
パーパスに自分を重ねる
全社員1,100名の共鳴プロジェクト
株式会社丹青社
株式会社丹青社
1946年に創業した、総合ディスプレイ国内大手企業の一社。「こころを動かす空間づくりのプロフェッショナル」として、商業施設、ホテル、医療施設、イベント、オフィス、博物館等、人が行き交うさまざまな社会交流空間づくりの課題解決をしている。
ご依頼の背景
丹青社様は、長期視点で自社が目指す方向性を明確にするために、パーパスとバリュー、創業100年を見据えた未来ビジョンを新たに策定しました。これらを全社員が腹落ちできる状態にするために、アイディール・リーダーズと共同でグループ理念共鳴プロジェクトを実施しました。
本プロジェクトでは、社長を含む役員陣と事業部長・支店長層、プロジェクト事務局メンバーが参加してパーパス自分ごと化ワークショップを実施。その後、各部門から選ばれた社員がファシリテーターとなり社内で共鳴ワークショップをしていくこととなり、アイディール・リーダーズが協力してファシリテーター育成プログラムを実施しました。
本プロジェクトを企画・実施されたプロジェクトチームの石綿様、工藤様、秋山様に、取り組みの背景や内容、成果や気づきなどを伺いました。
新たにパーパス・バリューを策定することになった経緯や、それらに込めた思いについて教えてください。
長期的に目指す姿を言語化するために、「パーパス・バリュー」および「私たちの未来ビジョン2046」を策定。丹青社らしさを表現することにこだわり、「空間」という言葉をパーパスに用いた。
経営陣から、長期視点で丹青社が目指す方向性を掲げようという話が挙がったのが、パーパス策定のきっかけです。目指す姿として何を作るべきか、経営陣で議論を重ねました。その結果、我々の根幹となる価値観を示すパーパス・バリューと、丹青社グループが創業100年を迎える2046年を見据えた「私たちの未来ビジョン2046」の策定を行うことになりました。

当初はパーパスと未来ビジョンの2つを策定する予定だったのですが、それだけでは抽象的な表現に留まってしまい、個人の行動に落とし込みきれないのではないかという懸念がありました。また、従来の経営理念に置き換わるものを作るにあたっても、パーパスと未来ビジョンだけでは不十分だという話になったのです。そこで、個人の思いや行動の指針となるバリューを加えることで、組織全体が変容することを目指しました。
そこでパーパス策定プロジェクトを社内で立ち上げ、経営企画が事務局を担当しました。苦労したのは、現在の主力事業を表す「空間づくり」という言葉の扱い方です。自社の未来を見据えたパーパスを語るとき、「空間」という表現で自分たちを定義すべきか、かなり議論を重ねました。今の事業を将来も同じように続けているとは限りませんし、「空間づくり」という言葉がもつイメージがハードウェアに偏り、我々の未来の可能性を狭めてしまうという懸念もありました。
思い切って「空間」という言葉を入れない案も出たのですが、そうすると我々が何者かが伝わりにくくなってしまいます。結果として、丹青社らしさを大切にして「空間」という言葉を冒頭に入れたパーパスになりました。

例えばSONYさんのパーパスは「クリエイティビティとテクノロジーの力で、世界を感動で満たす。」というものです。こうした事例に見られるように、世の中の多くのパーパスの多くは、「自社らしさ」「対象」「貢献」の3つで構成されているのですが、貴社のパーパスは「どこで」という場面が加わっているのが特徴的です。「空間」という表現の議論があったという話を聞き、その強い思いが表れたパーパスなのだと感じました。
パーパス・バリュー策定後に実施したグループ理念共鳴プロジェクトのパートナーとして、アイディール・リーダーズを選んだ理由をお聞かせください。
全社員がパーパスに腹落ちできる状態にしたいという思いがあり、共鳴活動は外部パートナーの知見を借りながら行うことにした。自社に寄り添い、話し合いながら企画を進められるアイディール・リーダーズをパートナーに選んだ。
策定プロジェクトの初期段階から、プロジェクトメンバーの中ではパーパス・バリューを作って終わりではなく、共鳴活動まで行うべきだと考えていました。以前の経営理念が組織に浸透しきれていなかったこともあり、新たに作るパーパスは全社員がしっかり腹落ちできる状態にしたい思いがあったのです。
ただ、策定は社内で進めましたが、その後の共鳴活動も社内のリソースだけで実施するのは負担が大きいと感じていました。そこで、経営企画・広報・人事部門による新たなプロジェクト体制を整えたうえで、外部企業の力を借りながら進めることにしました。パーパスに関する参考資料を集める中で知った一社が、アイディール・リーダーズです。

