同じ仕事をしている社員同士が意見交換をしたことで、他のエリアにも同じ想いを持つ仲間がいることを目の当たりにしたんですよね。参加者からは、自分の仕事や会社の使命を改めて感じられて、モチベーションが上がったとの声が多くあがりました。人事総務部としても、以前からエリア外のグループ社員との交流の場を作りたいという想いがあった為、こうした社員の反応は非常に嬉しく感じました。このワークショップが幸福度の理解だけでなく、社員のモチベーションアップなど日頃感じる課題感に対して効果的に働いたと手ごたえを感じています。

ただ、エリアカンパニー内での浸透は、まだ道半ばであると感じています。会社と自分のパーパスとの重なりから幸福度を上げること自体を前向きに捉えていない人もいるのは事実です。国分北海道を始め、様々な経緯で国分グループの一員となっている方がいることを理解し、彼らの想いを尊重して、親身に寄り添っていきたいです。

野間

各社の社長メッセージ動画も制作しました。当社グループは会社統合を重ねてきた歴史もあり、かつては競合企業にいた人が、現在は同じ職場の一員として働いているケースもあります。

こうした背景を踏まえて、グループ本社の社長だけでは伝えきれない国分スタンスや本取り組みの本質について、各社の社長が自らの言葉で語りかける機会を作ったのです。結果的に国分スタンスに対する理解・共感が進み、本取り組みに対して前向きな社員が増えました。

たとえば、新潟酒販の社長は、国分グループの「世界の人々の幸せと笑顔」という企業理念を、「新潟の酒文化の醸成」という言葉で社員に伝えているんです。グループ各社の社長が熱意を持って自分の言葉で発信してくれたおかげで、お客様や地域に対する貢献を社員が実感しやすい表現が生まれ、社員の理解と共感が進んだように思います。

新潟酒販、国分ビジネスエキスパートや国分フードクリエイトのように、 施策数は多くないが熱量が非常に高く、取り組みの本質や自分たちの思いを一貫したメッセージとして整理できているカンパニーの姿勢には、本当に感銘を受けています。

廣瀬

国分北海道のような、さまざまな施策を行っているエリアカンパニーは、社員が働くことによる幸福を見出している印象です。

当社では年1回、各エリアでの成功事例を全国に共有する社内表彰制度「Na-gional(ナジョナル)大賞」を実施しています。その応募内容に、幸福度を社会にどう還元するかの取り組みがあったんです。社員幸福度向上の活動が浸透してきたからこそ、社員が社会の幸せを考えてテーマとして応募してくれたんだと感じて、嬉しくなりましたね。

社員の幸福がありながらも、その先に会社が社会に対する幸福をいかに生み出せるかがあるんですよね。この循環が大切だと長計でも謳っています。ビジネスを通じて、社会に貢献して、それを誇りに思える循環をこれからも生み出していきたいです。

ここまでの成果をどう捉えていますか?

キャリアの考え方を社員に示し、コミュニケーションの質を向上させているエリアカンパニーには、幸福度の向上が見られている。

野間

これまでに二度の幸福度調査を行った結果、会社のパーパスへの共感度を上げていくこと、また、個人のパーパスを見出すことをまだまだ推進する必要があると考えています。

良い雰囲気が醸成されているエリアカンパニーには、大きく2つほど特徴があると感じています。ひとつは、社員の皆さんへ人生におけるキャリアの考え方を示していること。そして、コミュニケーションの質を意図的に高めていることです。コミュニケーションとは、社員同士が仲良くするだけでなく、本質に踏み込んだ対話ができる関係性を築いているという意味合いです。この2つが推進されていると、社員は会社への帰属意識が芽生え、自分はここで成長できると思えて、主体的に行動するようになると思うんです。

溝渕

2回目の調査を終えてから、事務局の皆さまは全国のエリアカンパニーへ足を運んで、丁寧にコミュニケーションを取られていましたよね。

野間

はい、各社をまわって話をしてみると、エリアの担当者は調査結果の悪いところにばかり着目していることがわかったんです。相対的に数値が低い部分はどうしても出てくるのだから、良いところに目を向けてほしいとコミュニケーションしましたね。

