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野村不動産ホールディングス株式会社|グループ全社の現場リーダーが語り合う、2030年ビジョンへの共感。組織の壁を越えた「自分ごと化」への挑戦

グループ全社の現場リーダーが語り合う、
2030年ビジョンへの共感。
組織の壁を越えた「自分ごと化」への挑戦

野村不動産ホールディングス株式会社

野村不動産ホールディングス株式会社

https://www.nomura-re-hd.co.jp/

住宅、オフィス、商業施設、物流施設など多角的な不動産事業を展開する総合デベロッパーグループ。「あしたを、つなぐ。」というグループ企業理念のもと、2030年に向けたビジョンとして「まだ見ぬ、Life & Time Developerへ」を策定。さらに、お客様の幸せと社会の豊かさを広げていく姿勢を鮮明にするため「幸せと豊かさを最大化するグループへ」という言葉をビジョンに加え、更なる成長を目指す。

話し手
野村不動産ホールディングス株式会社
グループ人事・人材開発部 副部長 兼 グループ人事戦略室長 中山 徹様
経営企画部 経営戦略課 課長代理 小野 寛也様
経営企画部 政策戦略課 課長代理 村田 侑司様

※以下インタビュー記事内では敬称略で掲載させていただいております。
※この記事内の肩書き・役職は取材当時のものです。
聞き手
アイディール・リーダーズ株式会社

ご依頼の背景

野村不動産グループでは、取り組んでいる事業領域や人事制度をはじめとした様々な制度・組織も異なるグループ各社がいかに連携し、相乗効果を生み出すかが課題となっていました。その解決へのきっかけとして、2030年ビジョン「まだ見ぬ、Life & Time Developerへ ー 幸せと豊かさを最大化するグループへ ー」に社員一人ひとりが共感し、日々の業務で体現できる「自分ごと化」を目指しました。

そこで、各現場と経営をつなぐ結節点である部長・室長・店長336名を対象に「ビジョン研修」をアイディール・リーダーズと協働で実施。参加率100%、理解度99%、満足度96%という高い結果を残すとともに、エンゲージメントサーベイにおけるビジョン関連項目のスコア向上や、各現場での自主的なビジョン共感活動など、その後の成果も見られています。

本プロジェクトを企画・実施された中山様、小野様、村田様に、取り組みの背景や内容、成果や気づきなどを伺いました。

ビジョン研修を実施した経緯について教えてください。

グループとしての一体感醸成と、グループ各社の連携を競争力の源泉にするために、2030年ビジョンをグループの全社員が共感し、実践できるようになることがグループ人材戦略の最優先課題だった。

小野

野村不動産グループでは、2030年ビジョン「まだ見ぬ、Life & Time Developerへ」を掲げ、そのビジョンを基に事業を推進してきました。次なる戦略策定にあたっては、この「まだ見ぬ、Life & Time Developer」とはどういう企業体を目指し、何を価値提供していくのかについて、解像度を更に上げ、議論を深めていく必要がありました。

小野

そこで、経営層での議論を重ねた結果、2025年策定の経営計画においては、グループビジョンに「幸せと豊かさを最大化するグループへ」という言葉を新たに付け加えました。今回の経営計画では、策定時から投資家向けの意味合いに留まらず「社員が実践できる計画にしたい」という思いが根底にはありました。そこで、この新たなビジョンを社員一人ひとりがどう解釈し、どう自分たちの行動に結びつけるか。その「自分ごと化」が最大のテーマでした。

中山

2025年4月、野村不動産ホールディングスにグループ人事戦略室が新設されたことも、この研修の大きな背景にあります。それまでグループ各社は、事業内容が違うだけでなく人事制度も報酬体系も異なっており、拠点も離れているので、同じグループにいる意義が見えにくくなっていた部分がありました。グループとしての一体感醸成や連携促進を競争力の源泉にしていこうと再定義するタイミングに来ていました。

そのために、グループCEOの新井と議論して、グループ人材戦略としての最優先課題は社員の「ビジョンへの共感」という結論に至りました。その最初に取り組むべき施策として、ビジョン研修を位置づけました。

村田

ビジョンへの共感にあたっては、経営企画部がグループCEOを巻き込むとともに、グループ人事戦略室が現場に落とし込んでいく、その他にも、コーポレートの関連部署が継続した浸透をしていくという協力体制が必要でした。コーポレートとしても、部門間の連携を強くするきっかけになったと思います。