外部パートナーを選ぶにあたって数社にお声がけし、最終的にアイディール・リーダーズに依頼したのは、当社に徹底的に寄り添っていただく姿勢を感じたからです。丹青社ならではの文脈に合わせた提案をしていただきましたし、話し合いながら企画を進めたいと思っていた我々にとってベストなパートナーだと判断しました。
グループ理念共鳴プロジェクトにおいて、全社員向けにワークショップを実施した経緯を教えてください。また、参加者の感想や反応にはどのようなものがありましたか?
上層部と事務局がパーパス共鳴ワークショップに参加し、この貴重な体験を全社員にしてほしいという結論になった。各部門からファシリテーターを選出して育成プログラムを実施した後、事業部ごとにワークショップを開催。参加者からはポジティブな感想が多く寄せられた。
全社員がパーパスに腹落ちするためには、説明会のような一方的なコミュニケーションだけでなく、対話型のワークショップのような施策が必要だと当初からプロジェクトメンバー間で話していました。
一方、その実施方法については決めかねていました。管理職など一部社員がワークショップに参加して各部門で自主的に展開してもらうか、あるいは全社員がワークショップに参加するかで迷っていたのです。
そこで、まず社長を含む役員陣、事業部門長や支店長、プロジェクト事務局が参加し、アイディール・リーダーズのファシリテーションのもとでパーパス共鳴ワークショップを開きました。役員陣には「パーパスを自分事にするプロセスを、まず上層部の皆さんに体感していただきたい」と伝え、ワークショップに参加してもらったのです。

私は事務局メンバーとして、役員向けのワークショップに参加しました。パーパスに腹落ちするには、ここまで自分自身を掘り下げて見つめる必要があるのかと驚きましたし、自分の幼少期のことや強みを社内のメンバーに話したのは初めての経験でした。他の参加者からは「なぜ丹青社に入社したのかを改めて振り返り、自分自身を理解できた」という声もありました。
ワークショップを一緒に体験した方々とは人間関係ができ、その後も気軽な話をしやすくなっています。
実施後に改めてプロジェクトの進め方を検討し、「会社のパーパスと自分のパーパスの重なりを見出す体験を全社員にしてほしい」という結論になりました。そこで、まず各部門からワークショップのファシリテーターを選出。ファシリテーター向けのワークショップ体験会と練習会を行い、その後の1年間で、ファシリテーターがワークショップを実施したという流れです。アイディール・リーダーズには、ワークショップの設計、および体験会と練習会の実施において協力いただきました。
各拠点で開催したワークショップの参加者からは、「1日がかりのワークショップは長いと感じていたが、あっという間だった」「同僚と対話し、お互いを深く知るきっかけになった」といった前向きな感想が多く寄せられました。対話や意見交換を交えたワークショップの巧みな設計によって、このような声が挙がるのだと思います。
ポジティブな反応が多くあり、嬉しく思います。ファシリテーターの皆さまからは、どのような感想が聞かれますか?

通常業務と並行してワークショップを実施する大変さはあったようです。ただ、参加者からのポジティブな感想や、ファシリテーターへのねぎらいの言葉がアンケートに多く寄せられたので、「やってよかった」と感じてくれていると思います。
ワークショップの開催期間中は、ファシリテーター53名でチャットルームを作り、状況報告をし合ってもらっていました。事業部内のワークショップに出席できない社員を他事業部の回に参加させてもらう調整を行うなど、ファシリテーター全員が協力して推進してくれたことも、事務局としてはありがたかったです。
こうした動きもあり、現在までに96%の社員がワークショップに参加し終えています。業務都合で出られなかったメンバーも、近日中にワークショップに参加予定です。
ファシリテーターの皆さんが自主的な動きもされていたのですね。パーパスの説明を聞くといった一方的なコミュニケーションではなく、お互いが意見交換をする良い場づくりをしていただいていたのだろうと感じました。

