仕事におけるPurpose – 第7回:Purposeに関する4つのトレンド

仕事におけるPurpose – 第7回:Purposeに関する4つのトレンド

Purposeの定義や、Purpose Drivenな組織づくりのポイントについて、弊社のブログでも以下のような記事を連載してきている。

 

Purposeを策定することのメリットは既に様々確認されてきているが、今回の記事では、Purposeとそのトレンドについて、いくつかの例を取り上げながら紹介していく。

 1.Purpose×ブランド

「Purpose」は、企業のブランディングにおいてもメリットがあるとよく言われている。コロナ禍に直面した2020年に、ラグジュアリーブランドは、躊躇なくPurpose志向な姿勢を示した。

(ちなみに、欧米では「Purpose Driven」という言葉を「目的志向」と捉えられる場合が多く、明確に「Purpose」を策定している企業に限らず、EDGsや、サスティナブルな取り組みはよく「Purpose Driven」な取り組みとして捉えられている。)

例えば、世界最大のファッション業界大手企業体とされるLVMHは香水の生産ラインを使ってフランスの病院向けに手指消毒剤を製造し、有名のイタリアラグジュアリーブランドPradaは医療用オーバーオール8万着とマスク11万枚を製造してイタリアの医療従事者に配布した。 LVMHとPradaは明確にPurposeを策定したわけではないが、社会的意義が含まれたPurpose Drivenなビジネスを積極的に取り組むことで、ブランディングに良い影響を与えることができた。

こういったブランド企業にとって、Purpose Drivenな取り組みは新しいものではない。例えば、グッチが2013年に立ち上げた「Chime For Change」は、ジェンダーの平等を求める声を集め、89カ国のプロジェクトを支援するために約1,700万ドルを集めた。このような取り組みは、社会意識の高い消費者の共感を得られ、今回のコロナ禍においても、ラグジュアリーブランドがPurpose志向であることのイメージ強化に繋がった。

 2.Purpose×消費者

Purposeは、最新のマーケティングワードやマネジメントの手段の一つだけではない。今日、主な消費者は企業に対して製品を作るだけでなく、より意味のある存在理由を求めている。

Purpose Drivenな企業は、製品ベースをはるかに超えた、より一層高いレベルの消費者エンゲージメントを得ることができている。Purposeを持って行動する企業は、重要な問題について共通の関心を持つことで、既存の消費者とより深い絆を築くことができる。また、Purposeを共有してリードすることで、企業は消費者層を拡大し、ブランドメッセージをさらに増幅させるための支持者を獲得することができる。

実際、現在の消費者がPurposeに深く関心を持っていると示しているデータがある。 YouGovAmericaのデータによると、アメリカ人の60%は、消費をする際に、コロナ禍でダメージを受けた人々を支援した企業を選ぶ可能性が高いとしている。同様に、PwC社の調査でも同じ結果が報告されている。また、エデルマン社の調査では、回答者の88%が、コロナウイルス危機に対するブランドの対応が将来の購買意欲に大きく影響すると回答している。

3.Purpose×インベストメント

投資家は、ESG(Environmental,Social,and Governance)評価システムのような基準を使って投資判断をするようになってきている。ESGスクリーニングは、主流の投資政策にまで入り込んでいる。英国の金融コンサルティング会社であるDeVere Groupが世界中に1,125人のミレニアル世代を対象に行った調査によると、ESGへの関心は、投資を決定する際に予想されるリターン(調査対象者の10%が最も重要としている)、過去の実績(7%)、リスク許容度(4%)、ストラテジー(2%)といった従来の要素を上回っている。

そして、コロナの影響は、投資判断におけるESGの活用をさらに加速させるであろう。ISSが世界の資産運用会社を対象に行った調査によると、回答者の5%が、「コロナの大流行以前よりも、現在の方が社会問題に関心が集まっている」と回答している。この現象は、J.P.モルガンの投資家調査でも確認されており、回答者の55%が、コロナが今後3年間のESG投資のポジティブなきっかけになると予想している。

こういった時代の流れがある中、社会的な意義が含まれた「Purpose」を策定し、真に社会課題に貢献するという方向を示すことができれば、投資家たちからの支援を手に入れることも難しくないだろう。

4.Purpose×エンゲージメント

組織がPurposeを策定したことにより、エンゲージメントを高めることができたというケースが近年増えている。LinkedIn社の調査によると、英国のプロフェッショナルの半数以上が、自分が働く会社を選ぶ際に、組織のPurposeが決め手となっていることが明らかになっており、また、特に若い優秀人材にその傾向があるということも明らかになっている。ボストンコンサルティンググループの調査によると、ミレニアル世代の67%は、「雇用主にPurposeがあり、自分の仕事が社会に良い影響を与える」ことを期待している。この調査によると、コロナ禍へ取り組みを支援している企業は、従業員のエンゲージメントが高まることが示唆されている。将来に向けて、次世代の人材採用をすすめる企業は、Purposeに目を向け、さらなる努力を求められるようになるであろう。

コロナ禍の発生は、企業がどのくらい従業員を大切にしているかといった姿勢も如実に示した。例えば、Lululemon、Sephora、Apple、Abercrombie&Fitchは、店舗閉鎖の最初の数週間、店舗が閉鎖されている間も米国内の従業員に給与を支払い続けた。Deloitte社の調査によると、62%の顧客が、「ロックダウン中に従業員の健康を確保するために特別な措置をとったブランドを選ぶ可能性が高い」と回答している。

もちろん、Purposeを打ち出すことで意欲ある人材を集めやすくなるメリットと共に、実際の企業運営がPurposeと矛盾していないかということに対する目が厳しくなるリスクもある。

以前、スポーツブランドのナイキは、テニスチャンピオンのセリーナ・ウィリアムズが女性に「Dream Crazier」と呼びかける、男女平等を促進する広告を発表した。その数週間後、ニューヨーク・タイムズが入手した2019年のナイキの陸上選手向けスポンサー契約書には、選手がパフォーマンスに関する目標を達成できなかった場合、「いかなる理由であれ」給与を減額する権利があると記載されていた。そのため、「Dream Crazier(ドリーム・クレイジアー)」というスローガンとは対照的に、偽善的な対応をしたことであると指摘された。

最後に

この5年間、経営の世界では、「Purpose」という言葉について様々な議論がなされてきた。あるマーケターは、ブランド戦略におけるPurposeの概念は昔からあるが、実際は企業やブランドが顧客に示す最上位の経営理念を表しているものだ、と指摘している。

多くの社会課題がある時代の中、企業は責任を負わなければならない。人々を公平に扱い、税金を支払い、サプライチェーンを管理し、倫理的に行動しなければならない。しかし、企業には、その資源や規模を活かして、新しい、より良い方法で世界に貢献する機会がある。その結果、企業のブランド力を高めることができるのである。Purposeとは、ビジネスを変革し、企業文化をつくり、ブランドに新たな価値を築くことができる可能性を秘めたものだ。

そして、エシカルでサステナブルなブランドへという概念がますます主流になるにつれ、Purposeは現代のすべてのブランドやビジネスにとって不可欠な要素になると考えられる。

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