吉原

当時は、グループ各社の拠点をこの本社ビルに集約したタイミングでもありましたね。グループ連携への強い意思を感じます。

中山

そうですね。グループのほとんどの社員が同じ場所で働いているという物理的な環境の変化も、ビジョンによって一体感を醸成するよい機会だと捉えていました。

今回、パートナーにアイディール・リーダーズを選んだ理由を教えてください。

ビジョンへの深い理解と、それを「翻訳」するための知見、そしてプロフェッショナルとしての情熱あふれる姿勢に信頼を寄せることができた。

中山

最初の印象は、コンサルタントの皆さんが情熱的であることでした。このエネルギーがあれば、一緒によいものを作れると感じたところですね。別のグループ会社でパーパス共感を支援いただいた実績もあり、当社の文脈を理解してくれている安心感がありました。

小野

特に印象的だったのは、ビジョンの言葉にある「幸せと豊かさ」という、一見ふわっとしがちな抽象的な概念を、事前に相当な時間をかけてすり合わせ、深く理解しようとしてくださったことです。我々の想いを咀嚼し、現場に響く言葉に翻訳してくれたことに感謝しています。

さらに、グループ全体で、部長・室長・店長を起点に現場へ落とし込むまでの設計を社内だけで行うのは難しいものがありました。プロの知見を惜しみなく提供していただき、よい研修に仕上げることができたと思っています。

なぜ、すべての部長・室長・店長(336名)という大規模な対象で実施したのでしょうか?

各部門の意思決定者である部長・室長・店長こそが、ビジョンと現場をつなぐ結節点となる。現場リーダーの腹落ちによって、グループ全体にビジョン共感が広がると考えた。

中山

現場にとって最も身近で影響力のある組織単位は、やはり「部署」であり、「部長」です。その組織単位で事業を動かすトップとして部下を育成する部長が、いかにビジョンに腹落ちし、自分の言葉でメンバーを巻き込めるか。これが、グループ全社の社員にビジョンへ共感してもらうための鍵を握ると考えました。

対象者は336名で、事務局からの継続した発信を重ねた結果、研修の参加率は最終的に100%になりました。

村田

事務局からも丁寧に継続発信したものの、部長・室長・店長の方々も現状に対する危機感があったからこそ、参加率が100%になったのではないかと思います。グループ連携という言葉を耳にしても、現場のリーダー同士が実際に横でつながる機会は意外と少ないと聞いてました。各社のマネジメント層が同じビジョンでつながり、本音で語り合う場を求めていたのだろうと思います。

中山

当社グループのマネジャーは、業績目標を達成するために自分のミッションを果たし切ることに長けています。ところが今の時代は、AIが地殻変動を起こすほどの影響を及ぼすようになり、中長期的な視点で人の成長や組織開発、つまりピープル・マネジメントに向き合い直すことが必要になりました。

ピープル・マネジメントの推進のために、会社のビジョンとメンバーそれぞれのビジョンをどうつなげていけば良いのか、ということに悩んでいたのではないかと思うのです。

ビジョンへの共感がメンバーの成長に結びつき、エンゲージメントが向上し、将来的に事業の価値を生み出していく。ビジョン研修は、その循環をつくるための出発点でした。

研修の設計において、どのような工夫を凝らしましたか?

グループCEOからのメッセージによってビジョンに真剣に向き合う姿勢をつくり、参加者同士の対話を通して自分自身の価値観を見つめ、ビジョンと紐付けるプロセスを踏んだ。

中山

研修に先立ち、グループCEOの新井がビデオメッセージで思いを伝えました。グループ各社の部長・室長・店長にとって、経営トップはグループ各社の社長になります。普段は遠い存在であるグループCEOから語りかけてもらうことで、グループビジョンを「自分ごと」にするためのマインドセットができたのではないかと考えています。

吉原

新井CEOは、参加者の皆さんに対して「あなたたちの幸せも大事だ」と明確におっしゃっていましたね。このメッセージは、会社のビジョンと自分を結びつけるための大切な要素だったと思います。

中山

その後のビジョン研修では対話を重視し、セッション時間の多くをグループワークに割きました。また、共通の悩みや視点から話が深まるよう、グループ分けではあえて異なるグループ会社の部長・室長・店長を一緒にしたり、同じ課題を抱えている職種の方々を集めたりしました。誰が対話をリードし、誰が新しい視点を提供してくれそうか、細かく設計して研修を進めました。