ワークショップ実施後、社内で変化を感じることはありますか?
エンゲージメントスコアが大幅に改善。特に、パーパス・バリューへの共感に関する項目のスコアが大きくアップした。
グループ理念共鳴プロジェクトを経て、エンゲージメントサーベイのスコアが大幅に改善しました。このサーベイは定期的に実施しているもので、最新の結果では「パーパスを知っている」「パーパス・バリューに共感している」「パーパス・バリューに基づいた行動を意識している」の各項目で大きくスコアが向上したのです。具体的な行動変容はこれからの課題です。今後、施策を検討していきたいと考えています。

日常業務でもパーパスの話に及ぶことが増え、社内の様々な場面で共鳴が起こりつつあることがうかがえます。ワークショップでの体験によって、パーパスやバリューを通して各社員が大切にしていることを自己理解できているようです。
今後の展望をお聞かせください。検討している施策などはありますでしょうか?
全国の拠点でタウンホールミーティングを開催予定。さらに人事評価制度や表彰制度もパーパス・バリューに基づいたものにアップデートすることを考えている。
次の施策として、タウンホールミーティングを開催予定です。各拠点に社長と役員が訪問し、30歳前後の若手社員と対話を行います。参加者を若手社員にしたのは、未来ビジョンで見据えている2046年に第一線で活躍している世代だからです。
タウンホールミーティングを企画した背景には、ワークショップの実施前に本社で実施したグループ理念共鳴イベントがあります。社長とパーパス策定チームが登壇し、パーパスを作ったプロセスなど一連の「産みの苦しみ」を直接語り、社長と社員が対話しました。この貴重な場を本社だけに留めるのはもったいないと考え、全国の拠点でも対話の機会を設けることにしたのです。

人事部としては、パーパスやバリューを体現することが幸せだと感じる社員を一人でも増やすために、引き続きエンゲージメント向上に取り組んでいきます。その先に目指す姿は、全社員がパーパスを意識することが当たり前になっている状態です。
直近の施策として、人事評価制度や表彰制度にパーパス・バリュー、未来ビジョンの内容を反映していく予定です。パーパスに基づいた行動が認められる仕組みをつくり、納得感のある評価制度を実現したいと思います。
パーパス・バリューを意識するだけでなく、企業文化として根付かせようとされているのですね。

その通りです。各社員はワークショップを通して、会社のパーパスと自分のパーパスとのつながりを見出している状態になりました。その集合体が丹青社としての一体感となり、文化として根付き、当社のブランド構築に寄与すると思うのです。広報としても社内外の発信においてパーパスを意識し続け、一貫性のある発信をしていきたいと思います。
経営計画や事業計画でもパーパス・バリューや未来ビジョンとの整合性を担保し、社内外へ説明する際もパーパスを意識したメッセージを出していくべきだと考えています。
未来ビジョンで見据えている2046年も、具体的な実現方法を掲げなければあっという間に訪れてしまいます。そこで、2046年までのロードマップをつくり、目指す姿を具体的に描きたいと考えているところです。
最後に、アイディール・リーダーズと共同でグループ理念共鳴プロジェクトを実施した感想をお聞かせください。
当初の期待通り、話し合いながら企画を進めるプロセスを踏むことができた。多くの知見を借りながらワークショップを設計し、実施できたからこそ多くの社員から前向きな感想が寄せられている。
多くの社員からポジティブな感想を得られたのは、優れたワークショップ設計やプロセスがあったからだと思います。ファシリテーター育成において、ワークショップを実際に体験してから練習会をするプロセスをふむことで、一つひとつのワークの意味合いを深く考えられました。
当社がパーパスやバリューが浸透していない状況を理解いただいたうえでグループ理念共鳴プロジェクトのゴールを設定し、企画に落とし込んでいただく的確さが心強かったです。当初は事務局も手探りの状態でしたが、安心してプロジェクトに向き合うことができました。
プロの知見を惜しみなく提供していただき、我々もパーパス・バリューの根本的な理解が進み、自信をもってプロジェクトを推進できました。ワークショップというソリューションを提供いただくだけでなく、当初の期待通り、幅広い議論をさせていただいたことに感謝しています。