廣瀬

エリアカンパニーの事務局の方々と直接話すことで、施策についても具体的な様子が見えました。調査だけでなく、こうした対話も欠かせないと感じられた経験でした。

また、月1回開かれる長計の月次定例会議では、我々から経営陣へ進捗共有をしています。ここまでの活動を通して、さまざまな課題が浮き彫りになりました。施策数を指標としているものの、その数が多いほど成果が出ているとも限らないことが見えてきています。指標については、ある程度柔軟に変えながらやっていくことも必要ですね。

野間

アイディール・リーダーズの皆さんには、我々と同じ目線で向き合い続けていただきました。課題意識も具体策のご提案も、一方的にいただくのではなく、一緒に考えながらここまで来れたことに感謝しています。

今後の展望をお聞かせください。

300年以上の歴史を持つ国分グループだからこそ、長い時間軸で社員の幸福度を向上していきたい。

廣瀬

当社グループは長い時間軸で物事を捉える点において特徴的であり、強みでもあると考えています。社員幸福度を上げる施策は、一朝一夕に成果が出るものではありません。5年や10年、もしくはもっと時間がかかるでしょう。これからも目指す姿を見失わずに、焦らず着実に、根気強く浸透していくことを続けたいと思います。

渡邉

「幸福度」は新しい概念だからこそ、違和感を感じることもあるのだと実感しています。推進策を行うにあたっては、押し付けにならないようにしたいと考えています。社員一人ひとりが幸福度やパーパスを咀嚼して理解したうえで、自分で選び取ってほしい。そう思いながらワークショップなどの施策を行っています。

野間

国分グループは310年続いている会社です。ここまで長い歴史を築いてきた背景のひとつには、オーナーが社員を大切にしてきたことがあると思っています。元来からもっていた国分のDNAを改めて見つめ直し、社員が自律して、主体的に能力を発揮できる支援をしたいと思っています。

担当コンサルタントからのコメント

担当コンサルタント コメント
アイディール・リーダーズ株式会社 CHO 丹羽真理

国分グループ様は「ウェルビーイング経営」という言葉がまだあまり一般的ではなかった頃から、このテーマに取り組んでいらっしゃる先進的な企業の一つです。社員の皆様の「仕事における幸福度」向上に向けた取り組みを推進されている中で、以下が鍵となるポイントだと考えています。

1つ目は、社員の「仕事における幸福度」を長期経営計画の重点領域に置き、経営上の重要なテーマとして全社を挙げて取り組まれていること。社員の幸せが事業を通じて世界の幸せを想像創造することにつながる、という考えに基づき、本気で取り組んでいらっしゃいます。このテーマに対する経営層のコミットメントや本気度がひしひしと伝わってきます。

2つ目は、社員の「仕事における幸福度」を測るオリジナルの指標を作ったこと。また、この指標を用いて、データドリブンで幸福度向上施策の展開や効果検証を行っていることです。毎年調査を行う度に新しい示唆が導出され、それに基づいた施策を検討・展開されています。

3つ目は、カンパニーごとの特色や状況に合わせて、それぞれが「仕事における幸福度」を主体的に考え実行していく体制を構築されていること。現場の状況に合った形で、多くの方を巻き込みつつ、主体性を重視した運営をされています。

4つ目は、全社の活動の中心となる「パーパス・ワークショップ」を社内ファシリテーター中心に展開されていること。このことにより、コンサルタントである私たちがいなくなった後も、継続的にパーパスについて皆様が考えていけるような仕組みを構築しています。

国分グループ様では社員の「仕事における幸福度」の向上に真正面から取り組まれ、着実にその実現に向けて歩みを進めていらっしゃいます。アイディール・リーダーズは2021年度から、幸福度調査の設計・分析およびパーパス・ワークショップを始めとした幸福度向上の取り組みを伴走していますが、これからも引き続き、共に社員の皆様の仕事における幸福度向上に貢献できるよう、サポートしていきたいと思います。

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