森田

人は話を聞くだけでは2割しか知識が定着しませんが、対話すれば5割、実践すれば7割が残ると言われています。セッションの設計において、対話の時間を多く設けるという決断をしていただいたのは、本当にすばらしいことだと思います。

ビジョン研修では、まず自分自身の幸せを感じる体験を具体的なエピソードとして出してもらうことから始めましたね。日頃、仕事で「幸せとは何か」などと問われることはないので、最初は皆さん照れくさそうでしたが、次第に緊張が解けていったのが印象的でした。

そのエピソードを抽象化して、個人の価値観を見つけていただき、会社のビジョンである「幸せと豊かさ」に紐付けていく。このプロセスを踏むことで、少しずつ自分ごとになっていったのではないかと思います。

中山

各社の事業内容が大きく異なるため、グループとしてのビジョンはどうしても抽象度が高くなります。だからこそ、今回のような対話の場で、自分たちにとっての幸せや豊かさとは何かをしっかり言語化して自覚できたことは、今後のアクションプランにつながりやすくなると思っています。

吉原

最後に考えていただいたアクションプランからは、一社だけでは「社会の豊かさ」を実現することは難しくても、グループ各社で連携すれば可能性が高まるという思いが伝わりました。組織の垣根を越えて、皆でビジョンに共感することで、ビジョンそのものの実現に近づいていくと感じられたのではないかと思います。

研修の成果はいかがでしたか。また、現場ではどのような変化が起きていますか?

研修の満足度は96%と高評価で、その後に実施したエンゲージメントサーベイの結果も改善。さらに自部門でのワークショップの開催など、受講者による自発的な行動が見られている。

中山

研修後のアンケートは、理解度99%、満足度96%と高評価でした。今年度のエンゲージメントサーベイにおいても、グループ全体で「ビジョンへの共感スコア」が有意な差を持って上昇しました。部長・室長・店長によるビジョンへの共感が、それぞれの現場に持ち帰られ、メンバーに伝播していった結果だと捉えています。

アンケートに寄せられたコメントも、ビジョンを自分なりに解釈した、熱い決意表明が溢れていました。「部下が成功体験を積めるような職場を作る」「お客様のライフスタイルに踏み込んだ提案を行う」「サービスを売るだけでなくお客様の喜びを創造する」などと、皆さんが自分の言葉でビジョンを語り始めているのを実感しています。

村田

さらに、各現場での自発的な動きも見られています。一例をあげると、建築分野の3人の部長が、研修後に自分の部でもワークショップを実施しました。その結果をまた3人で持ち寄り、「幸せと豊かさ」を生み出すための自分たちの分野における役割について再び議論を深めています。事務局から強制したわけではない、こうした横の連携が自然発生したことは、この研修の成果のひとつです。

最後に、今後の展望を教えてください。

ビジョン実現に向けて経営戦略と人材戦略をさらに連動させ、事業開発や社外とのパートナー連携を模索していきたい。

小野

今後は、ビジョンへの共感のエネルギーを具体的な戦略や事業開発に落とし込んでいくフェーズに入ります。「幸せと豊かさ」というビジョンを実現するにあたり、具体的にどの領域でどのような事業を展開するのか。様々な外部パートナーとも連携し、価値を生み出すための議論を進めていく予定です。

村田

ビジョンを社内だけの共感にとどめず、社外にも発信し、同じ志を持つ仲間を集めていきたいですね。これからの時代は一社で完結するのではなく、ビジョンに共感したプレイヤー同士の共創が鍵になると想像しております。このビジョンを旗印に、多様な仲間とチャレンジし続ける組織でありたいと思います。

中山

ビジョン研修やその後のエンゲージメントサーベイの結果を振り返ると、経営戦略・事業戦略と人材戦略を連動させていく重要性を改めて感じています。経営方針を掲げても、それを実現していくのは社員だからです。

その核となるのが、ピープル・マネジメントです。お客様の幸せと社会の豊かさを実現するためには、まず社員が幸せになることが必要になります。そして、「まだ見ぬ、Life & Time Developerへ」に向けて新しい価値を創造するには、メンバーが挑戦する機会を提供したり、共創を促進することも欠かせません。

そのために現在、全部門長でワークショップを行い、ピープル・マネジメントの課題・真因を深掘りしているところです。それに応じたアクションプランを展開していくことで、ビジョン実現の具体的なフェーズに進んでいきたいと思います。

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